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4話目!薫の章 硝子の中の景色
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今日は日ノ国のほうへと、日ノ国の食べ物を買いに来ていた。やっぱり日本と似ているだけあって、お寿司とかたい焼きとか、日本の食べ物にそっくりなものがたくさんあって、僕はとても親近感を覚えた。住むなら、やっぱりこういう元々住んでた場所に近い方が良いかもなぁ、なんて思いながら、僕はアキラくんと買い物を終わらせ、人気のない場所に移動して、家に帰るところだった。いつもより鬱蒼とした森の中は少し不気味で、夜に来たら幽霊でも出そうな雰囲気。一人では極力近寄りたくないな。
そうぼんやり考えていた時だ。ガサガサと茂みが揺れて、僕は思わず後ろへと後ずさった。
「な、何!?」
驚く僕に対して、アキラくんは表情一つ変えずに一応僕を庇うようにして、僕の前に立ってくれた。しかし、出てきたのは予想外のもので、僕は目を丸くしてそれを凝視するのだった。
「どいてどいて!」
現れたのは、なんと童話などでよく見る小鬼の姿だった。真っ赤な肌に癖のあるクルクルとした髪。頭から日本の角が生えており、歯はサメのようにギザギザ。爪は人より長く鋭い。彼はボロボロの着物を着ており、酷く慌てた様子で、大事そうに大きな壺を抱えながら走っていた。その後ろの方から人の声もする。
「追え! 逃すな!」
「絶対に捕まえろ!」
どうやらその小鬼は、彼らから逃げているらしく、捕まるまいと必死なようだ。
小鬼は僕らのすぐ近くにあった大きな木の茂みの影に隠れ込み、そのまま音を立てないように、静かに息を殺した。
当然、その後、小鬼の後を追っていた人達が現れて、僕らを見るや否や先程の小鬼の居場所を聞いてきた。
「おい、あんちゃんたち、さっきここらへんにちっこい鬼が通らなかったか!?」
「でっけぇ壺を抱えててさ」
それはさっきの小鬼の特徴に一致する。アキラくんをチラリと見ると、アキラくんは無関心そうにしていて、僕はアキラくんが口を開く前に彼らに質問し返した。
「その小鬼がどうかしたんですか?」
僕がそう聞くと、彼らは顔を見合わせてから、あっさりと事情を教えてくれた。
「実はな、わしは薬屋を営んでいるのだが、そこで一番高い薬の入った壺を小鬼のやつに盗まれたんじゃ」
「わしはその友人で、こいつからよくその薬を安くしてもらって買っておる。こいつのとこ以外で買うとバカ高いからあの壺がないと困るんじゃ」
「なるほど」
どうも悪いのはあの小鬼の方で、彼らは盗まれたものを取り返そうとしているだけらしい。このまま小鬼の居場所を教えても良いが、小鬼にもきっと盗んだ事情もあるだろう。
「あの、もしその小鬼を見つけたらどうするんですか?」
恐る恐るそう聞くと、彼らはキッと目を釣り上げて、怒りながらこう言った。
「当然、もう二度とこんなことせんよう懲らしめるけぇのぉ」
「それに相手は子供とは言え鬼じゃ。油断したらこっちが食われる。半殺しぐらいにはせんと」
それを聞いて、僕はゾッとした。少しやり過ぎでは無いか? そう思ったが、間違っても彼らの前でそんなことは口にはしなかった。すれば、きっと鬼の肩を持つのかと、僕らもどうなるかわからない。
「んで、小鬼の奴は見たか? 音だけでも良い」
「えっと、さっき向こうで音は聞いたけど、小鬼かどうかわかりませんよ」
「ほいでも良い! あんちゃんらありがとうな!」
「急いで行くぞ!」
彼らは急いで僕が指指した方へと行き、森の奥へと姿を消していった。それを見送ったあと、アキラくんが呆れた顔でこちらを見た。
「なんで嘘を吐いたんですか」
アキラくんにそう質問され、僕は「えっと……」と、口ごもった。
「だって、半殺しだよ……? あんな小さいのに、半殺しって……」
僕がおずおずとそう言えば、アキラくんは深い溜め息を吐いて、「良いですか?」と、言葉を続けた。
「この国では人間と妖怪は対立状態にあります。小鬼だからとは言え、普通なら生かしてはいられません。半殺しでも殺さないだけ優しいもんですよ。彼らは甘い方なんです。きっと酷いと思うのは貴方だけのものでしょうよ」
