チェストー! 伊佐高龍舟チーム!!

奏音 美都

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第六章 幼馴染の関係

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 3時半からは市中パレードが始まり、子供神輿や山車なんかが出ていて、自分の小さい頃のお祭りを思い出して懐かしかった。ふと目の前を何かが横切り、二度見する。昔ながらのトランプのキングにあるような、王冠被って肩にかかる髪の毛がカールしてて、片目をウィンクくしたくりりんヒゲの王様の着ぐるみが、てけてけ歩いていた。

「ねぇ、あれって……」
「あぁ、イーサキングね。伊佐のゆるキャラがよ」

 ゆ、ゆるキャラ……なの? かなり濃いけど。

「イーサキングは性別がよかにせで、永遠の113歳。体重は伊佐米2俵分で、職業は伊佐のPRの王様がよ」
「性別が……よかにせ!?」
「イケメンゆうこと。ふふっ、勇気ぃはイーサキングのファンだから、詳しいがよ」
「ファンじゃねーが! 『愛人』がよ! あのなぁ、イーサキングは『全国ご当地キャラ総選挙』で全国4位に輝いたこともある実力派が! Chara Tuberとしてyoutubeも賑わせとるし、自分のラジオ番組も持っとるがよ!! あぁっ、イーサキング追いかけな!!」

 勇気くんはイーサキングを捕まえると、写真を撮るようにお願いした。

「美和子も一緒に撮るがよ!!」
「えっ……」

 いつのまにか郁美もイーサキングの横に立っていて、どうしようか戸惑っていると、海くんが私に掌を向けた。

「俺が、写真撮るから」
「あ。じゃあ、お願い」

 近づくと、なかなかの迫力だ。郁美がイーサキングの横を譲ろうとしたけど大丈夫と断って、私は郁美の隣に並んだ。スマホを持つ海くんの肩が僅かに揺れていて、写真がブレてないか気になった。

「今日の祭りは本祭りぃ言って、8月4日には花火大会が開催されるがよ。今年は市制10周年でいつもより花火がたくさん上がるって、うちのお母さんが話しとったね」
「へぇ、そうなんだ」
「花火大会も一緒に行こうね。今度は浴衣着て……って。
 あーーーっっ!!」

 郁美が耳が割れんばかりの大声を上げた。

「3日から4日まで、インハイの応援で岐阜に泊りがけで行くんだったがよ! あー、伊佐の花火大会見れんね。わっぜ、ショックー!!」
「ま、まぁ今年は見られないかもしれないけど来年は……」
「でも今年は10周年記念よ、10周年!! 花火がたくさん上がるし、美和子も今年しかおらんがよー」

 頭を抱えた郁美に、勇気がポンポンとその上から軽く手で叩いた。

「郁美が行かれん分、俺がぁ楽しんだるけ、安心しろ」
「なんそれ! わっぜムカツクー!!」

 勇気くんと郁美が痴話喧嘩をしてるうちに、商店街のスピーカーから音頭が聞こえてきた。

「あ、『伊佐市よかとこ』よ! これから総手踊りが始まるがよ」

 さっきまでの怒りも忘れ、郁美がパッと顔を上げた。お揃いの浴衣を着たおばちゃん達が手拍子を打ち鳴らし、手を左右に揺らしながら慣れた手つきで盆踊りを踊る。

「申し込みすれば誰でも参加できるけー、あたしもやったことあるがよ。今でも踊り覚えとるけ、これ聞くと踊りたくなるわー」
「うわっ! うちの母ちゃんおった……」

 勇気くんがお母さんから隠れるように腕で頭を隠すと、「おばちゃーん! 勇気ここにおるよー!!」と郁美が大きく手を振った。

「わっぜ、うざいわ郁美。覚えとれ」
「なんも覚えとらん。おばちゃん頑張って踊っとるんやけ、応援するがよ!」

 こうしてひとつひとつ伊佐での思い出が増えていくのが嬉しくて堪らないのに、郁美の『美和子も今年しかおらんがよ』の言葉を思い出して、哀愁も覚えた。 
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