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悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
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お父様が私に笑顔を見せました。
「では、ダリア嬢のことから聞こうか」
「はい……」
私はお父様に、王太子殿下の取り巻きの方が私の靴にガラスの破片を入れているのを、私のかは分からないけれどノートを捨てているのを見た人がいたことを説明いたしました。最初はどの方も話すのを躊躇っていらっしゃいましたが……これが、ダリア様の生死に関わることだと訴えますと話してくださったのです。
「それと……頂いたお手紙の字とダリア様の書かれた字を比べたのですが、筆跡が異なっていました」
ダリア様からの呼び出しを伝えて下さったクラスメートですが、彼女もまた別の方から伝言を頼まれたとのことでした。結局、3人の方を通じて伝言が届けられていたことを知り、最後に辿り着いたのが……私を襲った殿方のおひとりだったのです。
あの方々は王太子殿下と金銭による取引をしていたことを思い出した私は、王太子殿下から受け取った三倍のお金を払うことを条件に、事の真相を聞き出すことが出来ました。
彼らは……王太子殿下の命令により、ダリア嬢が仕組んだかのように演技していたのです。私が美術準備室に呼び出されたことを知っている王太子殿下は、もちろん私を助け出すことができましたし、彼らから危害を加えられることもなかったのです。
本当は、こんな真実を知らないまま王太子殿下とご婚約し、婚姻を結んでいれば……私は、幸せになれたのかもしれません。けれど、無実の罪を着せられたダリア様を思うと、黙ってなどいられませんわ。
それにしても、どうして王太子殿下はここまで卑劣な方法を用いてダリア様と婚約破棄せねばならなかったのでしょう。王太子殿下ほどの方であれば、いくら相手が宰相の娘とはいえ、婚約破棄するのは難しくないはず。
その答えの鍵は、お父様が握っていらっしゃいました。
「この国が、昔のような独裁国家ではなく、民主主義になっているのは、フローラ、お前も知っているだろう?」
「えぇ、お父様……」
お父様の前置きに、胸がザワザワいたします。
お父様が暴きましたのは……国王陛下の不正でした。現在、国王陛下の財産は国家の管理下にあり、その予算は国会で決められています。つまり、自ら私服を肥やすことはできないのです。
ですが……国王陛下は、爵位や地位を授けたり、領土を拡大させたり、国家事業を請け負わせる際に、裏で賄賂を受け取っていたようなのです。国王陛下は財務大臣を取り込み、そのことを隠していたのです。
それに気付いた宰相が国王陛下に進言されたところ、逆に反逆罪として捕らえられ、糾弾されてしまったのです。
財務大臣はまさか宰相がそんなことになるとまで考えが至らず、恐ろしくなり……お父様に告白したとのことでした。
「な、なんということでしょう……」
「あぁ、大変なことを知ってしまった」
お父様もまた、顔を青褪めていらっしゃいました。国のトップである国王陛下の罪を暴けば……お父様もまた、クノーリ宰相殿のように捕らえられ、処刑されてしまうかもしれません。
「もし、国王陛下を糾弾するのであれば……クーデターしか、ないな……」
お父様の言葉に、息を呑みました。もしかしたら、これから内戦が始まるかもしれない……そうなったら、多くの命が失われることにもなりかねません。
私たちさえ、このことを話さなければ……このまま平和に暮らせるかもしれない。
そんな考えが一瞬過りました。
けれど……
「フローラ……王室を糾弾する覚悟はあるか?」
お父様のご覚悟に満ちたそのお声に、そんな愚かな考えは吹き飛びました。
「えぇ、もちろんですわ」
「私ひとりが動けば、必ず国王陛下に捕らわれ、いいように扱われてしまう。王室騎士団だけではなく、国家全体の軍を制御し、更にひとりの犠牲も出さずに速やかに対応せねばならない」
