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第6章 少年期〜青年期 学園6学年編
43話 “学園祭“・・・涙の訳、消える・・・
「その手首につけているのは、僕も幼少の時につけていた“魔力封じのブレスレット“と似ているから、同じものなのかな?と思ってね、もしくはもっと別の効果があるのか少し見せてほしいなって思った、本当にそれだけだから、そんなに気にしないで、僕から君の何かを非難するような事はしない「・・・っ、うっ」・・・クッキー貰うね?」
と、彼女のブレスレットに興味を持った理由も話し、自分は彼女に敵意や忌避感はないとそれとなく話したら、彼女が急に瞳いっぱいに涙を溜めて、泣きそうになっていた、自分が泣きそうになっているのが分かって、隠そうと顔を手で覆う彼女を見て、僕はその事に気づかないフリして、用意されていたけど何も手につけていないテーブルの上のお茶セットから、先に手作りのクッキーを一枚もらう事にした・・・
(うーん、僕のかなり失礼なこの言い方に泣き出すほどとは・・・これまでの彼女の状況は、“オーク王子“や“ボレアースの王族二人“の言動からして、どうも、魔力に関わってるぽいな、多分、王室内の序列争いでの足の引っ張り合い?的なやつ?それとも権力闘争?みたいなやつで色々と冷遇されてたんだろうなぁ( ̄▽ ̄)・・・)
そんな事を思いながら僕がクッキーを一枚、ちびちび食べている間に、ひとしきり泣いた王女は、その後、自分の手首につけているブレスレットを外し、それをつけている理由をぽつりぽつりと話してくれた・・・・
そして、王女の話しを聞いてみると、どうも、“ベイノルデン魔導王国“の王室内では、王位継承の序列を決める条件に魔力の量や質の良し悪しだけではなく、王子や王女達の母親である、王妃や側妃達の後ろ盾の実家が持つ権力の強さでも序列を争われているようで、この王女、“第6王女のノリエラさん“と兄である“ノルベル第5王子“の母親は、“ベイノルデンの第4側妃“で実家が魔力の強い人を輩出している“魔伯爵家“という、“ベイノルデン“特有の爵位の出身で、その“魔伯爵“とは、ある一定の条件を満たす事で爵位の頭に“魔“の字を付け加えることができ、通常の“伯爵“と言う爵位とは分けて考えられている、その条件と言うのが、一族の中から5代続けて既定の魔力量を持った人を一定数出す事。
これは“伯爵“だけではなく、通常の爵位を持った他の貴族家でも、その条件が満たされれば爵位の前に“魔“の一文字が加えられて、魔力が高い一族だと公的に認められた証になり、他者からも一定の魔力を持っている貴族家とすぐにわかる、目安となる称号の様なものだそうだ。
“魔“の一文字が与えられた際に、通常の爵位では得られない権力が与えられる、まず通常の爵位より一つ上の爵位と同等の権力が得ることができ、魔法や魔道具などの研究をしたり、また他にも、その魔力量で国に貢献するような成果を出したりすると、研究などの場合は優先的に資金を支給されたりする。
そうなると、彼女達の母親の実家の“魔伯爵“の場合、魔法研究も盛んに行なって国に貢献している事もあり、かなりの研究資金をもらっており、与えられる権力も通常の爵位の“侯爵家“相当の権力を持っている事になる。むしろ、魔法に関する事柄では“侯爵家“より優遇される事もある。
そして、彼女達と対立している“オーク王子“、じゃなかった、“チャールストン第4王子“の母親は、“ベイノルデンの第2側妃“で、その実家は通常の爵位の“侯爵家“、普通に考えれば権力的にどちらも同じ権力を持った貴族家に思えるが、互いの家の歴史からするとまた違った力関係が見えてくる。
