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王の判断
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あけましておめでとうございます。
今回も明るい話ではないですが、引き続きご愛顧、よろしくおねがいします。
*****
教皇視点
---
国王陛下に教会の領域が弱まっているのではないかなどを悪人するために呼び出された。
「国王陛下。民はいつモンスターに襲われるか不安に感じております。我ら教会も全力で対応しておりますが、なにぶん、聖女様の代替わりが急でして、対応しきれていません。」
そう、間違ったことはいっていない。
王家の人間が急に聖女を交代させたので対応に時間を要しているだけであり、悪いのは王家側である。
「では尋ねるが、聖女の代替わりによる混乱はいつ終わる見通しだ。」
まったく、同じような問答を何度させるのか。
「我ら教会も一日でも早く対応したいのですが、対策をとるための寄進を求めても出して頂けず、このままでは10年はかかると思われます。」
あくまでも教会に落ち度はなく、王家が悪いのである。
まったく、寄進を増やすこともせず、民への犠牲が増加していっており王家の信頼は急速に失っている。
教会への非難もでているが、神官共に王家の失態とともに非協力的なために、対応がとれていないと民には説明させている。
おかげで、民への不満は王家に集まっている。
悪あがきをしないで、さっさと折れれば良いものを。
「では、教会側は、このような状況に陥り、もとに戻るまで10年はかかると分かっていたにもかかわらず聖女を交代させたということか。」
おやおや、どうやら協会側の責任にすり替えようと考えているようだ。
「ですから、我らはアルバート王子に聖女の交代はすぐにはできないとお伝えしたのです。しかし、アルバート王子が強硬されるものですから、我らは仕方なく聖女をすぐに交代させることを引き受けたのです。」
どのような言い逃れをしようとも、アルバート王子が主導で行い、教会はしかたなく引き受けたのみ。
責任の所在はアルバート王子にあることは明確。
無駄なことを。
教会に責任をなすりつけることができると思っているのであれば、なんと愚かしいことだ。
「では、あくまでも教会はアルバートの命令に従ったと言うつもりか。」
王は今までの話を聞いていたのか、まったく王家のものは馬鹿ばかりだな。
「はい、我らはアルバート王子に逆らうことができず仕方なく受け入れたのです。」
はい、これで王家の責任であることは確定となった。
まった馬鹿を相手にするのは疲れるな。
さて、王はどうするかな。
顔を真っ赤にして怒るか。それとも武力をチラつかせるか。
なんにせよ、教会は王家の下につくものではない。
王が何を言おうとつっぱねるのみ。
「では、教会は王家に下についたということでよいか。アルバートごときの命令に逆らうこともできないのであれば、相違なかろう。」
はっ?
「我ら教会は、王家の下にはつかないことを忘れたのですか。我ら教会を敵にするおつもりですかな」
王のふざけた言葉に、思わず怒鳴り散らすところであった。
教会は王家の下につかないことは初代国王からも続く国是とも言われるもの。
そのような常識すら分かっていないとは、予想以上の馬鹿とみえる。
「王家の下についたのでなければ、アルバートの愚かな発言をなぜ拒否しなかった。」
「アルバートのような愚か者が下した命令を拒否するためであろう。違うか。」
違うに決まっているだろう、馬鹿王が。
「王家の下につかないとは言え護衛騎士を連れておられるアルバート王子に逆らえば、何をされるかわかりません。しかたなく従ったのであり、王家の下についたのではありません。」
そう溜息を付きたい気持ちをぐっと堪えて答える。
まったく馬鹿とは会話にならん。
「それとも国王陛下は、アルバート王子の言葉に逆らい、その場で我らが殺されれば良いとでもおっしゃるのですかな。」
ほら、馬鹿王、反論できるならしてみろ。
「……」
馬鹿王もさすがにだんまりか。
「あまりの発言にとっさに言葉がでなかったが、お前に教えてやろう。」
お前?何を無礼な。
「王家の下につかないのであれば、当然、命の危険があろうとも断るのは当たり前だ。」
「命令に逆らうこともせず、国難にあたって解決する努力もしない。そのような教会を放置することはできぬ。」
この馬鹿王は何をいい始めている。
頭がおかしくなったのか。
私のような高貴なものに命をかけろなど、愚かすぎる。
「王よ!!」 「黙らぬか!!」
「貴様らのようなものに教会は任せてはいられぬ。王家の下についたのであれば、私が管轄するものとする。」
「さからえば、この場で処断する。」
はっ?