これから、この国の歴史を塗り替える大きな出来事が起こるのだと思うと、緊張と不安で全身が震えました。
怯えている場合ではありませんわ……
私に出来ることを、しなくては。
「では、ダリア嬢のことから聞こうか」
「はい……」
私はお父様に、王太子殿下の取り巻きの方が私の靴にガラスの破片を入れているのを、私のかは分からないけれどノートを捨てているのを見た人がいたことを説明いたしました。最初はどの方も話すのを躊躇っていらっしゃいましたが……これが、ダリア様の生死に関わることだと訴えますと話してくださったのです。
「それと……頂いたお手紙の字とダリア様の書かれた字を比べたのですが、筆跡が異なっていました」
ダリア様からの呼び出しを伝えて下さったクラスメートですが、彼女もまた別の方から伝言を頼まれたとのことでした。結局、3人の方を通じて伝言が届けられていたことを知り、最後に辿り着いたのが……私を襲った殿方のおひとりだったのです。
あの方々は王太子殿下と金銭による取引をしていたことを思い出した私は、王太子殿下から受け取った三倍のお金を払うことを条件に、事の真相を聞き出すことが出来ました。
彼らは……王太子殿下の命令により、ダリア嬢が仕組んだかのように演技していたのです。私が美術準備室に呼び出されたことを知っている王太子殿下は、もちろん私を助け出すことができましたし、彼らから危害を加えられることもなかったのです。
本当は、こんな真実を知らないまま王太子殿下とご婚約し、婚姻を結んでいれば……私は、幸せになれたのかもしれません。けれど、無実の罪を着せられたダリア様を思うと、黙ってなどいられませんわ。
それにしても、どうして王太子殿下はここまで卑劣な方法を用いてダリア様と婚約破棄せねばならなかったのでしょう。王太子殿下ほどの方であれば、いくら相手が宰相の娘とはいえ、婚約破棄するのは難しくないはず。
その答えの鍵は、お父様が握っていらっしゃいました。
「この国が、昔のような独裁国家ではなく、民主主義になっているのは、フローラ、お前も知っているだろう?」
「えぇ、お父様……」
お父様の前置きに、胸がザワザワいたします。
お父様が暴きましたのは……国王陛下の不正でした。現在、国王陛下の財産は国家の管理下にあり、その予算は国会で決められています。つまり、自ら私服を肥やすことはできないのです。
ですが……国王陛下は、爵位や地位を授けたり、領土を拡大させたり、国家事業を請け負わせる際に、裏で賄賂を受け取っていたようなのです。国王陛下は財務大臣を取り込み、そのことを隠していたのです。
それに気付いた宰相が国王陛下に進言されたところ、逆に反逆罪として捕らえられ、糾弾されてしまったのです。
財務大臣はまさか宰相がそんなことになるとまで考えが至らず、恐ろしくなり……お父様に告白したとのことでした。
「な、なんということでしょう……」
「あぁ、大変なことを知ってしまった」
お父様もまた、顔を青褪めていらっしゃいました。国のトップである国王陛下の罪を暴けば……お父様もまた、クノーリ宰相殿のように捕らえられ、処刑されてしまうかもしれません。
「もし、国王陛下を糾弾するのであれば……クーデターしか、ないな……」
お父様の言葉に、息を呑みました。もしかしたら、これから内戦が始まるかもしれない……そうなったら、多くの命が失われることにもなりかねません。
私たちさえ、このことを話さなければ……このまま平和に暮らせるかもしれない。
そんな考えが一瞬過りました。
けれど……
「フローラ……王室を糾弾する覚悟はあるか?」
お父様のご覚悟に満ちたそのお声に、そんな愚かな考えは吹き飛びました。
「えぇ、もちろんですわ」
「私ひとりが動けば、必ず国王陛下に捕らわれ、いいように扱われてしまう。王室騎士団だけではなく、国家全体の軍を制御し、更にひとりの犠牲も出さずに速やかに対応せねばならない」
これから、この国の歴史を塗り替える大きな出来事が起こるのだと思うと、緊張と不安で全身が震えました。
怯えている場合ではありませんわ……
私に出来ることを、しなくては。
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