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第6章 少年期〜青年期 学園6学年編
20話 傾向と対策 第三者 視点
第三者 視点
『・・・そうね、それが真相だったとすると、その犯人の最終的な狙いが嫌でも分かって来ちゃったんだけど・・・』
『『『!!?』』』
そう言って、言葉は軽い感じではあるが表情は全く正反対で、真剣にヤバイ、どうにかしなきゃと顔に書いてあるぐらい焦った様子で、冷や汗を垂らすティーナ、ティーナの言葉の意味をすぐに理解した他の神々も一様に同じ表情になっていた・・・
『『『『ごくっ・・・教団はこの世界の“精霊樹”を狙ってる!?・・・』』』』
『・・・それも、“精霊樹“の破壊が目的で・・・』
『そうですね。そうなると、まだ発展途上であるこの世界の自然の崩壊が目的?それとも、“精霊樹“自体を何かに使うつもりでしょうか・・・』
『いやそれは無いだろう、アイツは“邪神“と認定された時点で、“精霊樹“とのアクセス権が無くなっているからな、破壊し持ち去ったとしてもただの木材でしかない、“精霊樹“の力を利用したくてもできないはずだ・・・ティーナ、今、この世界の自然エネルギーの生産量と、エネルギーの流れの整備率はどのくらいだ?』
『そうね・・・今はこの星そのものが生産している自然エネルギー量と、“精霊樹“から受けられるエネルギー量が従来の量の10分の1と、アトリーちゃんを通して得られている地球からのエネルギー量でなんとか賄っている状態よ。
そのギリギリのエネルギー量をやりくりしながら、星全体にエネルギー供給ラインをなんとか少しずつだけど通している最中なの、それでもまだ全体の半分以下ね・・・だから今、“精霊樹“を破壊されたりしたら、この世界、この星はゆっくりと破滅に向かうしかなくなるわ・・・』
『そうか、まだ半分もいってなかったか・・・何にせよ、これはどうにかして、あの“芋虫“を変異させる研究を行っている者たちを、早急に見つけ出し研究成果ごと消さねばならないな・・・』
『そうね・・・』 『『そうですね・・・』』
全員が“邪神教“の狙いが“精霊樹“ではないかと言う事に思い至ったのだが、それと同時にその目的次第では世界の崩壊につながる緊急事態だと全員が判断した。
何故そうなるかというと、この世界、“ジェムシード“はこう見えて、生まれて間もない部類に入る世界で、生まれてしばらくは自然エネルギーの生産と供給が不安定な事もあり、その救済処置として、“精霊樹“が植わっている。
そして、“精霊樹“は一定量の自然エネルギーをこの世界に供給すると同時に、“精霊“達を生み出し、“精霊樹“の供給する自然エネルギーを星全体に行き渡らせ、巡回をさせ、自然を多く生み出し、それを維持する重要な役目をしているのだ。
そんな重要な役目をしている“精霊樹“は今、とある事情でその機能を10分の1まで低下させている状態で、アトリーが“地球世界・アース“から、転生して生まれた事により、偶然とはいえ、アトリーを通じて“アース“で有り余っている自然エネルギーを供給できたことから、なんとか世界の衰退を防いでいた。
“それを分かった上で、“例の邪神“は“この世界の中央大陸の真ん中にある“精霊樹“を破壊するために、今回の“変異芋虫“を研究させて来たとしたら・・・“
その行動はどう考えても、この世界への侵略行為であり、元、世界を見守る“神格“を持った“上位神“であったなら、“精霊樹“には絶対に手を出してはならないと、“全ての神々が絶対に従わなければならない法“でも定められているほどに重要な物だと知っているはずだ、だが、“邪神“はそれを知っていてもなお、手を出そうとしている、そう思うと、全員の表情が険しくなると言うものだ・・・
『・・・あの“邪神“とうとう、手を出してはならない物に手を出してこようとは!それに、“アイツ“いつまでもうちの世界に居座り続けて悪影響ばかり広げる獅子身中の虫もいいとこよ!今回の件もアトリーちゃんがいなかったらどうなってた事か!・・・絶対に捕まえて、私達の世界に手を出した事を後悔させてやるんだからっ!!!』
