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聖女ゲットだぜ(聖女視点 前編)
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前話の聖女視点です。
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モンスターが王都や各都市に入ってこないように神殿は司祭や神官を派遣して聖域を張り巡らすようにしています。
しかし、聖域で防ぐのにも限界があり、都市部周辺でも時々モンスター被害がでるときもあります。
特に辺境では凶悪なモンスターが暴れており聖域もほとんど効果がでていないと聞いています。
聖域がほとんど効果がでていないと聞いているとは、私自身が足を運んで見たわけではなく、そのように司祭が言っていたのをきいただけなためです。
一度、私自身が辺境に赴き、聖域を展開することを進言しましたが、王都周辺の守りを疎かにすることはできないと却下されてしまいました。
私が辺境に赴けないか進言したときの光明を見出したかのような顔をした辺境伯様のお顔。
そして、にべもなく進言が却下されたときの失望したお顔が今でも忘れることができません。
結局、辺境伯様は新たな神官の派遣も認められないまま辺境に戻られました。
その後、風の噂で辺境伯様が大怪我を負ったと聞いたときも、辺境に赴き治癒などできないかと思いましたが、王都から離れることは認められませんでした。
そんな状態になっても辺境伯様は最前線で戦い続けているそうです。
きっと教会を恨み、修羅のごとく戦われているのでしょう。
あの方あっての王都の平和だというのに、みな見て見ぬ振りです。
いえ、私も結局は教会の奥で祈るだけで辺境伯様を見捨てている一人なのでしょう。
私は王都を離れることができず、自分の至らなさに申し訳ない思いでいっぱいでした。
そんな風に自分の至らなさに申し訳ない思いをしつつ、日々、聖域の維持をしつつ、けが人などの治癒をしながら日々過ごしていましたが、今回、何故か王家主催のパーティーに参加することになりました。
このようなパーティーに平民出の私はでるようなことは極めて少なく、前回の王子との婚約発表ぶりの出席でした。
今回も王家のどなたかがご婚約でもするのでしょうか。
そんなことを思いながら参加したパーティーで、まさか王子から突然婚約解消を言われるとは思いませんでした。
話をきくと、なぜか私は日々の業務もサボり気味で、見たこともない令嬢をいじめていることになっていました。
そもそも聖女として一人で動けることなどほとんどなく、いじめをするような時間もありません。
それらを説明しようにも話をまともに聞いてもらえず、私の立場はどんどん不利な状況になっていきました。
そしてとうとう婚約破棄を言い渡され、代わりに婚約者なるのが、さきほど私にいじめられていたと発言していた女性でした。
婚約破棄がしたければ、素直にそう言ってもらえれば喜んで引き受けたのに、わざわざ、このようなことをしてまで婚約破棄をしなくて良いのにと、悲しい気分になってしまいました。
悲しいものの、婚約破棄されたからと言ってなにか困ることもないので、素直に婚約破棄を受けることにしました。
すると、どうでしょう。
「ふんっ、ようやく罪を認めたか。やはり貴様のような平民が聖女といわれてたのが間違いだったのだ。」
と、なぜか私が罪を認めたことになっていました。
婚約破棄を受け入れただけでなぜ、罪を認めたことになるのでしょうか。
「貴様のような性根が腐ったようなやつが神聖なる神殿にいれば天罰が下りかねん。
王都より去れ。いや、国外追放のほうが良いか。」
しかも、王子から国外追放をされそうになっていました。
なぜこのようなことになるのか信じられず呆然としていると、
「自分の罪の重さで声もでないか。」
などと、意味不明なことを言っています。
平民出とはいえ子供の頃から聖女として働いていたため、市井の生活をほとんど知りません。
国外追放どころか、神殿外で一人で生活しろと言われてもできない状態です。
そんな私を一人で放り出すのは私への死刑宣告に等しいです。
なんとかしないと思いはするものの、頭の中は真っ白で何も思いつきません。
そんな絶望の中、お一人が、こちらに近づいてきます。
その方の姿を見た瞬間、息をするのを忘れそうになりました。
「アルバート王子。お話の途中で大変申し訳ありませんが、私に発言の許可を頂けないでしょうか。」
決して大声を上げているわけでもないのですが、その迫力にまわりのものたちも静まり返り、王子も思わず許可を出してしまったようです。
とても美しい顔立ちで世の女性は恋い焦がれていましたが、モンスターにやられたといわれる右目は光を失ったばかりか、本来目があった部分はくぼんでおり、それがどこまでも続くかのような錯覚をうけ非常に恐ろしく感じます。
さらに左腕を失っているためになびく袖が凄惨さをましており、見るものに畏怖を受け付けます。
私が同行できていれば、あのようなお姿になるようなこともなかったのではないかと思ってしまいますが、辺境へ行かなかった私が弾劾されてもしかたないという思いと、この方に勘違いされることの悲しさで目の前が真っ暗になり、思わずその場に座り込んでしまいそうになります。
神官の辺境への派遣を断った教会について良い感情をお持ちでない辺境伯様も、当然私を弾劾するのでしょう。
王子には何を言われても心に響かなかったですが、辺境伯様に弾劾されると思っただけで心が張り裂けそうです。
辺境伯様に口汚く罵られるくらいなら、今すぐ辺境の最前線に赴き命あるまで戦うほうがましです。
神様、どうか、お願いします。
私に慈悲を。
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思った以上に話が進まず、次に続くことになってしまいました。
