神様のお導き

ヤマト

文字の大きさ
67 / 173
2話目!銀の章 アダマス

2-2

しおりを挟む
 僕は銀さんに連れられて、たくさんの屋台の食べ物を食べた。焼きそばやたい焼きに似た食べ物などもあって、少し親近感を覚える。
「屋台のご飯ってなんでこんなに美味しんだろ!」
「ん~、雰囲気じゃない? 雰囲気も含めて屋台の味って感じ~」
「あっはは! そうかも」
 銀さんでもそういうことは思うんだな。僕は楽しくなって、顔をほころばせて笑った。
 そうやって食べ歩きをしていると、「よっ! そこの二人組の兄ちゃん!」と、店の人に声を掛けられた。何かと思い、僕と銀さんは咄嗟にその声の聞こえた方へと顔を向ける。視界の先にあったのは、たくさんの商品が並べられた射的屋だった。
「どうだい! 一回やってみないかい!」
 元気のある店主に僕は少し圧倒されながらも、銀を見た。先程から食べ歩きはしていたが、こう言った遊ぶ店には足を止めてはいなかった。
「どうするの?」
 僕がそう銀さんに聞くと、銀さんは僕を一瞥だけして、射的屋のコルク銃を手に取った。
「おっ、やる気だねぇ!」
「言っとくけど、俺、凄いよ」
 銀さんは、店主にお金を払い、コルク銃を構えた。玩具の銃だと分かっているのに、それでも銃を構える銀さんは、とても迫力があってカッコよかった。
 銀さんは無言で商品が並ぶ棚に狙いを定めると、一発、また一発と、何の迷いもブレもなく、ポンポンと商品を倒していく。
 その正確さとスピードに、僕も店主も圧倒され、ポカンと口を開いて固まってしまう。あっという間に全ての商品が銀さんの手によって倒されてしまい、そこでハッと我に返った店主が、「うわぁー!」と、叫んだ。
「こりゃ驚いた! まさかこんなにも早く全部倒しちまうなんて! うちも商売上がったりだねぇ!」
 それでも嫌な顔一つしない店主には驚いたもので、これは商人の鏡だと僕は思った。
「まぁこんなたくさん商品貰っても仕方ないし、俺とこいつの二つ分だけくれたら良いよ。俺もそこまで鬼じゃないから」
「えっ!? 良いのかい!? なんか俺から呼び込んだのにすまないねぇ!」
「ん」
 銀さんは特に店主の為を思って言った訳でも無さそうで、本当に全部貰っても仕方ないからそう言った風だった。
 銀さんは僕に目線をやると、店主が並べてくれた、たくさんの商品たちを指差した。
「好きなの貰えるみたいだし、先に一つ選びなよ」
 僕は銀さんに促され、乱雑に並べられた商品、一つ一つに目を通した。せっかく銀さんが取ってくれたんだから、ちゃんと真剣に良いものを選びたい。並べられてる商品は、やはり子供向けの屋台だからか、人形や玩具、ぬいぐるみなどが多かった。それでも大人に向けた商品もチラホラあって、僕はその中で一際存在感を放つ鳥のモチーフをしたブローチに目が惹かれた。
「おっ! お客さん、目が高いねぇ! それは天空を守護する鳥の精霊をモチーフに作られた代物でね。身につけてると、その精霊に守られるって話だよ」
「へー……!」
 僕は店主の話を聞いて、ますますそのブローチに惹かれた。色んな角度から見てみても、細部まで綺麗に作り込まれており、目の部分は、赤い宝石が嵌め込まれている。銀さんも横からそのブローチをマジマジと見ていたが、鑑定結果、とても良いものなのか、銀さんにも「いいんじゃない」と、勧められた。
「その目に嵌め込まれてる宝石も良いものだし、確かにそのブローチからは精霊の加護を感じる」
「兄ちゃん、わかるのかい!?」
「ん、まぁね。そのスーツにも似合いそうだし、それにしたら?」
 銀さんのお墨付きももらったことで、僕は「うん、そうする!」と、声を弾ませて返事をし、早速、着ていたスーツの襟にそのブローチを付けてみた。
「ど、どう? 変じゃない? 着負けしてない?」
 僕はどうにも、自分が平凡な容姿であることに、必要以上に自覚を持っていて、何を着るにも服に負けてないかとかを気にしてしまう。そんなこと気にしないで、好きなものだけ着れば良いのはわかっているのだけれど、それもなかなか叶わない。
「おっ! 良いねぇ! 兄ちゃん似合ってるよ!」
「うんうん、似合う似合う」
 店主は凄く勢い良く褒めてくれるが、銀さんは本当にそう思ってるかわからない、抑揚のない声で淡々と褒めながら、手を軽く叩いてくれる。どう受け取ったら良いのかわからないが、褒めるのが苦しいほど似合っていない訳ではなさそうだし、僕は満足して店主と銀に礼を言った。このブローチは思い出の記念になるだろう。大切にしようと密かに心に誓った。
「銀さんは何を選ぶの?」
「ん?」
 僕が商品を選び終わり、今度は銀さんが選ぶ番になった。銀さんは「ん~……」と、少し唸った後、直ぐにある一つの髪留めを手に取った。
「あれ? 女物のようだけど……」
 銀さんも髪は長いが、手に取った髪留めは女性向けのもので、銀さんには似合いそうにない。髪留めには白く輝く宝石の花がいくつも並べられており、繊細な装飾がされている。
「ん、白に良いかなって」
「!」
 あんなに白さんから離れたがっていたのに、銀さんはやっぱりなんだかんだ白さんのことを大切に思っているのだろう。気分転換に遊びに来たというのに、結局白さんのことを考えている。僕は、そんな銀さんを見て、心がホクホクとして微笑ましくなり、うっかり頬が緩んでしまった。
「何、その顔」
 それが銀さんの気に障ったのか、僕は銀さんから片手で両頬を押さえつけられ、銀さんに謝る羽目となった。
「イデデデデ! ごめんなひゃい!」
「ん」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

処理中です...