神様のお導き

ヤマト

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2話目!銀の章 アダマス

2-1

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「拓斗、今から出掛けるよ」
「えっ!?」
 皿洗いを終えた頃、突然銀さんにそう言われ、僕は思いもしない誘いにギョッとして目を丸くした。
 聞き間違いかな?
 そう思うくらい意外な誘いだった。そもそも銀さんは必要以上に外には出たがらないし、一人の方が好きそうな上、ましてや同行者に白さんではなく、僕を選ぶだなんて。どんな風の吹き回しだと目を丸くしていると、銀さんが苦虫を数匹噛み潰したような表情をして、事の経緯を話してくれた。



 銀は部屋の前に置いてある洗濯物の入った洗濯カゴをそのままにしていることがある。そうすると、すぐさま隣の部屋の白が来て、銀を叱る。
「銀、ちゃんと洗濯物は畳まなきゃダメよ」
 一人で必要以上にゴロゴロしている時も――
「銀、そろそろ少しは動いた方が良いよ」
 先程ご飯を食べている時も――
「銀、好き嫌いはダメ! 陽菜もちゃんと食べてるでしょ」
 端に寄せていたピーマンを無理矢理食べさせられた。
 そして、叱らない普段の時も――
「銀、一緒にゲームしましょ!」
「銀、一緒に買い物に行きましょ!」
「銀、一緒に釣りに行きましょ!」
「銀、一緒にお菓子を半分こしない?」
「銀、一緒に寝ましょ!」
「銀、一緒にお風呂に入りましょ!」

 などなど、常に銀にベッタリなのである。



「ってなわけで、そろそろ限界。さっきも一緒にギター弾かないか言われたけど、今日は拓斗と街に出掛ける約束してるって言って逃げてきた……」
「そ、それは御愁傷様……」
 普段はしっかりしている白さんだが、どうも双子の弟である銀さんには激甘らしく、話を聞く限り、銀さんは定期的にガス抜きをしているらしい。正直、あんな綺麗なお姉さんに毎日甘やかされてるのは羨ましい限りだ。白さんにゾッコンLOVEな優輝さんは、このことをどう思っているのだろうか……。
「拓斗、街見学とかしたいでしょ。俺が良いとこ連れてってあげる」
「え、良いんですか!?」
「ん。まぁせっかくだからね。アキラに拓斗と俺の分、晩飯要らないのと、晩の皿洗いよろしく言っといて」
 そんなわけで、僕はひょんな事から銀さんとテラの街へ出かけることとなったのだ!



 銀さんが連れてきてくれたのは、アキラくんが連れてきてくれたビル群の街とはまた違った活気のある街だった。どこもかしこもお祭り騒ぎで、露店や屋台が立ち並び、店の主が皆他の店に負けじと大声で客の呼び込みをしている。ここは大きな商業の街と言った感じだった。露店以外にもサーカスや手品の舞台、アクションヒーローショーのようなテーマパークのようなものもあった。
「うわぁ……! すごいね! めっちゃ楽しそう!」
 見ているだけで目が楽しい。銀さんは満足そうに少し目を細めた。
 銀さんはと言うと、この前白さんが着けていたマスク同様、色違いの黒いマスクを着けていた。口元が隠れて表情こそ読み取りづらいが、銀さんも楽しんでいるようだった。
「なんか少し意外です」
「え、何が?」
 僕がそうポツリと呟くと、銀さんは不思議そうにそう聞き返してきた。
「いや、なんかこういう騒がしいところ、銀さんってあんまり好きそうじゃなかったから……」
「あー、ね」
 銀さんは「んー」と、少し間を開けてから、その疑問に答えてくれた。
「正直、普段は騒がしいのとか、あんま嫌いだよ。でもあぁやって付き纏われて、派手に気分転換したい時は、普段とは違う、こういう賑やかな所に来たくなるんだよねー」
「あぁ、それはなんかわかります。普段と違う環境に身を置きたくなりますよね」
「それー」
 銀さんはうんうんと僕の意見に賛同して、小さく首を縦に振った。
「あと、ずっと思ってたけど、敬語とか面倒臭いから、敬語じゃなくて良いよー。呼び方も呼び捨てで良いし。まぁ君がアキラみたいに敬語キャラなら話は別だけどー」
 くぁ……と、銀さんはマスクの下で大きな欠伸をして、僕に気を遣ってか、はたまた本当に面倒だと思ってか、そう言ってくれた。
「え、でも……」
 と、突然そんな提案をされて、しどろもどろになる僕だが、銀さんは「いーからいーから」と、僕に拒否権を与えてくれなかった。
「じゃ、じゃあ……うん。で、でも、急に呼び捨てとかできないし、もう銀さんで慣れちゃったから呼び方は銀さんのままで!」
 今までさん付けで呼んでいた人を、急に呼び捨てで呼ぶのは凄く緊張する! 僕は銀さんの好意を無下にしてしまったような気がして、少し挙動不審になってしまった。
「あははー、ワタワタしておもしろーい」
 本当に面白いと思っているのかわからないが、銀さんはあまり表情を変えず、そう僕をからかった。
「じゃあ、取り敢えず、街回ろっか。食べ歩きしよー」
「あ、はい! あっいや、うん!」
 僕がタメ口に慣れるのは大変そうだった。
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