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6・お誕生日じゃない日、おめでとう
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ルキは目覚めただろうか。シャナの石化はひどくなっていないだろうか。そして何より気になった「実験体」の三文字。……この文字のせいではないだろうか。久しぶりに夢をみた。
*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*
白い部屋。無機質な白さ。なんだか懐かしかった。ずっと奥まで続く廊下の先に誰かいた。私と同じ白髪。同じかわからないけど、赤いリボンをつけていた。髪の長さは、私より短め。男の子のように見えた。声をかけようとしたら、逆に声をかけられた。
『**…いつ***だ*。**を***な*で』
*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*
ここまでが私が覚えている夢。**のところは聞き取れなかった。
「ああ…すっきりしない……;」
ワンダーランド2日目の朝。そろそろ慣れていい頃のはず……なのに、意図の読み取れない夢のせいで熟睡もままならなかった。
(今日もこの世界を探検しようかなあ…)
朝食を食べながらまだ意識がはっきりしない頭でそう考えた。すると、ドアの開く音がして、アリスが入ってきた。右手には手紙らしきものを持っていた。
「森の中のお茶会に呼ばれたんだけど、代わりに行ってきてくれる?」
あ、おはようは無いんだ…。きっと拒否権は無いだろうし、お茶会は少し楽しそうだな…と思って引き受けた。
やっぱりこの世界では何か催し物に参加するにはその催し物の主催者による「招待状」が必要なようで。アリスが持っていた手紙は今向かっているお茶会の招待状。受け取ってお城を後にした。
進んでいくと、お菓子とお茶(多分紅茶かなぁ?)のいい香りがしてきた。香りをたどって着いた場所は、少し開けた空間。
突如、ファンファーレとパンッというクラッカーの音。
「「「お誕生日じゃない日、おめでとう!!」」」
三人分のそろった声が聞こえた。
「あれ?ありすちゃんじゃないよ?だあれ?」
ネズミの耳と尻尾が生えた子供が尋ねた。……ティーポットの中から顔を出して。
「私はメア。アリスに頼まれて、代わりに来たの。」
ネズミ君には大きすぎるかと思い、招待状は誰に渡すかと考えていると、奥から深くシルクハットをかぶって燕尾服を着た男の人が出てきた。手紙を渡すとさっと目を通して、
「……そこの席。使っていいよ」
と、小さな声で言った。帽子屋さん。ネズミさん。あと1人足りない?
「みっきぃ!おちゃまだあ?」
ティーポットの中のお茶を飲み干したらしく、ネズミさんはみっきぃという人を呼んだ。(某ネズミのことじゃないはず;)
「はいよ。お、新入りさん!」
来ましたウサギさん!この世界はうさぎが多いね。まだ2人目(二匹?)だけど。うさぎさんは、これまたお洒落な服を着ていて。余談だけど、ファンタジーなこの世界で男の子が着ている頻度が高い服は白シャツの上に黒いチョッキ、パンプキンズボンなんだね。
そう考えていると、うさぎさんはこちらに近づいてきて神妙な顔で尋ねた。
「………君は、今日お誕生日?」
質問の意図はわかる。誕生日ではないので、首を横に振るとうさぎさんの顔がパッと明るくなった。
「おお!それはなんともおめでたい!!これは一刻も早くお祝いしなきゃ!」
白いテーブルクロスのかかった長いテーブルの真ん中の席に座った。三人はケーキやお菓子を取り分けている。
名前はみっきい、ちい、帽子屋という名前らしい。
「あ!そのまかろんぼくのぼくの!」
「はいはい、わかってるよ。」
「…新しい紅茶持ってくる?」
なかなか仲がいいのだろう。誰からともなくお茶会は着々と進められている。
「はい!どーぞ!」
「ありがとう…!」
ケーキと紅茶が前に置かれた。ケーキ…よりはタルトに近いかも。上にイチゴやラズベリーなどのベリーが乗って、その上にゼリーがかかったようなタルト。……美味しそう。
「頂きます!」
一口大に切って口に運ぶ。その瞬間広がる甘い風味。タルト生地の上のクリームチーズがトロッと口の中でとけ、後から来るタルト生地のサクサクとした食感。ふう…そのあとの紅茶の美味しさときたら…
「ふふっきみおいしそうにたべるねーっ!」
「むぐっ!?///」
なぜかちょっと恥ずかしい;本当に美味しかったから………
「美味しくて良かった。これ、僕が作ったお茶の葉。まあ、正しくは育てた。だけどね。」
…お菓子は味が甘いだけじゃなくて、その場も和ませてくれる。幸せな時間。誰かと一緒にいることがすでに和やか。………あれ?
一緒?誰かと…?誰か……ダれか…だれか..だれ…
…………………
…
……………
「**は**トイッ**……ず****ダよ」
……
……………
「おーい…おきてー?」
気がついたら眠ってしまったみたい。三人はまだお茶を飲んでいる。ケーキなどはもうなくて、代わりにたくさんのお茶の葉が入ったと思しき袋がある。
「?疲れちゃったかな?僕たちは毎日お茶会ここでやってるから、良かったらまた来てね!」
またあの夢をみた。今度は声だけだったけど……あの白髪の男の子の声…だと思う。本当に疲れちゃったのかな?
ま、大丈夫。明日も…………?
