チェストー! 伊佐高龍舟チーム!!

奏音 美都

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第八章 いさドラゴンカップ

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 時間になり、いよいよ決勝戦を迎える。

『みんなぁ、きばるがよー!!』

 横断幕を手に叫んだ由美子と真紀に、皆が手を振って応える。招集場へと向かう途中、「美和子ちゃぁん!」と呼びかける声に後ろを振り向くと、おばあちゃんが手を振っていた。

「おばあちゃん!! 応援来てくれたんだ!!」

 今朝、見送られた時は、年寄りには賑やかな場所に長時間いるのは辛いから応援には行けないって話してたのに。

「やっぱり美和子ちゃんがぁ舟漕ぐとこぉ見たくてよ。ここまで連れてきてもらったがよ」

 みんなに先に行ってもらうようにしておばあちゃんに駆け寄り、手を握る。

「ありがとう、おばあちゃん。すっごいやる気出た! 私、がんばるから」
「おぉ、美和子ちゃぁん、きばれー!!」

 おばあちゃんの力強い応援に微笑むと、手を振って招集場へと駆け出した。力が漲ってくるのを感じた。チームのメンバーだけじゃない。応援してくれてる人たちからも、私たちはパワーをもらってるんだ。

 さぁ、きばってくぞ!!

 今回の決勝戦でのレースは4艇で争い、私たちの艇は4レーンで予選1位と4位のチームに挟まれている。予選1位のチームが、艇に乗り込む。私たちが予選で使用した青い龍艇だ。その中には、郁美と同じボート部のメンバーも何人か含まれていた。鼓手は男性で、力強い印象の人だった。

 まだ結果も出てないうちから怖気付いてちゃいけない。私は鼓手、チームのムードメーカーなんだから、引っ張っていかなくちゃ。

 拳にギュッと力を入れる。

 暫くしてからスタッフに合図され、私たちも艇に乗り込んだ。赤の龍艇だ。赤は勝負の色。うん、いい予感がする。

 艇に乗り込むと、太鼓を挟み、バチを握ると次々に乗り込むメンバーを見つめる。皆、多少の緊張はしているものの、いい表情をしてる。

「はい、行くよー!!」

 ボートがレース開始位置に向かって漕ぎ進む。

 みんなの持ってる力を最大限に発揮できるよう、サポートしたい。どうか、いいレースが出来ますように……

 レース開始位置につき、もう1チームが着くまで待つ。

「チェストォォーー!!」

 なんの前触れもなく声を上げた私に、みんなから一斉に声が上がる。

『伊佐高龍舟チーーーム!!』

 みんなが好き。このチームが好き。だから、後悔したくない。頑張ろう。

 ひとりひとりと目を合わせ、頷く。最後に海くんが、力強く頷いた。

 最後の艇がレース開始位置に着いた。耳を澄ましてスターターの声に集中する。トクトクと心臓が鳴る音が聞こえて、身体全体に振動する。

 もっと、神経を研ぎ澄ませるんだ……他の音が、何も聞こえなくなるぐらいに。
 
「パドルを上げー」
「構えてー!!」

 惚れ惚れするぐらい皆の動きが揃って、鳥肌が立った。みんなの心が、ひとつになってる。
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