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6話目!黒乃の章 記憶の足跡
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僕はこの前桜にキキキキスされたようなされてないような夢か現かわからない現象に陥り、しばらくの間、桜を見かけても挙動不審だった。あの時はめちゃくちゃ眠たかったし!僕の夢かもしれない! 気付いたら床に寝転がってたし!
僕はソワソワとした様子で居間をくぐり抜ける。すると、そこに、運良く? 運悪く? 桜がいて、桜はニコニコと笑顔を作ってこちらに手を振ってくれた。桜にとってはなんでもない行動なんだろうけど、僕には刺激が強すぎて……? なんかよく分からないけど、ちょっとドキドキしちゃって、ギクシャクしながら桜に手を振り返していた。
僕はおかしくなってしまったのかもしれない。
僕がロボットのような動きで桜に手を振っていると、僕の背後からケラケと豪快に笑う声が聞こえた。
「ギャハハハハハハ! ウケる」
「く、黒乃!?」
その声の主は黒乃さんで、彼は八重歯を見せながら可笑しそうに笑っていた。
「お前桜となんかあったんか?」
「え!? べべべ別に!?」
「うっは、挙動不審でウケる」
僕の尋常じゃない態度がそんなに面白いのか、黒乃はお腹に片手を当ててゲラゲラと笑った。
僕は最近、黒乃と仲が良い。と、言うのも、以前から人助けはしたいのに、いつも神様である彼らの手を借りてばかりだ。僕も少しでも力になれるように、まずは体力作りから始めたのだ。そこで最近はトレーニングルームを借りて、筋トレや体力作りに勤しんでいるのだが、元々体を動かすのが好きな黒乃や司さんと交流を持つようになったのだ。黒乃には体力がある程度ついたら格闘技なども教えてもらうようお願いしている。人助けに力はいらないかもしれないけど、何かを守るために強くなるのは決して悪いことでは無いはずだ。
そんな訳で、僕と黒乃とはある程度気がしれた仲。黒乃も桜同様、敬語やさん付けが嫌いらしく、僕は友達のように砕けた感じで接している。
黒乃が僕に話しかけてきたということは――
「おう、拓斗。今からちょっくらランニングに行かねぇか?」
――やっぱり。トレーニングのお誘いだ。たまにこうして僕をトレーニングに誘ってくれる。僕も断る理由などないので、すぐに「うん!」と返事を返した。
「うっし。じゃあさっさと準備して行くぞ!」
僕は黒乃に連れられて、テラの町外れの山道を走っていた。木々が青々と生い茂り、葉の隙間から木漏れ日が差す。木々がたくさん生えているから木陰になっていて、走っていても涼しい。肌を吹き抜ける風も相まってとても気持ち良い。働いてる時は運動なんてやる暇もなければ、やりたいとも思わなかった。学生の頃の体育のランニングだって、そこまで好きではなかった。けれど、こうやって誰かと走って、景色の良い場所を眺めているだけでも、とても楽しいということを最近知った。大人になってからは怒られてばかりで、特に新しい発見とかなかったけど、針山家に来てからは発見と驚きの毎日だ。日々がとても充実していて楽しい。
僕は黒乃の隣を走りながら、しみじみと思いにふけっていたのだが、耳に入ってきたとある声に足を止めた。
「にゃー! にゃー!」
どこからか甲高い声で猫が叫んでいるのが聞こえる。一体どこからだろう。
僕が足を止め、辺りをキョロキョロと見渡しているのを見て、黒乃もそれを察して足を止めた。
「どこかに猫がいる」
「なんだよ、猫大好きか?」
「いや、好きだけど、この鳴き方普通じゃないよ。もしかしたらどっか怪我してるのかも」
僕は耳を澄まして、猫の声がどこから聞こえてくるのか落ち着いて聞いた。すると、それはどうやら上の方から聞こえて来て、声の聞こえる方へと目線を向ければ、木の枝の上に猫が居て、にゃーにゃーと声を上げて鳴いていた。そりゃ下を見て探していても見つからないはずだと僕は納得した。
「黒乃! あそこ!」
僕が猫の方へと指を差すと、黒乃は「おう、そうだな」と、短く返事をした。
「きっと木に登って降りられなくなってるんだよ!」
「おう、そうだな。じゃあ、お前が助けてやれよ」
「え?」
黒乃が腕を組んで、さも当然のように僕にそう言う。僕は思わず聞き返してしまったが、黒乃は不思議そうに首を傾げた。
「お前が助けたいんだろ? じゃあそうしろよ。俺は見ててやるからよ」
「え、うん、そうだけど……。僕、木登りしたことないし、あんな高いところまで登れるかどうか……」
「だから俺に登れってか? でもよ、俺よりお前のが明らかに体重軽いし、何よりお前が助けたいから助けるんだろ? 確かに自分に出来ないことを出来る奴に助けを求めることも必要だけどよ、お前はやってもいないうちから諦めてんじゃねぇか。前から思ってたけど、それ、悪い癖だぞ」
僕は黒乃にそう指摘されてハッとした。僕は確かに出来ないと思ったことを最初から諦めてしまう癖がある。僕は何をやってもダメだ。頑張ってもミスして叱られるだけ。社会生活でずっと仕事を丸投げされて怒られ続けたせいで、変なビビり癖がついてしまっている。それに僕は、誰かに頼るばかりじゃなく、自分でも誰かを助けられるようになりたいと思って、今こうやってトレーニングしているんじゃないか!
僕は自分の両頬をパンッ! と叩き、今まで腑抜けていた自分に喝を入れる。
「僕、行くよ!」
黒乃にそう宣言して僕は猫がいる大きな気の前へと立ち向かった。
「おー。木登りは良い運動になるし、もし失敗しても亡骸は拾ってやるから安心しろ~」
「ちょっと、縁起でもないこと言わないでよ!」
黒乃の悪い冗談に背中を押され、僕は木登りを開始するのであった!