こいつは何をいい始めたのだ。
あっというまに我らは近衛騎士に囲まれ、剣を突きつけられる。
「教皇である私にこのようなことをしてただで済むと思っているのか。」
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、ここまでとは。
「連れて行け」
くそ!!
すぐに釈放されるとは言え、私にこのようなことをするなど許さんぞ。
ーーーーーーーー
国王視点。
最近の教会は私利私欲に溺れていたので、王家管轄にする機会をを模索していたので、良い機会であった。
「しかし、教会の反発も激しくなってくるでしょうし、民もまた、教会に扇動されるでしょう。どうされるおつもりでしょうか。」
「宰相も以前言っていたであろう。さっさとアルバートを廃嫡とな。それをするときがきたということだ。」
「まあ、廃嫡ではなく、民の前での打首とするがな。」
「愚かなことをしたアルバートは民の前で打首として、その場で王家は教会の対応を非難し、アルバートの命令に唯々諾々と従い教会矜持を持ち合わせていない教会はお受け管轄にすることを宣言する。」
「なに、モンスター被害がでているところに兵とともに神官も強制的に派遣して聖域の強化をするとともに、兵による防衛強化を民が見えるような形ですれば、一時の教会の扇動もすぐに収まるさ。」
教会の上層部も拘束するしな。
長年、頭を痛めていた教会の膿も出し尽くして健全化できそうだ。
「では、辺境にいかされた元聖女も、その機会に復帰させますか?」
たしかに宰相がいうように元聖女を復帰させて治安をもと戻すというのも悪くない。
だが、辺境伯に恩を売っておくためにも、そのままいさせるのも良い。
元聖女を復帰させるのは、いまの神官共を派遣しても駄目だったときの保険としておいたほうが良いであろう。
「元聖女の復帰は今の所は必要な。辺境伯には、元聖女の辺境送りは冤罪であり、戻ってきても良いと文をだせ。」
あの辺境伯であれば、こちらの意図を理解するであろう。
教会は正常化され、辺境の守りは元聖女の力添えもあり安定したものになるであろう。
今回も明るい話ではないですが、引き続きご愛顧、よろしくおねがいします。
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教皇視点
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国王陛下に教会の領域が弱まっているのではないかなどを悪人するために呼び出された。
「国王陛下。民はいつモンスターに襲われるか不安に感じております。我ら教会も全力で対応しておりますが、なにぶん、聖女様の代替わりが急でして、対応しきれていません。」
そう、間違ったことはいっていない。
王家の人間が急に聖女を交代させたので対応に時間を要しているだけであり、悪いのは王家側である。
「では尋ねるが、聖女の代替わりによる混乱はいつ終わる見通しだ。」
まったく、同じような問答を何度させるのか。
「我ら教会も一日でも早く対応したいのですが、対策をとるための寄進を求めても出して頂けず、このままでは10年はかかると思われます。」
あくまでも教会に落ち度はなく、王家が悪いのである。
まったく、寄進を増やすこともせず、民への犠牲が増加していっており王家の信頼は急速に失っている。
教会への非難もでているが、神官共に王家の失態とともに非協力的なために、対応がとれていないと民には説明させている。
おかげで、民への不満は王家に集まっている。
悪あがきをしないで、さっさと折れれば良いものを。
「では、教会側は、このような状況に陥り、もとに戻るまで10年はかかると分かっていたにもかかわらず聖女を交代させたということか。」
おやおや、どうやら協会側の責任にすり替えようと考えているようだ。
「ですから、我らはアルバート王子に聖女の交代はすぐにはできないとお伝えしたのです。しかし、アルバート王子が強硬されるものですから、我らは仕方なく聖女をすぐに交代させることを引き受けたのです。」
どのような言い逃れをしようとも、アルバート王子が主導で行い、教会はしかたなく引き受けたのみ。
責任の所在はアルバート王子にあることは明確。
無駄なことを。
教会に責任をなすりつけることができると思っているのであれば、なんと愚かしいことだ。
「では、あくまでも教会はアルバートの命令に従ったと言うつもりか。」
王は今までの話を聞いていたのか、まったく王家のものは馬鹿ばかりだな。
「はい、我らはアルバート王子に逆らうことができず仕方なく受け入れたのです。」
はい、これで王家の責任であることは確定となった。
まった馬鹿を相手にするのは疲れるな。
さて、王はどうするかな。
顔を真っ赤にして怒るか。それとも武力をチラつかせるか。
なんにせよ、教会は王家の下につくものではない。
王が何を言おうとつっぱねるのみ。
「では、教会は王家に下についたということでよいか。アルバートごときの命令に逆らうこともできないのであれば、相違なかろう。」
はっ?
