悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!

奏音 美都

文字の大きさ
3 / 6
悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!

しおりを挟む
 お父様が私に笑顔を見せました。

「では、ダリア嬢のことから聞こうか」
「はい……」

 私はお父様に、王太子殿下の取り巻きの方が私の靴にガラスの破片を入れているのを、私のかは分からないけれどノートを捨てているのを見た人がいたことを説明いたしました。最初はどの方も話すのを躊躇っていらっしゃいましたが……これが、ダリア様の生死に関わることだと訴えますと話してくださったのです。

「それと……頂いたお手紙の字とダリア様の書かれた字を比べたのですが、筆跡が異なっていました」

 ダリア様からの呼び出しを伝えて下さったクラスメートですが、彼女もまた別の方から伝言を頼まれたとのことでした。結局、3人の方を通じて伝言が届けられていたことを知り、最後に辿り着いたのが……私を襲った殿方のおひとりだったのです。

 あの方々は王太子殿下と金銭による取引をしていたことを思い出した私は、王太子殿下から受け取った三倍のお金を払うことを条件に、事の真相を聞き出すことが出来ました。

 彼らは……王太子殿下の命令により、ダリア嬢が仕組んだかのように演技していたのです。私が美術準備室に呼び出されたことを知っている王太子殿下は、もちろん私を助け出すことができましたし、彼らから危害を加えられることもなかったのです。

 本当は、こんな真実を知らないまま王太子殿下とご婚約し、婚姻を結んでいれば……私は、幸せになれたのかもしれません。けれど、無実の罪を着せられたダリア様を思うと、黙ってなどいられませんわ。

 それにしても、どうして王太子殿下はここまで卑劣な方法を用いてダリア様と婚約破棄せねばならなかったのでしょう。王太子殿下ほどの方であれば、いくら相手が宰相の娘とはいえ、婚約破棄するのは難しくないはず。

 その答えの鍵は、お父様が握っていらっしゃいました。

「この国が、昔のような独裁国家ではなく、民主主義になっているのは、フローラ、お前も知っているだろう?」
「えぇ、お父様……」

 お父様の前置きに、胸がザワザワいたします。

 お父様が暴きましたのは……国王陛下の不正でした。現在、国王陛下の財産は国家の管理下にあり、その予算は国会で決められています。つまり、自ら私服を肥やすことはできないのです。

 ですが……国王陛下は、爵位や地位を授けたり、領土を拡大させたり、国家事業を請け負わせる際に、裏で賄賂を受け取っていたようなのです。国王陛下は財務大臣を取り込み、そのことを隠していたのです。

 それに気付いた宰相が国王陛下に進言されたところ、逆に反逆罪として捕らえられ、糾弾されてしまったのです。

 財務大臣はまさか宰相がそんなことになるとまで考えが至らず、恐ろしくなり……お父様に告白したとのことでした。

「な、なんということでしょう……」
「あぁ、大変なことを知ってしまった」

 お父様もまた、顔を青褪めていらっしゃいました。国のトップである国王陛下の罪を暴けば……お父様もまた、クノーリ宰相殿のように捕らえられ、処刑されてしまうかもしれません。

「もし、国王陛下を糾弾するのであれば……クーデターしか、ないな……」

 お父様の言葉に、息を呑みました。もしかしたら、これから内戦が始まるかもしれない……そうなったら、多くの命が失われることにもなりかねません。

 私たちさえ、このことを話さなければ……このまま平和に暮らせるかもしれない。

 そんな考えが一瞬過りました。

 けれど……

「フローラ……王室を糾弾する覚悟はあるか?」

 お父様のご覚悟に満ちたそのお声に、そんな愚かな考えは吹き飛びました。

「えぇ、もちろんですわ」
「私ひとりが動けば、必ず国王陛下に捕らわれ、いいように扱われてしまう。王室騎士団だけではなく、国家全体の軍を制御し、更にひとりの犠牲も出さずに速やかに対応せねばならない」