僕はソワソワとした様子で居間をくぐり抜ける。すると、そこに、運良く? 運悪く? 桜がいて、桜はニコニコと笑顔を作ってこちらに手を振ってくれた。桜にとってはなんでもない行動なんだろうけど、僕には刺激が強すぎて……? なんかよく分からないけど、ちょっとドキドキしちゃって、ギクシャクしながら桜に手を振り返していた。
僕はおかしくなってしまったのかもしれない。
僕がロボットのような動きで桜に手を振っていると、僕の背後からケラケと豪快に笑う声が聞こえた。
「ギャハハハハハハ! ウケる」
「く、黒乃!?」
その声の主は黒乃さんで、彼は八重歯を見せながら可笑しそうに笑っていた。
「お前桜となんかあったんか?」
「え!? べべべ別に!?」
「うっは、挙動不審でウケる」
僕の尋常じゃない態度がそんなに面白いのか、黒乃はお腹に片手を当ててゲラゲラと笑った。
僕は最近、黒乃と仲が良い。と、言うのも、以前から人助けはしたいのに、いつも神様である彼らの手を借りてばかりだ。僕も少しでも力になれるように、まずは体力作りから始めたのだ。そこで最近はトレーニングルームを借りて、筋トレや体力作りに勤しんでいるのだが、元々体を動かすのが好きな黒乃や司さんと交流を持つようになったのだ。黒乃には体力がある程度ついたら格闘技なども教えてもらうようお願いしている。人助けに力はいらないかもしれないけど、何かを守るために強くなるのは決して悪いことでは無いはずだ。
そんな訳で、僕と黒乃とはある程度気がしれた仲。黒乃も桜同様、敬語やさん付けが嫌いらしく、僕は友達のように砕けた感じで接している。
黒乃が僕に話しかけてきたということは――
「おう、拓斗。今からちょっくらランニングに行かねぇか?」
――やっぱり。トレーニングのお誘いだ。たまにこうして僕をトレーニングに誘ってくれる。僕も断る理由などないので、すぐに「うん!」と返事を返した。
「うっし。じゃあさっさと準備して行くぞ!」
僕は黒乃に連れられて、テラの町外れの山道を走っていた。木々が青々と生い茂り、葉の隙間から木漏れ日が差す。木々がたくさん生えているから木陰になっていて、走っていても涼しい。肌を吹き抜ける風も相まってとても気持ち良い。働いてる時は運動なんてやる暇もなければ、やりたいとも思わなかった。学生の頃の体育のランニングだって、そこまで好きではなかった。けれど、こうやって誰かと走って、景色の良い場所を眺めているだけでも、とても楽しいということを最近知った。大人になってからは怒られてばかりで、特に新しい発見とかなかったけど、針山家に来てからは発見と驚きの毎日だ。日々がとても充実していて楽しい。
僕は黒乃の隣を走りながら、しみじみと思いにふけっていたのだが、耳に入ってきたとある声に足を止めた。
「にゃー! にゃー!」
どこからか甲高い声で猫が叫んでいるのが聞こえる。一体どこからだろう。
僕が足を止め、辺りをキョロキョロと見渡しているのを見て、黒乃もそれを察して足を止めた。
「どこかに猫がいる」
「なんだよ、猫大好きか?」
「いや、好きだけど、この鳴き方普通じゃないよ。もしかしたらどっか怪我してるのかも」
僕は耳を澄まして、猫の声がどこから聞こえてくるのか落ち着いて聞いた。すると、それはどうやら上の方から聞こえて来て、声の聞こえる方へと目線を向ければ、木の枝の上に猫が居て、にゃーにゃーと声を上げて鳴いていた。そりゃ下を見て探していても見つからないはずだと僕は納得した。
「黒乃! あそこ!」
僕が猫の方へと指を差すと、黒乃は「おう、そうだな」と、短く返事をした。
「きっと木に登って降りられなくなってるんだよ!」
「おう、そうだな。じゃあ、お前が助けてやれよ」
「え?」
黒乃が腕を組んで、さも当然のように僕にそう言う。僕は思わず聞き返してしまったが、黒乃は不思議そうに首を傾げた。
「お前が助けたいんだろ? じゃあそうしろよ。俺は見ててやるからよ」
「え、うん、そうだけど……。僕、木登りしたことないし、あんな高いところまで登れるかどうか……」
「だから俺に登れってか? でもよ、俺よりお前のが明らかに体重軽いし、何よりお前が助けたいから助けるんだろ? 確かに自分に出来ないことを出来る奴に助けを求めることも必要だけどよ、お前はやってもいないうちから諦めてんじゃねぇか。前から思ってたけど、それ、悪い癖だぞ」
僕は黒乃にそう指摘されてハッとした。僕は確かに出来ないと思ったことを最初から諦めてしまう癖がある。僕は何をやってもダメだ。頑張ってもミスして叱られるだけ。社会生活でずっと仕事を丸投げされて怒られ続けたせいで、変なビビり癖がついてしまっている。それに僕は、誰かに頼るばかりじゃなく、自分でも誰かを助けられるようになりたいと思って、今こうやってトレーニングしているんじゃないか!
僕は自分の両頬をパンッ! と叩き、今まで腑抜けていた自分に喝を入れる。
「僕、行くよ!」
黒乃にそう宣言して僕は猫がいる大きな気の前へと立ち向かった。
「おー。木登りは良い運動になるし、もし失敗しても亡骸は拾ってやるから安心しろ~」
「ちょっと、縁起でもないこと言わないでよ!」
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