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8.5話目!はじめてのおつかい アキラより
8.5-12
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「アキラくん、これあげる」
拓斗さんは最後に残った小洒落た紙袋を僕に差し出してきた。
「いや、僕は何も頼んでませんけど……」
「違うよ、これは僕の日頃の感謝の気持ち! アキラくんには日頃から何かとお世話になってるでしょ。僕、ずっとお礼したかったんだ。一人で買い物出来るようになったら、何かプレゼントしたいなって。まぁお金は結局ここで貰ったお小遣いなんだけどね」
拓斗さんは困ったように笑っていたが、僕にはとても予想外のことで、僕は目を見開いて驚いたまま、しばらく固まっていた。
「ア、アキラくん……?」
中々プレゼントを受け取らない僕に、拓斗さんは慌てた様子で僕の名前を呼んだ。それでハッとして我に返り、急いで拓斗さんからプレゼントを受け取った。
何が入っているのかと紙袋を覗いた。一つは四角い正方形の箱に入っていて、パッケージを見るとどうもそれはマグカップのようだった。箱から出していないので、詳しいデザインはわからないけれど、拓斗さんが僕のために選んでくれたものだろう。もうひとつはチューブ容器で……なんだろうか?
僕が中身を見ていると、拓斗さんはその中身について説明してくれた。
「えっとね、ひとつはマグカップなんだ。アキラくんよくコーヒー飲んでるし、もう冬だしマグカップよく使うかなって思って。それでもうひとつはハンドクリーム。女の子っぽいって思われるかもしれないけど、僕ら毎日大量の洗い物をするでしょ? 冬で手も乾燥するし、手が荒れるんじゃないかと思って」
あたふたと説明する拓斗さんはどこか少し焦っているように見えた。僕が何も言わないから気に入って貰えなかったんじゃないかと心配しているのだろうか。だとしたらそんな必要はない。
「ありがとうございます。大切に使います」
正直、僕は普通の生き物とは違うので、ハンドクリームは不要なのですが、せっかく拓斗さんが僕のために選んでくれた物だし、僕は何だって嬉しい。マグカップもたとえ自分が買わないようなデザインでも気に入ると思います。
「まさか、こんなプレゼントを用意してくれているなんて思いませんでした」
「さっきも言ったけど、アキラくんにはいつもお世話になってるからね! 感謝してもし切れ無いよ」
僕は感謝されるようなタイプの生き物ではないと思っていました。けれど、目の前にこんなにも僕のことを思って感謝してくれる人がいる。心というものが僕にもあるのであれば、今、その心はとても温かい。胸の奥がジンと熱くなる。
「本当にありがとうございます」
僕は精一杯の気持ちを込めて、彼にお礼を言った。拓斗さんは少し驚いたように目を丸くして瞬きしていたけれど、すぐに満面の笑顔を浮かべて「うん!」と、元気よく頷いた。
彼の笑顔に僕も知らず知らずのうちに少し、けれど確実に救われていたのでしょう。彼になら、安心してこの仕事を任せられるかもしれませんね。
「アキラくんの笑顔初めて見た気がするな」
「え、僕笑ってました?」
「うん、めちゃくちゃ」
「そう、ですか……」
先程拓斗さんが驚いた顔をしていたのはそういう事だったのか。僕は訳あってあまり表情を動かせないのですが、僕も笑えたんですね。そう思うと、少し恥ずかしくなって僕は目に掛からない長さにも関わらず、何とか目を隠そうと前髪を手で弄った。
「そ、そう言えば、少し遅いと思っていたらこれが原因だったんですね」
僕は態とらしく話題を変えて、話を逸らそうとした。明らかに慌てていて、我ながら話を変えるのが下手くそだなと思った。
拓斗さんは僕の質問に対して、「あー」と、何か心当たりがあるように上を向いて呟いた。
「それもあるんだけどね、帰りに足の悪いおばあちゃんを家まで送ってあげてて、その後に迷子の女の子を騎士団に引き渡してたんだ」
「…………」
「そしたら、少し時間かかっちゃった」
前言撤回しましょう。もう少し彼の仕事は面倒見るべきかもしれませんね。なぜ彼はこうも困っている人を引き寄せるのか。そして、なぜ彼は困っている人を当然のように助けるのか。聖人か何かですか。今度スパさんに改めて詳しく占ってもらった方が良いかもしれませんね。
その後、僕は自室に帰り、さっそくそのマグカップの箱を開けて、中身を取り出した。それは少し暗めの赤色のマグカップで真ん中に猫のイラストが入っている。やっぱり僕が選びそうにない可愛らしいデザインだったが、僕はそれを大事に使うことにした。
「このマグカップで飲むと、いつもよりコーヒーが美味しくなりそうだ……」
そんなことを考えながら。
後日気付いたことだが、拓斗さんにかけた身体能力強化魔法を解除し忘れていて、しばらく彼の馬鹿力は続き、黒乃さんや司さんに褒められていたという。
拓斗さんは最後に残った小洒落た紙袋を僕に差し出してきた。
「いや、僕は何も頼んでませんけど……」
「違うよ、これは僕の日頃の感謝の気持ち! アキラくんには日頃から何かとお世話になってるでしょ。僕、ずっとお礼したかったんだ。一人で買い物出来るようになったら、何かプレゼントしたいなって。まぁお金は結局ここで貰ったお小遣いなんだけどね」
拓斗さんは困ったように笑っていたが、僕にはとても予想外のことで、僕は目を見開いて驚いたまま、しばらく固まっていた。
「ア、アキラくん……?」
中々プレゼントを受け取らない僕に、拓斗さんは慌てた様子で僕の名前を呼んだ。それでハッとして我に返り、急いで拓斗さんからプレゼントを受け取った。
何が入っているのかと紙袋を覗いた。一つは四角い正方形の箱に入っていて、パッケージを見るとどうもそれはマグカップのようだった。箱から出していないので、詳しいデザインはわからないけれど、拓斗さんが僕のために選んでくれたものだろう。もうひとつはチューブ容器で……なんだろうか?