 これから、この国の歴史を塗り替える大きな出来事が起こるのだと思うと、緊張と不安で全身が震えました。

 怯えている場合ではありませんわ……
 私に出来ることを、しなくては。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

悪役とは誰が決めるのか。

SHIN
恋愛
ある小さな国の物語。 ちょっとした偶然で出会った平民の少女と公爵子息の恋物語。 二人には悪役令嬢と呼ばれる壁が立ちふさがります。 って、ちょっと待ってよ。 悪役令嬢だなんて呼ばないでよ。確かに公爵子息とは婚約関係だけど、全く興味は無いのよね。むしろ熨斗付けてあげるわよ。 それより私は、昔思い出した前世の記憶を使って色々商売がしたいの。 そもそも悪役って何なのか説明してくださらない? ※婚約破棄物です。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

完 小指を握って呼びかけて

水鳥楓椛
恋愛
「今この瞬間を以て、私、レオナルド・ラルスト・オーギストは、ユティカ・フィオナ・グラツィーニ公爵令嬢との婚約を破棄する!!」  華々しい有終の美を飾るはずであった王立学園の卒業パーティーの終盤で、事件は起きた。  レオナルド・ラルスト・オーギスト王太子の言葉に、公爵令嬢ユティカ・フィオナ・グラツィーニは困ったように眉を下げ、理由を尋ねる。すると、レオナルドの口からこんな言葉が飛び出した。 「お前が、私を“愛さない”からだ」  愛に狂ったレオナルドは、項垂れてしまったユティカにナイフを向ける。  小指を握りしめたユティカは、「助けて」と希う。  前世の大切な人に教えてもらったおまじない。  今は誰も叶えてくれないおまじない。  この声は誰かに届くのだろうか———。

【完結】婚約破棄したら『悪役令嬢』から『事故物件令嬢』になりました

Mimi
ファンタジー
私エヴァンジェリンには、幼い頃に決められた婚約者がいる。 男女間の愛はなかったけれど、幼馴染みとしての情はあったのに。 卒業パーティーの2日前。 私を呼び出した婚約者の隣には 彼の『真実の愛のお相手』がいて、 私は彼からパートナーにはならない、と宣言された。 彼は私にサプライズをあげる、なんて言うけれど、それはきっと私を悪役令嬢にした婚約破棄ね。 わかりました! いつまでも夢を見たい貴方に、昨今流行りのざまぁを かまして見せましょう! そして……その結果。 何故、私が事故物件に認定されてしまうの! ※本人の恋愛的心情があまり無いので、恋愛ではなくファンタジーカテにしております。 チートな能力などは出現しません。 他サイトにて公開中 どうぞよろしくお願い致します!

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

シンデレラは婚約破棄させられるそうです。

克全
恋愛
子爵家の令嬢シンデレラは、後妻に入った義母とその連れ子である義妹達に、苛め抜かれていた。 ろくに食事も与えられず、厳しい労働を強いられ、やつれ果てていた。 義母と妹達はシンデレラの婚約を破棄させ、子爵家を乗っ取る心算だった。 その後でシンデレラを餓死させようとしていた。

カナリア姫の婚約破棄

里見知美
恋愛
「レニー・フローレスとの婚約をここに破棄する!」 登場するや否や、拡声魔道具を使用して第三王子のフランシス・コロネルが婚約破棄の意思を声明した。 レニー・フローレスは『カナリア姫』との二つ名を持つ音楽家で有名なフローレス侯爵家の長女で、彼女自身も歌にバイオリン、ヴィオラ、ピアノにハープとさまざまな楽器を使いこなす歌姫だ。少々ふくよかではあるが、カナリア色の巻毛にけぶるような長いまつ毛、瑞々しい唇が独身男性を虜にした。鳩胸にたわわな二つの山も視線を集め、清楚な中にも女性らしさを身につけ背筋を伸ばして佇むその姿は、まさに王子妃として相応しいと誰もが思っていたのだが。 どうやら婚約者である第三王子は違ったらしい。 この婚約破棄から、国は存亡の危機に陥っていくのだが。 ※他サイトでも投稿しています。

処理中です...