神様のお導き

ヤマト

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続!0話目!チュートリアル②

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「それでは、まず食材の調達からですね」
 僕はアキラくんの言い方に、少し引っ掛かりを覚えた。
「食材を調達するぅ…?」
 調達するという言い方は変ではないか? だって、そこに冷蔵庫があるのに、何を調達するというのか。
「見ればわかりますよ」
 そう言ってアキラくんは、冷蔵庫の扉を開いた。すると、そこは僕が想像していたものとは、だいぶ…かなり掛け離れていた。
「こ、これは…」
 冷蔵庫の扉をの向こうには、野菜や食材が並んでいるわけではなく、そう、まるでスーパー! 見た事のある食材から未知の食材まで、まるでスーパーの店内のように、たくさんの種類の食材が種類別に大量に並べられている。しかも、冷蔵庫大きさよりもかなり拾いスペースが広がっていて、どうやら別の空間に繋がっているようだった。
「どうぞ、入ってください」
「はえー…」
 驚きのあまり語彙力を無くした僕は、呆然としながら、冷蔵庫の中へと足を踏み入れた。少し肌寒いくらいで、冷蔵庫の中にいるのだと自覚する。冷凍チルドもあるようで、中を覗けばアイスやアイスやアイスなどがぎっしり詰まっていた。
「凄い…めっちゃ便利…」
「因みに、一定の食材はなくなれば自動で追加されますし、この中にあれば腐ることもありません。ただ加工食品やお菓子などは、補充されませんので、定期的に買い出しに行かなくてはなりません。そこだけご注意を」
「りょ、了解」
 神様って、本当になんでも出来るんだな。しみじみとそう思う。一昨日までいた世界を思い出すと、天と地の差の便利さで、驚きっぱなしだ。
「とりあえず、今日はオーソドックスに白米と味噌汁と鮭にしましょうか。毎日目玉焼きと味噌汁じゃ飽きますしね」
「毎日目玉焼きと味噌汁なんだ…」
 神様とは言えど、わりと普通の食生活送ってたことに少し親近感が出る。でも社会人にとっては、白米と味噌汁と目玉焼きだけでも十分手間なのだが。僕は食パンだけで済ませてしまう。
「冷蔵庫の中は広いですし、食材も多いですから、場所を覚えるのには時間がかかると思いますが、覚えるまではちゃんと僕が一緒に仕事しますので、安心して下さい」
「あ……」
 僕は仕事という言葉に、直ぐに返事出来ずに口ごもってしまった。ブラック企業に勤めていた僕だが、仕事も多分、できる方ではなかった。毎日上司に叱られて、あれも出来ないのか、それは前にも言ったばっかりだとか、口煩く言われた。
 そんな僕の様子に気づいたのか、アキラくんは「どうかしましたか?」と、僕にそう聞いてくれた。
「あ、いや……恥ずかしい話、僕、仕事って出来る方じゃないんだよね……、多分……。物覚えも遅いと思うし、アキラくんに凄い迷惑掛けちゃうかもって思って……」
 また迷惑を掛けて叱られる。それは良いけど、もし呆れられたりでもしたら……。せっかく僕にチャンスをくれて、とてもよくしてくれる人たちを失望させでもしてしまったら……。そう思うと、怖くなる。不安で胸が押し潰されそうになる。
 しかし、そんな僕の不安を、アキラくんはあっさり断ち切ってしまった。
「……それは、心配いりませんよ。僕が覚えるまで一緒に仕事すると言ったら、それに二言はありません。極端な話、貴方の寿命が終わるまで、ずっと一緒に仕事しても構いません。僕は先生――伊織さんたちに比べたら、まだまだ若いですけど、それでも僕は拓斗さんより遥に年上で、寿命という概念もありません。だから、拓斗さんの一生、ずっと付きっきりで仕事を教えても、僕からしたら大した時間ではありません。時間なんて一瞬です。いつまでも御付き合いしますよ」
 僕は、アキラくんの言う言葉のスケールが、自分の価値観とかなりズレていて、思うように納得は出来なかったが、それでも、彼の中での僕の一生は一瞬で、僕からしたら仕事を覚えるのに時間がかかることさえも遅くは感じないというのはわかった。
「…………」
 スケールの違いに言葉が詰まるが、僕はアキラくんの気遣いに、「そっか」と、はにかんでみせた。その言葉に安心すると共に、同時に少し寂しさも覚える。
「そっか、僕の一生は君たちにとっては一瞬なんだね…」
 僕がそう笑うと、アキラくんは何か思うことがあるのか、僕を一瞥してからゆっくり口を開いた。
「……まぁ、万が一、この仕事を凄く気に入るという物好きであれば、先――伊織さんが貴方の寿命を伸ばしたりするかもしれませんね。逆に、仕事があまり合わないと言うことであれば、僕たちも無理強いはしません。街で一人で暮らせるように、きっと彼らは貴方を応援してくれます。そして、僕らは記憶の容量がとても大きい上、記憶力も良い。短い一生やたった数時間の一時であっても、僕らは決して貴方の事を忘れません」
「…………」
 どうしてだろう? アキラくんが、ただ僕を励ますだけに言った言葉かもしれないのに、何故だか僕は、鼻の奥がツンとした。僕の存在を認めてくれる、そんな人がいることに、何故だか僕は、とても感動していた。おかしいな、ここに来てから、何度も泣きそうになっている。涙腺……弱くなっちゃったかな。
 僕は泣きそうになるのを堪えて、アキラくんに満面の笑みを作ってみせた。
「アキラくん、ありがとう」
 たとえその言葉が嘘でも本当であっても、僕にとってはその優しさが、とても嬉しい。
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