それを聞かされ、僕は「えっ」と、驚きの声を上げた。そんな生死に関わるような関係なのか。半殺しでも甘い世の中なのか。なんて殺伐とした世界なんだ。僕は言葉に詰まった。僕のしたことは間違いだったのか。そう後悔しそうにもなったけど、そんな時、先程の茂みの方からガサガサという音が聞こえた。音の方へと視線を向けると、そこには先程の小鬼の頭と角が見えていた。
そうぼんやり考えていた時だ。ガサガサと茂みが揺れて、僕は思わず後ろへと後ずさった。
「な、何!?」
驚く僕に対して、アキラくんは表情一つ変えずに一応僕を庇うようにして、僕の前に立ってくれた。しかし、出てきたのは予想外のもので、僕は目を丸くしてそれを凝視するのだった。
「どいてどいて!」
現れたのは、なんと童話などでよく見る小鬼の姿だった。真っ赤な肌に癖のあるクルクルとした髪。頭から日本の角が生えており、歯はサメのようにギザギザ。爪は人より長く鋭い。彼はボロボロの着物を着ており、酷く慌てた様子で、大事そうに大きな壺を抱えながら走っていた。その後ろの方から人の声もする。
「追え! 逃すな!」
「絶対に捕まえろ!」
どうやらその小鬼は、彼らから逃げているらしく、捕まるまいと必死なようだ。
小鬼は僕らのすぐ近くにあった大きな木の茂みの影に隠れ込み、そのまま音を立てないように、静かに息を殺した。
当然、その後、小鬼の後を追っていた人達が現れて、僕らを見るや否や先程の小鬼の居場所を聞いてきた。
「おい、あんちゃんたち、さっきここらへんにちっこい鬼が通らなかったか!?」
「でっけぇ壺を抱えててさ」
それはさっきの小鬼の特徴に一致する。アキラくんをチラリと見ると、アキラくんは無関心そうにしていて、僕はアキラくんが口を開く前に彼らに質問し返した。
「その小鬼がどうかしたんですか?」
僕がそう聞くと、彼らは顔を見合わせてから、あっさりと事情を教えてくれた。
「実はな、わしは薬屋を営んでいるのだが、そこで一番高い薬の入った壺を小鬼のやつに盗まれたんじゃ」
「わしはその友人で、こいつからよくその薬を安くしてもらって買っておる。こいつのとこ以外で買うとバカ高いからあの壺がないと困るんじゃ」
「なるほど」
どうも悪いのはあの小鬼の方で、彼らは盗まれたものを取り返そうとしているだけらしい。このまま小鬼の居場所を教えても良いが、小鬼にもきっと盗んだ事情もあるだろう。
「あの、もしその小鬼を見つけたらどうするんですか?」
恐る恐るそう聞くと、彼らはキッと目を釣り上げて、怒りながらこう言った。
「当然、もう二度とこんなことせんよう懲らしめるけぇのぉ」
「それに相手は子供とは言え鬼じゃ。油断したらこっちが食われる。半殺しぐらいにはせんと」
それを聞いて、僕はゾッとした。少しやり過ぎでは無いか? そう思ったが、間違っても彼らの前でそんなことは口にはしなかった。すれば、きっと鬼の肩を持つのかと、僕らもどうなるかわからない。
「んで、小鬼の奴は見たか? 音だけでも良い」
「えっと、さっき向こうで音は聞いたけど、小鬼かどうかわかりませんよ」
「ほいでも良い! あんちゃんらありがとうな!」
「急いで行くぞ!」
彼らは急いで僕が指指した方へと行き、森の奥へと姿を消していった。それを見送ったあと、アキラくんが呆れた顔でこちらを見た。
「なんで嘘を吐いたんですか」
アキラくんにそう質問され、僕は「えっと……」と、口ごもった。
「だって、半殺しだよ……? あんな小さいのに、半殺しって……」
僕がおずおずとそう言えば、アキラくんは深い溜め息を吐いて、「良いですか?」と、言葉を続けた。
「この国では人間と妖怪は対立状態にあります。小鬼だからとは言え、普通なら生かしてはいられません。半殺しでも殺さないだけ優しいもんですよ。彼らは甘い方なんです。きっと酷いと思うのは貴方だけのものでしょうよ」
それを聞かされ、僕は「えっ」と、驚きの声を上げた。そんな生死に関わるような関係なのか。半殺しでも甘い世の中なのか。なんて殺伐とした世界なんだ。僕は言葉に詰まった。僕のしたことは間違いだったのか。そう後悔しそうにもなったけど、そんな時、先程の茂みの方からガサガサという音が聞こえた。音の方へと視線を向けると、そこには先程の小鬼の頭と角が見えていた。
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