『ティーナちゃん、少し落ち着きましょう、熱くなり過ぎては事を仕損じると言いますから、まずは深呼吸をしましょう、それから“邪神“を捕縛する手立てを一緒に考えましょう、ね?・・・』
『分かったわ・・・すーーっ、ふぅーーっ・・・・あ、そう言えば、エンキネちゃん、ここに来た時何か言ってなかった?何か用事があってここに来たんでしょう?』
全員が激しい怒りを黙って感じていたが、とうとうティーナに我慢の限界が来た。
今までに“邪神“が起こしたアトリーを標的にした騒動の中で、この世界には今まで無かった未知の技術で作られた物がたくさん使用され、その未知の技術を意図的に流出させていたのか、ここ最近は未知の技術を使った犯罪が世界のあちらこちらで横行していることに、常々頭を悩ませていた事と、今回の騒動も全て含めその上に“精霊樹“に手を出そうとしていることに、ついに怒りが爆発し、“邪神“を捕まえる意欲を湧き立たせたが、そこに静かに怒る天照に宥められ、冷静に対処するために深呼吸をして、少しすると、ふと、ティーナが思い出したようにそう聞いた、すると・・・
『あっ!そうでした!先程、アトリー君の“神力“が感知された後に、“次元神様“から伝言が届きましたので、『『『!!』』』それをお知らせしようと思って来たのでした。宛先がティーナ様でしたので、中身は確認しておりません』
『“次元神様“から・・・このタイミングと言う事は、アトリーちゃんの“神力“の件かしら?・・・それか、例のご訪問の件かしら?』
要件を聞かれたエンキネ自身も今思い出したようで、少し焦ったように要件を伝えてきた。それがなんと、以前にもこの世界に伝言を送ってきた、神々の頂点、最高位の神、“全ての次元を司る神・次元神“からの伝言が再び来たと言う物だった。
『どちらか分かりかねますが、こちらが伝言の玉です・・・』
『ありがとう、エンキネちゃん・・・さて、“次元神様“は何のご用かしらね?・・・』 ポォン・・・・
そうして受け取った伝言をすぐに再生すると・・・
[『さっき、例の子の強い“神力“を感じたよ、そのおかげで今の仕事の進捗が大幅に早まった。そちらへ訪問できる時期も早める事ができそうだから、先に知らせておくよ、予定としてはそちらの暦で来月中には行けそう、詳しい日時はそちらに向かう直前に連絡を入れるよ。返信はいらないから、じゃあ、またね』]
『『『『・・・え?仕事が早まった?』』』』
伝言を聞いた神、全員が“『どう言う事???』“と首を傾げた。
元々、前回の“伝言事件“の時に詳しく連絡を取った際、こちらに来る時期を大まかに見積もって三年と言われていたのだ、そもそも、“次元神“であるお方が、数多ある世界の間を移動しようと思えば、すぐにでも来る事ができるのは知っているので、何かしらの外せない用があるのだろうと、その時は気にも留めてなかったのだが、それが最高位神ともあろう方が三年間も仕事をしていたと言うことが意外だった。
そして何より、今回のアトリーの“神力“のおかげで仕事が早く終わりそうだと言う言葉に、全員が困惑したのだ。
『・・・ま、前々から、アトリーちゃんが精霊と関係する事柄で親和性が高いと思っていましたが、も、もしかして、・・・“次元神様“がなさっているお仕事って・・・他次元の世界での“精霊樹“の植樹?だったのでしょうか?・・・』
『!ま、待って!・・・も、もし、それが本当だったとして、アトリーちゃんの“神力“が他次元に植わっている“精霊樹“に影響を与えたと言うのは、どう考えても、普通じゃないわ!?アトリーちゃんは数年前に“現人神“になったばかりなのよ!?』
全員が困惑する中で天照が考え出した推測に、ティーナはありえないとばかりに怪訝そうな表情をする。だが、月詠は・・・
『・・・いや、今までアトリーの周囲で起こった事を考えると、そうおかしい事ではないかもしれん。アトリーは“現人神“になる前から精霊との相性が驚くほど良かった。それが“現人神“になった時からさらに親和性が高くなって、“精霊樹の意志“とも通じる事ができたのだからな。
それに、今の“神界“に“精霊樹“を司る神が不在だ。