それは、“第6王女“の母親、“第4側妃“の実家はここ最近になって“魔伯爵“へと陞爵され、その一方で同じ時期に“第4王子“の母親、“第2側妃“の実家は今の当主、父親が爵位を継いで、“魔侯爵“から普通の“侯爵“へと降爵されていたことで、歴史的には“魔侯爵“として広く知られていた“第2側妃“の実家と、つい最近“魔伯爵“となって歴史が浅い“第4側妃“の実家は、同じ権力を持つことになったのだ。
その爵位の変動が同時に起こった事で、これまで周囲の人達に実家の爵位を自慢し、権力を使って横柄な態度をとっていた“第2側妃“は、一気に周りから“「今まで偉そうにしていたのに、位が下の“伯爵家“に追い抜かれるなんて、哀れよね」“、などと揶揄されることが増えて、“魔“の一文字を持った爵位に酷い劣等感を持つ様になったとか・・・そう言う事が、彼女への嫌がらせをしている1番の原因のようだ。
その嫌がらせの始まりは、現在の“ベイノルデン国王“が即位した時、その時の“正妃“と“第1側妃“の間にはまだ王子が産まれていなかったため、周囲から早く王子をと言われて、新たな“側妃“として先に後宮入りしたのが“第2側妃“だったが、二人の間に中々子供ができず、次の“第3側妃“を迎えても王子が生まれなかったため、“第4側妃“として入る事になった彼女の母親はその時“第2側妃“に目をつけられ、後から後宮入りしてきて立場が弱かった“第4側妃“に事あるごとに難癖をつけ始めたそうだ。
“第4側妃“として後宮入りしてから、細々とした難癖に耐えているうちに、国王には“正妃“と他の“側妃達“との間に次々と王子が産まれて、王子を作らなければと言う重圧から解放された国王の心情の変化からか、今まで義務的に接してきた“第2側妃“や“第4側妃“達にもよく構う様になった。
そうして、国王からの態度が変わった約一年後に、酷い嫌がらせが始まる起因となる出来事が起こった、それが“第2側妃“と“第4側妃“が二人同時に懐妊し、出産もほぼ同時になった時だ、“第2側妃“は自分が数分先に産んだ“第4王子“より、後から生まれた“第5王子“の方が魔力量が多く、“第5王子“が父親の国王に似ていた事でさらなる劣等感を感じ、酷い癇癪を起こすようになったのだ、その事で国王に嫌厭されて、“第2側妃“は次の子を身籠ることがなくなった。
そして、それとは反対に“第4側妃“は魔力が多い子を産んだとして国王の寵愛を受け、さらに子を宿し、“第6王女“となる彼女を産み、その彼女が兄である“第5王子“をはるかに超える魔力量を保有し生まれてきた、その事を知った“第2側妃“の精神はどこか壊れたのか、生まれたばかりの“第6王女“を目の敵にし、犯罪にならないギリギリのラインで執拗に嫌がらせを続け、しまいには“第6王女“の周囲の人達にも嫌がらせをし、後宮から追い出して、“「第6王女“に関わると、ありもしない罪をでっち上げられて罪人に落とされる」“と言う噂まで流し、彼女の周りから人を遠ざけさせた。
この間、彼女の母親である“第4側妃“や兄である“第5王子“もあらゆる手を使い、彼女を守ってきたが、歴史が長く他の貴族家と親交が深い“侯爵家“を後ろ盾を持った“第2側妃“に強く出る事ができず、後宮内では、癇癪が酷い“第2側妃“に目をつけられている“第4側妃“親子と関わりたくないと言った風潮で、他に味方もいなかった為、最低限の生活は保証されていたが、“第2側妃“はその二人の目の届かないところで、彼女を精神的に追い詰めて行った。
本来なら称賛され誇るべきその魔力量すらも貶され、自分は生きていてはいけない存在とすら思うようになり、とうとう、彼女が耐えられなくなり、“「死にたい」“とまで言う様になった時に、母親と兄は、“「自分達では守りきれない、彼女を“第2側妃“の目の届かないところに連れていくしかない」“と言う、苦渋の決断をし、表向きはウェルセメンテ王国にいる“愛し子“である僕を婚約者として連れて帰ってくると言う名目で、この国に留学することになったそうだ。
