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聖女ゲットだぜ

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強力な魔物も住んでおり、非常な危険な森林地帯が隣接しているため、その守護のため代々の辺境伯は死力を尽くして防戦していた。
歴代の辺境伯のいずれも自領のベットの上で引き取ることはないほどの過酷な場所だ。

かくゆう私もモンスターとの戦いで片腕と片目を失った。

とか言いつつ、実は転生時のチート能力で、失った状態でも魔力で擬似的な腕をはやせるし、魔力視で、普通に見える。
そんなこというと悲劇の辺境伯というイメージが崩れるので、言わないけど。

実際、チート能力がなければ過酷すぎて、いつ死んでもおかしくないような環境なので、劣悪環境アピールは大事だ。
今回も今の私の状態を周囲の貴族にみせて、同情をさそいつつ、うまく兵力確保に務める必要がある。

劣悪環境ということで、配属されたがる兵士は極めて少ないし、神殿に神官の派遣を依頼しても殆ど来てくれない。
そのため王家からの命令などもお願いしつつ、なんとか兵力を確保している状況だ。

さすがに、妹まで前線にでると言い始める状況となっており、妹を安心させるためにも早急に戦力を確保して帰る必要がある。

そんなわけで王家主催のパーティーに参加するために辺境からでてきたのだが、なぜか、目の前で断罪劇が始まった。

ここは剣と魔法のファンタジーものかと思ったら、実は乙女ゲームの世界なのか?

平民の聖女が仕事をサボっているとか、王子の好きな令嬢をいじめているとか、それらは聖女に不利な供述のみしかないのに、なぜか信じられている。

家庭教師などもつけられ、それなりに高等教育を受けているのに、なぜこんなバカができるのだろうかと疑問に思うこともあるが、
日本の有名政治家も出身大学などみればめちゃくちゃ頭が良いはずが、子供でも理解できそうなことが理解できずに、わけのわからない文句を言っていたりするので、バカ王子も普通にありえるのかもしれない。

など別のことを思っている間に話は佳境に入ったようだ。

「お前のような女が聖女で、私の許嫁であることがおこがましい。聖女の座はエレナに譲り、貴様は国外追放とする。」

どうやら、聖女が国外追放されるパターンのようだ。

勝手に聖女を首にして国外追放するほどの権力は、王子にないだろうといいたいが、そんなことをここで言っても意味はないだろう。

むしろ、これは聖女ゲットのチャンスじゃないか!?

「アルバート王子。お話の途中で大変申し訳ありませんが、私に発言の許可を頂けないでしょうか。」

聖女に対して口上を述べて越に浸っていた王子は不機嫌な顔で私に視線を移すが、私が辺境伯当主であり、私の身体状況を見て少し冷静になったのか。
私に発言の許可をだしてくれた。

「辺境は一人でも神聖魔法が使えるものを欲しているため、国外追放など国家に対して無益なことではなく。我が辺境伯に身柄を預けて頂けないでしょうか。」

「そのような心根のものであれば私に四六時中そばに控えさせており、傷が痛む際には深夜を問わず回復魔法を唱えさせ、前線に帯同させ命の危険にさらしても、なんら問題もないでしょう」

そのようにアルバート王子に進言してみると、辺境の悪評をしっているアルバート王子はとても良い笑顔になり、私の宣言を受け入れた。

「よかろう。そちの言を受け入れ、辺境伯預かりとする。」

王子の溜飲を下がるような聖女によって可哀想な提案をすれば、提案をうけいれられると思ったが想像以上にちょろすぎるだろ。
というか、こんな王子が国王になったら国政は大丈夫か。

なんか、辺境の占領きゃ予算を愚かに削ったりしそうで怖いな。

いまは、将来の憂いを考えるよりも目の前の聖女を貰い受けることに全力を尽くすことにするか。

「怠惰な聖女を見張る騎士や神官もつけていただくことはできないでしょうか。」
ついでに、追加戦力もこっそり望んで見る。

「たしかに、このような怠惰な女が逃げないように監視は必要だな。」
おっ、ダメ元でお願いしたが、と売るかもしれないな。

と、思ったところで横やりが入った。

「監視のために辺境まで行かすことができるような神官はおりませぬ。」
と司祭が言えば、

「同じく、そのようなことで随行できるような騎士などいない。」
と騎士団長にも断られた。

無理を言って監視が付けたいわけでもないようで、王子も監視役は辺境伯のほうで用意するようにとのことで、終わってしまった。

元々、騎士の増員は諦めており、傭兵を雇うつもりだったので、食い下がることもなく交渉は終わらすことにした。

「承知しました。この元聖女には、辺境にて人馬のごとく働いてもらうことにしましょう。
 アルバート王子は、メルリーナ聖女と末永くお幸せであられますように」

と、おべっかの送っておく。

案の定、王子は非常に満足した顔で、うなずき。
メルリーナとかいう女といちゃつき始めた。

さて、では、聖女を連れてさっさと王都と離れるかなと思い、聖女のほうをみると、真っ青な顔して立ち尽くしていた。

やっべ。そりゃいきなり辺境いきとか言われたら絶望するよな。
俺は元聖女に説明するため、あわてて聖女を連れて、この場を離れた。
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