次も聖女視点です。
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モンスターが王都や各都市に入ってこないように神殿は司祭や神官を派遣して聖域を張り巡らすようにしています。
しかし、聖域で防ぐのにも限界があり、都市部周辺でも時々モンスター被害がでるときもあります。
特に辺境では凶悪なモンスターが暴れており聖域もほとんど効果がでていないと聞いています。
聖域がほとんど効果がでていないと聞いているとは、私自身が足を運んで見たわけではなく、そのように司祭が言っていたのをきいただけなためです。
一度、私自身が辺境に赴き、聖域を展開することを進言しましたが、王都周辺の守りを疎かにすることはできないと却下されてしまいました。
私が辺境に赴けないか進言したときの光明を見出したかのような顔をした辺境伯様のお顔。
そして、にべもなく進言が却下されたときの失望したお顔が今でも忘れることができません。
結局、辺境伯様は新たな神官の派遣も認められないまま辺境に戻られました。
その後、風の噂で辺境伯様が大怪我を負ったと聞いたときも、辺境に赴き治癒などできないかと思いましたが、王都から離れることは認められませんでした。
そんな状態になっても辺境伯様は最前線で戦い続けているそうです。
きっと教会を恨み、修羅のごとく戦われているのでしょう。
あの方あっての王都の平和だというのに、みな見て見ぬ振りです。
いえ、私も結局は教会の奥で祈るだけで辺境伯様を見捨てている一人なのでしょう。
私は王都を離れることができず、自分の至らなさに申し訳ない思いでいっぱいでした。
そんな風に自分の至らなさに申し訳ない思いをしつつ、日々、聖域の維持をしつつ、けが人などの治癒をしながら日々過ごしていましたが、今回、何故か王家主催のパーティーに参加することになりました。
このようなパーティーに平民出の私はでるようなことは極めて少なく、前回の王子との婚約発表ぶりの出席でした。
今回も王家のどなたかがご婚約でもするのでしょうか。
そんなことを思いながら参加したパーティーで、まさか王子から突然婚約解消を言われるとは思いませんでした。
話をきくと、なぜか私は日々の業務もサボり気味で、見たこともない令嬢をいじめていることになっていました。
そもそも聖女として一人で動けることなどほとんどなく、いじめをするような時間もありません。
それらを説明しようにも話をまともに聞いてもらえず、私の立場はどんどん不利な状況になっていきました。
そしてとうとう婚約破棄を言い渡され、代わりに婚約者なるのが、さきほど私にいじめられていたと発言していた女性でした。
婚約破棄がしたければ、素直にそう言ってもらえれば喜んで引き受けたのに、わざわざ、このようなことをしてまで婚約破棄をしなくて良いのにと、悲しい気分になってしまいました。
悲しいものの、婚約破棄されたからと言ってなにか困ることもないので、素直に婚約破棄を受けることにしました。
すると、どうでしょう。
「ふんっ、ようやく罪を認めたか。やはり貴様のような平民が聖女といわれてたのが間違いだったのだ。」
と、なぜか私が罪を認めたことになっていました。
婚約破棄を受け入れただけでなぜ、罪を認めたことになるのでしょうか。
「貴様のような性根が腐ったようなやつが神聖なる神殿にいれば天罰が下りかねん。
王都より去れ。いや、国外追放のほうが良いか。」
しかも、王子から国外追放をされそうになっていました。
なぜこのようなことになるのか信じられず呆然としていると、
「自分の罪の重さで声もでないか。」
などと、意味不明なことを言っています。
平民出とはいえ子供の頃から聖女として働いていたため、市井の生活をほとんど知りません。
国外追放どころか、神殿外で一人で生活しろと言われてもできない状態です。
そんな私を一人で放り出すのは私への死刑宣告に等しいです。
なんとかしないと思いはするものの、頭の中は真っ白で何も思いつきません。
そんな絶望の中、お一人が、こちらに近づいてきます。
その方の姿を見た瞬間、息をするのを忘れそうになりました。
「アルバート王子。お話の途中で大変申し訳ありませんが、私に発言の許可を頂けないでしょうか。」
決して大声を上げているわけでもないのですが、その迫力にまわりのものたちも静まり返り、王子も思わず許可を出してしまったようです。
とても美しい顔立ちで世の女性は恋い焦がれていましたが、モンスターにやられたといわれる右目は光を失ったばかりか、本来目があった部分はくぼんでおり、それがどこまでも続くかのような錯覚をうけ非常に恐ろしく感じます。
さらに左腕を失っているためになびく袖が凄惨さをましており、見るものに畏怖を受け付けます。
私が同行できていれば、あのようなお姿になるようなこともなかったのではないかと思ってしまいますが、辺境へ行かなかった私が弾劾されてもしかたないという思いと、この方に勘違いされることの悲しさで目の前が真っ暗になり、思わずその場に座り込んでしまいそうになります。
神官の辺境への派遣を断った教会について良い感情をお持ちでない辺境伯様も、当然私を弾劾するのでしょう。
王子には何を言われても心に響かなかったですが、辺境伯様に弾劾されると思っただけで心が張り裂けそうです。
辺境伯様に口汚く罵られるくらいなら、今すぐ辺境の最前線に赴き命あるまで戦うほうがましです。
神様、どうか、お願いします。
私に慈悲を。
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思った以上に話が進まず、次に続くことになってしまいました。
次も聖女視点です。
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