「我ら教会は、王家の下にはつかないことを忘れたのですか。我ら教会を敵にするおつもりですかな」
王のふざけた言葉に、思わず怒鳴り散らすところであった。
教会は王家の下につかないことは初代国王からも続く国是とも言われるもの。
そのような常識すら分かっていないとは、予想以上の馬鹿とみえる。
「王家の下についたのでなければ、アルバートの愚かな発言をなぜ拒否しなかった。」
「アルバートのような愚か者が下した命令を拒否するためであろう。違うか。」
違うに決まっているだろう、馬鹿王が。
「王家の下につかないとは言え護衛騎士を連れておられるアルバート王子に逆らえば、何をされるかわかりません。しかたなく従ったのであり、王家の下についたのではありません。」
そう溜息を付きたい気持ちをぐっと堪えて答える。
まったく馬鹿とは会話にならん。
「それとも国王陛下は、アルバート王子の言葉に逆らい、その場で我らが殺されれば良いとでもおっしゃるのですかな。」
ほら、馬鹿王、反論できるならしてみろ。
「……」
馬鹿王もさすがにだんまりか。
「あまりの発言にとっさに言葉がでなかったが、お前に教えてやろう。」
お前?何を無礼な。
「王家の下につかないのであれば、当然、命の危険があろうとも断るのは当たり前だ。」
「命令に逆らうこともせず、国難にあたって解決する努力もしない。そのような教会を放置することはできぬ。」
この馬鹿王は何をいい始めている。
頭がおかしくなったのか。
私のような高貴なものに命をかけろなど、愚かすぎる。
「王よ!!」 「黙らぬか!!」
「貴様らのようなものに教会は任せてはいられぬ。王家の下についたのであれば、私が管轄するものとする。」
「さからえば、この場で処断する。」
はっ?
こいつは何をいい始めたのだ。
あっというまに我らは近衛騎士に囲まれ、剣を突きつけられる。
「教皇である私にこのようなことをしてただで済むと思っているのか。」
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、ここまでとは。
「連れて行け」
くそ!!
すぐに釈放されるとは言え、私にこのようなことをするなど許さんぞ。
ーーーーーーーー
国王視点。
最近の教会は私利私欲に溺れていたので、王家管轄にする機会をを模索していたので、良い機会であった。
「しかし、教会の反発も激しくなってくるでしょうし、民もまた、教会に扇動されるでしょう。どうされるおつもりでしょうか。」
「宰相も以前言っていたであろう。さっさとアルバートを廃嫡とな。それをするときがきたということだ。」
「まあ、廃嫡ではなく、民の前での打首とするがな。」
「愚かなことをしたアルバートは民の前で打首として、その場で王家は教会の対応を非難し、アルバートの命令に唯々諾々と従い教会矜持を持ち合わせていない教会はお受け管轄にすることを宣言する。」
「なに、モンスター被害がでているところに兵とともに神官も強制的に派遣して聖域の強化をするとともに、兵による防衛強化を民が見えるような形ですれば、一時の教会の扇動もすぐに収まるさ。」
教会の上層部も拘束するしな。
長年、頭を痛めていた教会の膿も出し尽くして健全化できそうだ。
「では、辺境にいかされた元聖女も、その機会に復帰させますか?」
たしかに宰相がいうように元聖女を復帰させて治安をもと戻すというのも悪くない。
だが、辺境伯に恩を売っておくためにも、そのままいさせるのも良い。
元聖女を復帰させるのは、いまの神官共を派遣しても駄目だったときの保険としておいたほうが良いであろう。
「元聖女の復帰は今の所は必要な。辺境伯には、元聖女の辺境送りは冤罪であり、戻ってきても良いと文をだせ。」
あの辺境伯であれば、こちらの意図を理解するであろう。
教会は正常化され、辺境の守りは元聖女の力添えもあり安定したものになるであろう。
応援ありがとうございます!
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