僕が中身を見ていると、拓斗さんはその中身について説明してくれた。
「えっとね、ひとつはマグカップなんだ。アキラくんよくコーヒー飲んでるし、もう冬だしマグカップよく使うかなって思って。それでもうひとつはハンドクリーム。女の子っぽいって思われるかもしれないけど、僕ら毎日大量の洗い物をするでしょ? 冬で手も乾燥するし、手が荒れるんじゃないかと思って」
あたふたと説明する拓斗さんはどこか少し焦っているように見えた。僕が何も言わないから気に入って貰えなかったんじゃないかと心配しているのだろうか。だとしたらそんな必要はない。
「ありがとうございます。大切に使います」
正直、僕は普通の生き物とは違うので、ハンドクリームは不要なのですが、せっかく拓斗さんが僕のために選んでくれた物だし、僕は何だって嬉しい。マグカップもたとえ自分が買わないようなデザインでも気に入ると思います。
「まさか、こんなプレゼントを用意してくれているなんて思いませんでした」
「さっきも言ったけど、アキラくんにはいつもお世話になってるからね! 感謝してもし切れ無いよ」
僕は感謝されるようなタイプの生き物ではないと思っていました。けれど、目の前にこんなにも僕のことを思って感謝してくれる人がいる。心というものが僕にもあるのであれば、今、その心はとても温かい。胸の奥がジンと熱くなる。
「本当にありがとうございます」
僕は精一杯の気持ちを込めて、彼にお礼を言った。拓斗さんは少し驚いたように目を丸くして瞬きしていたけれど、すぐに満面の笑顔を浮かべて「うん!」と、元気よく頷いた。
彼の笑顔に僕も知らず知らずのうちに少し、けれど確実に救われていたのでしょう。彼になら、安心してこの仕事を任せられるかもしれませんね。
「アキラくんの笑顔初めて見た気がするな」
「え、僕笑ってました?」
「うん、めちゃくちゃ」
「そう、ですか……」
先程拓斗さんが驚いた顔をしていたのはそういう事だったのか。僕は訳あってあまり表情を動かせないのですが、僕も笑えたんですね。そう思うと、少し恥ずかしくなって僕は目に掛からない長さにも関わらず、何とか目を隠そうと前髪を手で弄った。
「そ、そう言えば、少し遅いと思っていたらこれが原因だったんですね」
僕は態とらしく話題を変えて、話を逸らそうとした。明らかに慌てていて、我ながら話を変えるのが下手くそだなと思った。
拓斗さんは僕の質問に対して、「あー」と、何か心当たりがあるように上を向いて呟いた。
「それもあるんだけどね、帰りに足の悪いおばあちゃんを家まで送ってあげてて、その後に迷子の女の子を騎士団に引き渡してたんだ」
「…………」
「そしたら、少し時間かかっちゃった」
前言撤回しましょう。もう少し彼の仕事は面倒見るべきかもしれませんね。なぜ彼はこうも困っている人を引き寄せるのか。そして、なぜ彼は困っている人を当然のように助けるのか。聖人か何かですか。今度スパさんに改めて詳しく占ってもらった方が良いかもしれませんね。
その後、僕は自室に帰り、さっそくそのマグカップの箱を開けて、中身を取り出した。それは少し暗めの赤色のマグカップで真ん中に猫のイラストが入っている。やっぱり僕が選びそうにない可愛らしいデザインだったが、僕はそれを大事に使うことにした。
「このマグカップで飲むと、いつもよりコーヒーが美味しくなりそうだ……」
そんなことを考えながら。
後日気付いたことだが、拓斗さんにかけた身体能力強化魔法を解除し忘れていて、しばらく彼の馬鹿力は続き、黒乃さんや司さんに褒められていたという。
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