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悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
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そして昨日、王太子殿下から翌日にシトー宮殿へ来るようにと言い渡されたのでした。シトー宮殿は、司法機関が入っており、そこには裁判のための法廷や監獄も備えています。
すっかりダリア様との婚約破棄についてのことだと思っておりましたのに、どうしてシトー宮殿に呼び出されたのでしょう。
そう疑問に思っておりましたが……それがまさか、ダリア様と父君のクノーリ宰相殿を糾弾することになるなんて、考えも及びませんでした。
ダリア様とクノーリ宰相殿の言い分は一切認められず、彼らは1ヶ月後に流刑されることとなりました。
「フローラ、これでようやくダリアと婚約破棄をすることができた。これからは君が私の婚約者だ」
王太子殿下は爽やかな笑みを見せましたが、私は微笑み返すことなどできませんでした。今まで素敵だと思っていた笑顔の裏に冷酷な顔が見え隠れしている気がして、背筋が寒くなりました。
私は、意を決して王太子殿下に訴えました。
「王太子殿下……なぜ、ダリア様とクノーリ宰相殿の言い分を聞いて差し上げないのですか。これでは、公平な裁判とはいえません」
「フローラ、あいつらは平然と虚言を吐き、巧みに人の心を操るんだ。それに惑わされないためには、彼らを無視することなんだ。私も、元婚約者とその父君を断罪するのは辛いのだ。分かってくれ」
「王太子、殿下……」
「さぁ、この話は終わりだ。これからは、ふたりの未来についての話をしよう」
王太子殿下が私の手を握りました。その途端、ビクッと震えてしまいます。
「緊張しているのかい? 可愛いね、フローラは」
優しく髪を撫でてくれましたが、私の心臓の鼓動は恋のときめきからではありませんでした。
王太子殿下……貴方の真意は、どこにありますの?
家に戻り、沈んだ気持ちでおりますと、お父様が帰っていらっしゃいました。
「私の可愛いフローラ、どうしたんだ。浮かない顔をして。
今日は、王太子殿下と会って、改めて婚約の申し込みをされたのではなかったのか?」
「そう、なんですけれど……」
ゆっくりと、顔を上げました。お父様は王室騎士団の隊長を務めています。
お父様なら……何か、理由をご存知かもしれない。
「実は今日、シトー宮殿にて王太子殿下の婚約者であったダリア様とお父上のクノーリ宰相殿が糾弾されまして……1ヶ月後に親子共に処刑されることになりましたの」
「なんだって!?」
この国の軍事を担うお父様が、宰相の処刑を知らされないなど、あるのでしょうか。いったい、どういうことなのでしょう……
「ダリア様とクノーリ宰相殿はいっさい言い分を聞いていただけないまま、処分が決まりましたの。私、お父上のクノーリ宰相殿についてはよく存じ上げませんが、ダリア様は決して婚約者であった王太子殿下を貶めるような方ではないと思いますの……」
お父様は深く頷きました。
「クノーリ宰相は、仕事に厳しく、公正なお方で、決して国王陛下を裏切るようなことはしないはずだ。なぜ、こんなことになったのだ……」
「お父様……私、どうしても真実が知りたいのです。このままでは、私……王太子殿下と婚姻などできません」
私の言葉にお父様は考え込んだ後、覚悟を決めたように顔を上げました。
「なんとか……調べてみよう」
「お父様、流刑まで1ヶ月しかありませんわ。どうか、お急ぎくださいませ」
王太子殿下は私との婚姻を進めたがっておりましたが、私はまだふたりが学生の身であることを踏まえ、待っていただくことにいたしました。婚約の正式なお返事は1ヶ月後、ダリア様とクノーリ宰相殿が流刑されるその日にすることになりました。
私には、ひとつ疑問に思うことがございました。
「王太子殿下……どうして、私をお選びくださったのですか」
「どうしてって。君は美しく、慎ましやかで儚さが漂っていて……私の手で守ってあげたいと思ったんだ」
確かに、ダリア様は凛とした雰囲気で、守ってあげたくなるような女性といったタイプではありません。でもそれって……王太子殿下はもしかして、私のことを御し易そうな女性だと思われていらっしゃるのでしょうか。
そう考えてしまうと、王太子殿下の私への愛情も疑わしく思えてしまいます。
私は、密かにダリア様が本当に私に対して嫌がらせをしていたのか調べることにいたしました。考えてみれば、私はダリア様が直接私に何かをしたのを見たり、言われたりしたことは一度もありません。
殿方に襲われかけた時にも、ダリア様の名前は出ましたが、それが本当にダリア様からの指示だったという証拠は何一つないのです。それに……あの時、あまりにもタイミングよく王太子殿下が助けに来てくださったことも、あとあと考えてみますと不自然に思えてきました。
それからあっという間に月日は経ち、もうすぐで流刑が執行される1ヶ月を迎えてしまいます。
もう時間がないですのに……どういたしましょう。
不安な気持ちで部屋で考えていますと、ノックもせずにお父様が入ってきました。
「フローラ、分かったぞ!!」
