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君の背中を追いかけて
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中学1年の体育祭。
私はくじ引きで負けて、もっとも人気のない長距離走を走ることになった。
はぁ、長距離走なんて地味な割に苦しいし。大変な思いをして走ってるのにみんな見てないし。応援せずにおしゃべりとかで盛り上がっているのを横目で見ながら走るとか......すっごい嫌だなぁ。
長距離走は男子が1500メートル、女子は1000メートルだ。男女別でやると時間がかかるので、時間差で男子が先に走り、途中から女子が加わるという方法で行われていた。
長距離走は順位による得点だけでなく、完走することによって得点も得られるため、参加する生徒たちは大抵走ることが苦手な子が大半だった。
クラスのみんなに迷惑かけないように、完走だけはしないと......
「位置について、用意、ドン!」
勢いの良いピストルの音とは対照的に、女子は全員ノロノロと走り出した。みんな、体力を温存してとりあえず完走までなんとか走り切ろうって感じだよね。
私も例に洩れず、呼吸を整えながら走る。それでも、走っているうちに心臓はバクバクと跳ね上がり、呼吸がだんだんと乱れてくる。
競技に参加していない生徒たちの歓声や笑い声がいやに耳に触る。
もう、早く終わりたい....苦しい....やだ......
酸素が足りない......クラクラする......心臓が痛くて、目眩がする......
こんな、誰も見たくもない競技とか、ほんと意味ないし.......
そんな思いで走っていると、急に後ろから気配が近づいてくるのを感じた。
と、思った瞬間.....
え...
私の横をさっと駆け抜けていく男の子。
な、んて...綺麗なフォームなんだろう......
まっすぐに胸を張り、大きなストライドで飛ぶように、地面を蹴るように走る。
駆け抜ける瞬間に聞こえた短めの、でも正確に刻まれる乱れのない呼吸。あっという間に私を抜き去り、どんどん離れていく。
ま、待って......
私は無意識のうちに、彼の背中を追いかけていた。息はゼイゼイ、心臓は今にもはち切れんばかりに脈動を打ち鳴らし、酸素が足りなくてフラフラする。
けれど、私はあの男の子に追いつきたくて、必死に走り続けた。
もちろん、私が彼に追いつけるわけなく。彼はあっという間に視界から消えてしまった。
行っちゃった...
寂しく思っていると、そうしているうちに、またあの気配が迫ってくるのを感じた。
来た!
彼だ!!
彼はまた、あの美しいフォームのまま、なんの呼吸の乱れもなく軽やかに私を走り抜いた。私はその背中を掴まえたくて、追いかける。
追いかける......追いかける......ひたむきに、追いかける......
気づいたらゴールにたどり着き、力尽きた私はそこで保健室行きとなった。
その後、彼は相沢 智くんという、同じ学年の違うクラスの男の子だと知った。
そして、彼が陸上部の長距離走の選手であることも。
私はブラスバンド部の練習が終わった後、音楽室の窓から校庭で練習をする彼を見るのが日課となっていた。
私はくじ引きで負けて、もっとも人気のない長距離走を走ることになった。
はぁ、長距離走なんて地味な割に苦しいし。大変な思いをして走ってるのにみんな見てないし。応援せずにおしゃべりとかで盛り上がっているのを横目で見ながら走るとか......すっごい嫌だなぁ。
長距離走は男子が1500メートル、女子は1000メートルだ。男女別でやると時間がかかるので、時間差で男子が先に走り、途中から女子が加わるという方法で行われていた。
長距離走は順位による得点だけでなく、完走することによって得点も得られるため、参加する生徒たちは大抵走ることが苦手な子が大半だった。
クラスのみんなに迷惑かけないように、完走だけはしないと......
「位置について、用意、ドン!」
勢いの良いピストルの音とは対照的に、女子は全員ノロノロと走り出した。みんな、体力を温存してとりあえず完走までなんとか走り切ろうって感じだよね。
私も例に洩れず、呼吸を整えながら走る。それでも、走っているうちに心臓はバクバクと跳ね上がり、呼吸がだんだんと乱れてくる。
競技に参加していない生徒たちの歓声や笑い声がいやに耳に触る。
もう、早く終わりたい....苦しい....やだ......
酸素が足りない......クラクラする......心臓が痛くて、目眩がする......
こんな、誰も見たくもない競技とか、ほんと意味ないし.......
そんな思いで走っていると、急に後ろから気配が近づいてくるのを感じた。
と、思った瞬間.....
え...
私の横をさっと駆け抜けていく男の子。
な、んて...綺麗なフォームなんだろう......
まっすぐに胸を張り、大きなストライドで飛ぶように、地面を蹴るように走る。
駆け抜ける瞬間に聞こえた短めの、でも正確に刻まれる乱れのない呼吸。あっという間に私を抜き去り、どんどん離れていく。
ま、待って......
私は無意識のうちに、彼の背中を追いかけていた。息はゼイゼイ、心臓は今にもはち切れんばかりに脈動を打ち鳴らし、酸素が足りなくてフラフラする。
けれど、私はあの男の子に追いつきたくて、必死に走り続けた。
もちろん、私が彼に追いつけるわけなく。彼はあっという間に視界から消えてしまった。
行っちゃった...
寂しく思っていると、そうしているうちに、またあの気配が迫ってくるのを感じた。
来た!
彼だ!!
彼はまた、あの美しいフォームのまま、なんの呼吸の乱れもなく軽やかに私を走り抜いた。私はその背中を掴まえたくて、追いかける。
追いかける......追いかける......ひたむきに、追いかける......
気づいたらゴールにたどり着き、力尽きた私はそこで保健室行きとなった。
その後、彼は相沢 智くんという、同じ学年の違うクラスの男の子だと知った。
そして、彼が陸上部の長距離走の選手であることも。
私はブラスバンド部の練習が終わった後、音楽室の窓から校庭で練習をする彼を見るのが日課となっていた。
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