“次元神様“はアトリーが初めて“神力“を使った時にその事にいち早く気づき、伝言をよこしてまでアトリーを守るように言って来たのではないか?アトリーを次の“精霊樹を司る神“として迎える為に・・・』
『『『!!?』』』
と、これまでの出来事と、“次元神“の行動から推測すると、それほどアトリーの“神力“が特別であり、貴重なものなのだと、断言したのだ。
そして、現在の“神々の世界“、“神界“では“精霊樹“に関する神格を持った神がいない事から、“次元神“がアトリーをそのポストに据えようとしているのではないか?と、推測したのだ。
『・・・それは、上位神の神格をアトリー君に与えるつもりだと言う事ですね?』
月詠の言葉に、エンキネがすぐにそう確認をとってきた、
『あぁ、十中八九そうなるだろうな・・・』
エンキネのその質問に月詠は確信を持って断言した。
『そうですか・・・やはり、“精霊樹“と親和性が高い存在は貴重ですからね・・・』
自分の質問に断言で返してきた事に、エンキネは至極納得した様子で頷いたのだが、どこか少し複雑そうな表情もしていた。
それは、数年前に“現人神“として進化したばかりで正式な“神格“をもたないアトリーに、この世界の“智と魔法を司る神“であり、“神界“では“中位の神格“を持っている自分の神格を上回る神格を、アトリーが受ける事になると思ったからであって、決してその事に納得がいってないと言う事ではない。それほどまでに“精霊樹“との相性、親和性が高いものが生まれにくく、貴重な存在だと、それを分かっているからこそ、ちゃんと確認をとったのだ。
『そうだな、それに、“次元神様“が今されている仕事も本来なら、その“精霊樹を司る神“がするべき仕事だったはずだ・・・』
『・・・そう、だったわね。だから、“次元神様“も焦っておられるのかもしれないわ・・・』
『『そうですね・・・』』 『だろうな・・・』
最高神たる“次元神“が自ら各世界に赴き、“精霊樹“を植えている理由を知っている神々は、少し感傷に浸り沈黙した・・・
『・・・そうか、それで、“邪神“は焦って“精霊樹“を壊そうとしたのかもしれないわ!』
『・・・確かに、今、“精霊樹“を壊されたら、“次元神様“が来られたとしても、そちらを先に対処なさるはず。その間にアトリーを殺して、その魂を拉致するつもりかもしれないな・・・』
『そうですね。腐っても“元、上位神“の神格、それも他次元の世界を軽く行き来していたほどの能力を持っていた神ですもの、“次元神様“の接近を感じ取って焦って来ていたのでしょうね。その焦りが部下に伝わった結果が今回の未承認の実験、これまで、静かに、慎重に、計画を立てて来ていたものが私達に勘づかれている事に向こうは気づいたでしょうか?もし、気づいたのならその策の実行を早める事でしょうね・・・』
『・・・そうなりますと、向こうがどう出てくるかですね・・・』
ここ数年で“邪神教“の行動が見られなかった理由が、よもや、このような大それた事をしでかすための前準備であったことに気付けた事が行幸と感じた。それと共に、今後の“邪神“の出方を推測するために、しばし、思案をし始めた。
そして、神々は現状の確認と、“邪神“の仕掛けてくるであろう策謀を、考えうる限りあげていき、それに対する対処案を考えていく、その様子は先程の悲しみの沈黙の空気とは違い、これまで以上のやる気と使命感を含んだ活気ある空気であった・・・
そうして、一通りの対処案が出たところで、最後のまとめに入った。
『・・・では、今後の方針をまとめると、“精霊樹“の監視と防御策の改善と、アトリーの安全確保と身辺での怪しい行動をする者の監視、捜査、でいいな?』
月詠がそう言って他の神々の顔を見回すと、全員が頷き、異論がない事を示した。
そして、神々は、
『絶対にアイツの企みを潰してやるんだから!!』
『次こそは絶対に捕まえます!』
『他次元での対応は任せろ』
『”次元神様“との連絡は私におまかせを』
と、気合を入れたのだった。
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