神様のお導き

ヤマト

文字の大きさ
123 / 173
6.5話目! 十三神巡り

6.5-11 トルトニス編

しおりを挟む
 僕らはテネブラエちゃんのマシンガントークを聞いた後、今度は神殿の奥にある扉の前に聞いていた。アキラくんがドアをノックすると、ドアの向かうから「どうぞー」と、気の抜けた声が聞こえてきた。それを聞いてから、僕らは部屋の中へと入る。
 部屋はテネブラエちゃんに続き、少し薄暗い。部屋の奥ではモニターの明かりが三つついていて、それがチカチカと光って少し眩しく感じる。あとは普通にベッドや本棚、あと食べた後のピザの箱が置いてある。見たこともないゲーム機もいくつかあって、彼がゲームが好きなのだとわかる。
「こんにちは、トルトニスさん。こちら菓子折りです」
「どうも。その辺に置いといて」
 トルトニスと呼ばれた少年は、今現在もゲームをやっているのか、画面に食いついたまま、こちらに見向きもせず、そう答えた。アキラくんは近くにあったテーブルの上に菓子折りを置いた。すると、トルトニスさんはゲームが終わったのか、ゲーミングチェアをくるりと回して、座ったまま僕らの方へと向き直してくれた。
「お待たせ。今日はいつもの様子見に来たんでしょ?」
「ええ、そうです。あと、彼の紹介を」
 僕はアキラくんに促されて、彼に挨拶をした。
「僕は拓斗です。色々あって、アキラくんたちにお世話になっています。よろしくお願いします」
「ん、よろしく。俺は雷の神トルトニス。普通にトルトニスで良いよ」
 どうも彼はかなり気の抜けた感じの人で、なんというかやる気がない。紫色の髪で前髪は左に流していて、ショートヘアだ。三白眼で目の下にはクマがある。神様もクマとか出来るんだ。首にはヘッドセットをしていて、服装は神様やファンタジーというような感じではなく、なんだか独特なセンスをした格好だ。なんて言うんだろう、パンクロックではないしー……原宿系? よくわからないけど。耳にもピアスがたくさんついている。
 僕が彼を観察していると、彼の口から聞きなれた名前が聞こえた。
「白と銀は元気?」
 白さんと銀さんだ。仲が良いのかな。
「えぇ、元気ですよ。毎日騒がしいぐらいです」
「そ、良かった。まぁ定期的に一緒にゲームしてるから、別に聞かなくても良いんだけど。ゲームじゃ実際はどうかなんてんかんないしね、一応」
 ゲーム友達なんだ……。そういや碧ちゃんが白さんと銀さんはゲーム好きって言ってたもんな。
「因みに拓斗さんもゲームしますよ」
「ええ!?」
 突然、アキラくんにとんでもない紹介をされて、僕は自分が思った以上に驚いてしまい、間の抜けた声を出してしまった。トルトニスくんもそれに関心があるみたいで、「へー」と、僕の方を見た。
「じゃあ今度白たちと一緒にやる?」
「いや、僕、ゲームするって言ってもライト層だし! 多分トルトニスくんたちよりはあんまり深くゲームしないよ!?」
「別に良いよ。一緒に出来れば。一応テネブラエとか碧もたまに一緒にやるし。一緒にゲーム出来る友達がいれば、人数も揃えやすいし助かる」
 碧ちゃんはゲーム苦手って言ってたけど、テネブラエちゃんもゲームやるんだ!?
「えっと、僕で良ければまた……。あんまり上手くないよ……?」
「良いって良いって。苦手でも一緒にやるならフォローするし、キャリーもするよ。あんま身構えないで」
「あ、はい」
 ひょんなことからトルトニスさんとゲームをする約束をしてしまった。でも白さんたちもいるなら、まぁ……。
「では、一旦その話は置いといて、簡単な質問二つしますね」
「はいよ」
 アキラくんはゲームの話を切り上げて、他の神様たちにもした質問をトルトニスくんにした。
「体の調子に変化などありませんか?」
「ん。いつも通り元気、元気」
「では、街や人々の様子はどうですか?」
「俺は基本引きこもってるから、世界の情勢とかあんまり詳しくないけど、俺のチャンネル見てくれてる人はみんな変わらず平和だよ」
「チャンネル?」
「俺、ネットでゲーム配信やってんの」
「神様なのに!?」
「神様だからしちゃいけないなんてことないでしょ」
 いや、そうだけどさ!? まさか神様がゲーム実況やってるなんて、誰が思うだろうか!? 凄い時代だな……。
「昔は科学技術のが主流だったから、電力足りないから電気発電して増やしてくれとかよく言われてたけど、今は魔法科学のが主流だから楽になったもんだよ。まぁそんでも雷のマナ増やしてくれとかはよく言われるけど」
「そうですか。でも少しでも楽になったなら何よりです」
「うん、そだねー」
 やっぱり神様にも色々あるんだなぁ。僕には何言ってるかちっともわかんないけど、魔法科学とやらに変わって街も変化しているんだなと思った。
「では、僕らはこれで。お邪魔しました」
「ん、また。あ、拓斗」
「あ、はい」
「またゲーム誘うから待っててね」
「あぁ、はい」
 僕は苦笑いして、トルトニスくんにヒラヒラと手を振られながら、その場を後にした。まさか神様とゲームする時が来るなんて、以前の僕なら考えられないな。神様がゲーマーだったなんてこと自体考えられなかったけど。いやぁ、凄い世の中になったもんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...