*この嫌がらせの数々が行われている間、父親の国王は彼女達親子を助けるそぶりは無く、彼女より後に生まれた魔力量が多い“正妃“の産んだ末娘を可愛がっているとか・・・けっ!!正真正銘のクズ親父だよ!!( ゜д゜)
(だから、彼女の周囲には使用人がいなくて、でも、資金は持っているって状態になったのか・・・それで彼女は自分で身支度もできるし、料理もできた、でも、裏を返せば何でもできないと生きていけなかったって事、今、伸び伸び暮らしているのはその“第2側妃“からの干渉がなくなったから、それで、彼女が“魔力封じのブレスレット“をしているのは、元々“第2側妃“を刺激しないためのアイテムで、今は“第2側妃“に気を使う必要はないけど、これまでの習慣として着けっぱなしになっていたってことね・・・彼女の人生は波乱万丈だ(-᷅_-᷄๑)・・・)
最初、彼女に話があると言われて声をかけられた時は、あの“呪い《まじない》“を使って僕を襲ってきた“オーク王子“の兄妹だから、何かしら僕に思うところがあるのでは?と思って、少し身構えていたが、全て聞いた彼女の人生の一端は、前世でよくあったライトノベルの主人公のようで、最初は現実味がないように思えたけど、実際に、その過酷な生活をしてきたその時の事を思い出したのだろう、悲しい表情で必死に涙を堪えながら壮絶な体験を語られて、僕はなんとも表現しづらい、悲しいような、痛ましい、そんな気持ちになった・・・
「そうか、君はそんな苦境に立たされていたんだね・・・今まで頑張ったね。でも、今回の件で君の人生を無茶苦茶にしてきた人は王宮と後宮からいなくなるだろう。
だから、これからは好きなだけ君のしたい事をすればいいよ・・・」
ベイノルデン王女「っ・・・はい!」
彼女の過去の精神的な傷は癒えないだろうけど、今回の件で確実に“第4王子“、“オーク王子“は再起不能、それと、彼が使用していた“まじないの呪詛媒体“の件も調べれば、どこかで例の“邪神教“と繋がってるだろうから、その生産元である“第2側妃“も失脚されるだろうと予想し、彼女のこれからの人生に幸あれと言う思いで励ますと、彼女はどこか吹っ切れた表情で明るく返事をした。
「君の父親には僕から色々言っておくから」ニッコリッ
ベイノルデン王女「??は、はい・・・」
(自分の子供のやらかしはしっかり償わせないとね(・∀・)ふっふっふっ・・・)
天華『何やら黒い事を考えてますね、アトリー・・・』
彼女の新たなる人生の妨げにならない様に僕は、迷惑をかけてきた“オーク王子“と、その生産元の“二人“にはキッチリ償ってもらうことに決めた。
その決定した時の僕のアルカイックスマイルに、ちょっと引き気味の王女、僕の内心だけ聞いていた天華に訝しがられたが、あえてその念話をスルーし、喉が渇いたので、ついで貰っていたよく冷えた“抹茶ミルク“に手を伸ばし、一口飲んだ。
「冷たいとまた違った味わいになってる・・・ね?・・・」
そう言って、飲んだ“抹茶ミルク“の感想を言いながらカップを置こうとしたら、何やら違和感を覚えた、すると・・・
ガシャンッ!!
「ん???な、なんで?・・・っ・・・ち、からが・・・」かくっ!
ベイノルデン王女「えっ!?デューキス様!?」
ソーサーに静かに戻そうとカップを持っていた手が、自分の意思とは反対に、勢い良くテーブルの上のソーサーにカップを落とし、そのはずみで中身が溢れ、腕はそのままテーブルからずり落ちていった。
そして、意味がわからず困惑しているうちに次は自分の身体全体にうまく力が入らなくなり、意識はあるのに椅子の背もたれに寄り掛かるように頭が後ろに倒れ、天井を仰いだ、どんどん自身の体から力が抜けていくのを感じていると、王女は何が起こっているのか分からず、僕に駆け寄って、混乱しながらも僕を呼ぶのが聞こえる。
「だ、だれ、か、よ、・・・で・・・」(っ!!口が!それに足元に光!!??ソル!!天華!!誰でもいい!!休憩所に今すぐ来て!!僕の体が!!!)