帰路について、お城を目指すときふと頭を微かな疑問がよぎった。
彼は…みっきいは「毎日」やると言っていた。………
じゃあ、彼らのお誕生日はいつ来るの?
*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*
白い部屋。無機質な白さ。なんだか懐かしかった。ずっと奥まで続く廊下の先に誰かいた。私と同じ白髪。同じかわからないけど、赤いリボンをつけていた。髪の長さは、私より短め。男の子のように見えた。声をかけようとしたら、逆に声をかけられた。
『**…いつ***だ*。**を***な*で』
*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*
ここまでが私が覚えている夢。**のところは聞き取れなかった。
「ああ…すっきりしない……;」
ワンダーランド2日目の朝。そろそろ慣れていい頃のはず……なのに、意図の読み取れない夢のせいで熟睡もままならなかった。
(今日もこの世界を探検しようかなあ…)
朝食を食べながらまだ意識がはっきりしない頭でそう考えた。すると、ドアの開く音がして、アリスが入ってきた。右手には手紙らしきものを持っていた。
「森の中のお茶会に呼ばれたんだけど、代わりに行ってきてくれる?」
あ、おはようは無いんだ…。きっと拒否権は無いだろうし、お茶会は少し楽しそうだな…と思って引き受けた。
やっぱりこの世界では何か催し物に参加するにはその催し物の主催者による「招待状」が必要なようで。アリスが持っていた手紙は今向かっているお茶会の招待状。受け取ってお城を後にした。
進んでいくと、お菓子とお茶(多分紅茶かなぁ?)のいい香りがしてきた。香りをたどって着いた場所は、少し開けた空間。
突如、ファンファーレとパンッというクラッカーの音。
「「「お誕生日じゃない日、おめでとう!!」」」
三人分のそろった声が聞こえた。
「あれ?ありすちゃんじゃないよ?だあれ?」
ネズミの耳と尻尾が生えた子供が尋ねた。……ティーポットの中から顔を出して。
「私はメア。アリスに頼まれて、代わりに来たの。」
ネズミ君には大きすぎるかと思い、招待状は誰に渡すかと考えていると、奥から深くシルクハットをかぶって燕尾服を着た男の人が出てきた。手紙を渡すとさっと目を通して、
「……そこの席。使っていいよ」
と、小さな声で言った。帽子屋さん。ネズミさん。あと1人足りない?
「みっきぃ!おちゃまだあ?」
ティーポットの中のお茶を飲み干したらしく、ネズミさんはみっきぃという人を呼んだ。(某ネズミのことじゃないはず;)
「はいよ。お、新入りさん!」
来ましたウサギさん!この世界はうさぎが多いね。まだ2人目(二匹?)だけど。うさぎさんは、これまたお洒落な服を着ていて。余談だけど、ファンタジーなこの世界で男の子が着ている頻度が高い服は白シャツの上に黒いチョッキ、パンプキンズボンなんだね。
そう考えていると、うさぎさんはこちらに近づいてきて神妙な顔で尋ねた。
「………君は、今日お誕生日?」
質問の意図はわかる。誕生日ではないので、首を横に振るとうさぎさんの顔がパッと明るくなった。
「おお!それはなんともおめでたい!!これは一刻も早くお祝いしなきゃ!」
白いテーブルクロスのかかった長いテーブルの真ん中の席に座った。三人はケーキやお菓子を取り分けている。
名前はみっきい、ちい、帽子屋という名前らしい。
「あ!そのまかろんぼくのぼくの!」
「はいはい、わかってるよ。」
「…新しい紅茶持ってくる?」
なかなか仲がいいのだろう。誰からともなくお茶会は着々と進められている。
「はい!どーぞ!」
「ありがとう…!」
ケーキと紅茶が前に置かれた。ケーキ…よりはタルトに近いかも。上にイチゴやラズベリーなどのベリーが乗って、その上にゼリーがかかったようなタルト。……美味しそう。
「頂きます!」
一口大に切って口に運ぶ。その瞬間広がる甘い風味。タルト生地の上のクリームチーズがトロッと口の中でとけ、後から来るタルト生地のサクサクとした食感。ふう…そのあとの紅茶の美味しさときたら…
「ふふっきみおいしそうにたべるねーっ!」
「むぐっ!?///」
なぜかちょっと恥ずかしい;本当に美味しかったから………
「美味しくて良かった。これ、僕が作ったお茶の葉。まあ、正しくは育てた。だけどね。」
…お菓子は味が甘いだけじゃなくて、その場も和ませてくれる。幸せな時間。誰かと一緒にいることがすでに和やか。………あれ?
一緒?誰かと…?誰か……ダれか…だれか..だれ…
…………………
…
……………
「**は**トイッ**……ず****ダよ」
……
……………
「おーい…おきてー?」
気がついたら眠ってしまったみたい。三人はまだお茶を飲んでいる。ケーキなどはもうなくて、代わりにたくさんのお茶の葉が入ったと思しき袋がある。
「?疲れちゃったかな?僕たちは毎日お茶会ここでやってるから、良かったらまた来てね!」
またあの夢をみた。今度は声だけだったけど……あの白髪の男の子の声…だと思う。本当に疲れちゃったのかな?
ま、大丈夫。明日も…………?
帰路について、お城を目指すときふと頭を微かな疑問がよぎった。
彼は…みっきいは「毎日」やると言っていた。………
じゃあ、彼らのお誕生日はいつ来るの?
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