「お父様、それって……」
「あぁ、クノーリ宰相の件だ」
それを聞き、ゆっくりと立ち上がりました。
「私も……ダリア様の件、分かりましたわ」
すっかりダリア様との婚約破棄についてのことだと思っておりましたのに、どうしてシトー宮殿に呼び出されたのでしょう。
そう疑問に思っておりましたが……それがまさか、ダリア様と父君のクノーリ宰相殿を糾弾することになるなんて、考えも及びませんでした。
ダリア様とクノーリ宰相殿の言い分は一切認められず、彼らは1ヶ月後に流刑されることとなりました。
「フローラ、これでようやくダリアと婚約破棄をすることができた。これからは君が私の婚約者だ」
王太子殿下は爽やかな笑みを見せましたが、私は微笑み返すことなどできませんでした。今まで素敵だと思っていた笑顔の裏に冷酷な顔が見え隠れしている気がして、背筋が寒くなりました。
私は、意を決して王太子殿下に訴えました。
「王太子殿下……なぜ、ダリア様とクノーリ宰相殿の言い分を聞いて差し上げないのですか。これでは、公平な裁判とはいえません」
「フローラ、あいつらは平然と虚言を吐き、巧みに人の心を操るんだ。それに惑わされないためには、彼らを無視することなんだ。私も、元婚約者とその父君を断罪するのは辛いのだ。分かってくれ」
「王太子、殿下……」
「さぁ、この話は終わりだ。これからは、ふたりの未来についての話をしよう」
王太子殿下が私の手を握りました。その途端、ビクッと震えてしまいます。
「緊張しているのかい? 可愛いね、フローラは」
優しく髪を撫でてくれましたが、私の心臓の鼓動は恋のときめきからではありませんでした。
王太子殿下……貴方の真意は、どこにありますの?
家に戻り、沈んだ気持ちでおりますと、お父様が帰っていらっしゃいました。
「私の可愛いフローラ、どうしたんだ。浮かない顔をして。
今日は、王太子殿下と会って、改めて婚約の申し込みをされたのではなかったのか?」
「そう、なんですけれど……」
ゆっくりと、顔を上げました。お父様は王室騎士団の隊長を務めています。
お父様なら……何か、理由をご存知かもしれない。
「実は今日、シトー宮殿にて王太子殿下の婚約者であったダリア様とお父上のクノーリ宰相殿が糾弾されまして……1ヶ月後に親子共に処刑されることになりましたの」
「なんだって!?」
この国の軍事を担うお父様が、宰相の処刑を知らされないなど、あるのでしょうか。いったい、どういうことなのでしょう……
「ダリア様とクノーリ宰相殿はいっさい言い分を聞いていただけないまま、処分が決まりましたの。私、お父上のクノーリ宰相殿についてはよく存じ上げませんが、ダリア様は決して婚約者であった王太子殿下を貶めるような方ではないと思いますの……」
お父様は深く頷きました。
「クノーリ宰相は、仕事に厳しく、公正なお方で、決して国王陛下を裏切るようなことはしないはずだ。なぜ、こんなことになったのだ……」
「お父様……私、どうしても真実が知りたいのです。このままでは、私……王太子殿下と婚姻などできません」
私の言葉にお父様は考え込んだ後、覚悟を決めたように顔を上げました。
「なんとか……調べてみよう」
「お父様、流刑まで1ヶ月しかありませんわ。どうか、お急ぎくださいませ」
王太子殿下は私との婚姻を進めたがっておりましたが、私はまだふたりが学生の身であることを踏まえ、待っていただくことにいたしました。婚約の正式なお返事は1ヶ月後、ダリア様とクノーリ宰相殿が流刑されるその日にすることになりました。
私には、ひとつ疑問に思うことがございました。
「王太子殿下……どうして、私をお選びくださったのですか」
「どうしてって。君は美しく、慎ましやかで儚さが漂っていて……私の手で守ってあげたいと思ったんだ」
確かに、ダリア様は凛とした雰囲気で、守ってあげたくなるような女性といったタイプではありません。でもそれって……王太子殿下はもしかして、私のことを御し易そうな女性だと思われていらっしゃるのでしょうか。
そう考えてしまうと、王太子殿下の私への愛情も疑わしく思えてしまいます。
私は、密かにダリア様が本当に私に対して嫌がらせをしていたのか調べることにいたしました。考えてみれば、私はダリア様が直接私に何かをしたのを見たり、言われたりしたことは一度もありません。
殿方に襲われかけた時にも、ダリア様の名前は出ましたが、それが本当にダリア様からの指示だったという証拠は何一つないのです。それに……あの時、あまりにもタイミングよく王太子殿下が助けに来てくださったことも、あとあと考えてみますと不自然に思えてきました。
それからあっという間に月日は経ち、もうすぐで流刑が執行される1ヶ月を迎えてしまいます。
もう時間がないですのに……どういたしましょう。
不安な気持ちで部屋で考えていますと、ノックもせずにお父様が入ってきました。
「フローラ、分かったぞ!!」
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「あぁ、クノーリ宰相の件だ」
それを聞き、ゆっくりと立ち上がりました。
「私も……ダリア様の件、分かりましたわ」
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