ジュール達『『『アトリー!!??今行く!!』』』
ソル「アトリー様!?」
ベイノルデン王女「はっ!!今すぐ人を呼んできます!!っ、えっ!!!!???何この光!?魔法陣!!!???だ、誰かーーーっ!!助けてっ!!!デューキス様がっ!!!」
体に力が入らず、とうとう口まで上手く動かせなくなった僕は、混乱しながらも念話で助けを求めた。すぐにジュール達に伝わり、近づいて来るのがわかるが、それと同時に僕の足元でほのかに床が光っていることに気づいた。僕の途切れ途切れの言葉を理解した王女が助けを呼びに行こうとして、同じように足元のそれに気づき、呼びに行くよりここで叫んで助けを呼ぶ事にした王女の声に、ジュール達の他にも僕の窮地に気づいた人達も一斉に動き出す、
ザワッ!! 「「「「「アトリー!!??」」」」」 「「「「「アトリー様!!!」」」」」 ダッ!!
「っ!!???」(っ!!!???この感じ、転移魔法!!??なんで!?こんな所に!?っ、逃げないと魔法を!!なっ!?魔、魔法が発動しない!!?魔法陣に僕の魔力が!吸い取られてる!?)
足元の魔法陣が物凄い速さで光り輝き始めて、僕は体が動かなくとも、魔法で脱出しようとかなりの魔力を使って転移魔法を発動させた、だが、その行いも虚しく、練り上げた魔力は床で輝く魔法陣に吸い取られ、その魔法発動の糧にされてしまった。
いよいよ脱出の手立てがなくなったと、思ったら、
夜月『アトリー、落ち着いて、“神力“を練って“神力“で転移魔法を使うんだ』
(っ・・・わ、分かった!!・・・っ!?・・・僕の“神力“が!!“神力“も魔法陣に吸われてる!!!だ、だめだ!!逃げられない!!誰か!!誰か、助け)
と、夜月が冷静な助言をくれたので、自分も少し冷静になって、その助言に従い“神力“を使った転移魔法を行使しようとして、先程と同じ様に失敗した、と思ったら・・・
シュッン!!・・・
皆んな「「「「「アトリー様ぁーーっ!!!」」」」」 ジュール達『『『アトリーーっ!!!』』』
そして、僕の目の前までいち早く来て、僕を助けようと手を伸ばすソルやイネオス達、それにジュール達の姿を視界に入れていた僕は、心の中で助けを呼びながら、この時、無情にも皆んなの目の前から消えていなくなったのだった・・・
・・・同時刻・・・とある山の広い洞窟内・・・
?「魔法陣の発動を感知しました。直にこちらに“愛し子“が来られるでしょう・・・」
?『そうか、ふふふっ、やっと、やっと、我の元に・・・』
薄暗い洞窟の中には壁や天井いっぱいに描かれた魔法陣があり、その広いドーム状の洞窟内の中心にある、祭壇のような場所に佇む二人の男、一人はひどく冷静に、もう一人は狂ったように笑いながら、洞窟内の壁や天井に埋め尽くさている魔法陣が光り輝く様子を見つめていた・・・
そして、魔法陣がその二人の姿をかき消すほど光り輝くと、祭壇の上に現れたのは、先程までウェルセメンテ王国の王都にある“学園“にいたはずのアトリー。
今は何かの作用で意識を失っているのか、目を瞑り、身動き一つしない、そんなアトリーを見て、
?『さて、お楽しみはこれからだ・・・ふふふっ、あはははははっ!!』
そう言って、怪しく、重苦しい空気に包まれた洞窟内に響き渡る男の狂った笑い声、今からここで何が起こると言うのか・・・・
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