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ワンコとご飯
3
追加注文を終え、熱くなった頬が落ち着いた私は先程の会話に戻った。
「で、日曜は何してるの?」
柚木くんは明太子パスタを器用に取り分け、小皿を渡した。
「大学の連れとフットサルとかバスケとか海行ったり、予定が無い日は一人でドライブ行ったり……
先週の日曜はひとりでスノボ行ってました」
「わっ、すっごいアクティブ!」
さっすが、ワンコ。
柚木くんは、少し照れたようにはにかんだ。その笑顔がたまらなく可愛い。
「でも一人で行動するの、ほんとはあんまり好きじゃないんですよね……
大学の連れはどんどん彼女できて、集まりとか連れてくるし。僕だけ彼女いなくて寂しいです」
そう言って、柚木くんがチラッとこちらを見た。
その視線にドキッとしてしまう。
彼女、いないんだ……
いや、そうだよね。そうじゃなきゃ、バレンタインに私とご飯食べに来るわけないもんね……
どうしよ、また意識してきちゃった……
視線を泳がせた私は、柚木くんのすぐ横に置いてある紙袋に目がいった。
「それにしても、ほんっとすごい量だねぇ~」
私は紙袋3袋分のチョコを見て言った。
「1年分はあるかも。でもそしたらまたバレンタイン来て、永久にチョコなくならないね」
冗談めかして言う私に、柚木くんが苦笑いを浮かべた後……ふっと真剣な眼差しで私を見つめた。
え、どうしたの?
「でも僕は……100個のチョコよりも好きな人にもらう1個のチョコの方が何よりも嬉しいです」
いつも笑顔で爽やかな柚木くんの、見たことがない表情に煽られて……私の鼓動が落ち着かない。
えっ、な、なに……これって告白、なの?
もしかして、チョコを渡す、タイミング、なの?
でもこれ……真剣な告白、だよね……
中途半端な気持ちで、受け入れられない。
冗談めかしてボディタッチとかは平気でできるのに、いざとなると恋に臆病になるアラサーの私がここにいる。
「……そんなこと言ってもらえる柚木くんの想い人はラッキーだね」
ここは……鈍感なフリして、私に言ってることに気付かなかったことにしよう。
そんな私に、柚木くんは一瞬目を伏せた後、微笑んだ。
「原田先輩は……誰かにチョコ、渡したんですか?」
今度は逆に柚木くんに尋ねられた。
柚木くんに用意してるけど、渡せない……
「私が新人だった頃は義理チョコ渡すの恒例だったから、課の女子でお金出し合って上司や男子社員にチョコあげてたけど、義理チョコ禁止令が出てからは渡してないなぁ。
誰かひとり配るとキリなくなりそうだし」
なんで私、先輩ヅラして余裕ぶっちゃうんだろ。
「原田先輩、社内で人気だから期待してた男子社員多かったと思いますよ」
ドキンッ
「うっそー。じゃ、みんなに配っとけばよかったかな? ハハッ」
照れ隠しで思わず冗談言っちゃう、残念な私。
沙也にあんなこと言っておきながら、実践だとダメダメじゃん……
「原田先輩なら……たとえ大勢に渡した中の1個だったとしても……
僕は、嬉しいです」
柚木くんが少し目を逸らして小さく言った後、コップに半分以上残っていたウーロン茶を一気飲みした。
ど、どうする、私!?
動揺を悟られないように必死で押し隠そうとするけれど、心のうちは大パニックだった。
なんて、返せばいいの?
大人な女の台詞が思いつかないっっ!!
あーでもない、こーでもない、と思いを巡らせていると、
「だって僕、原田先輩のワンコですから」
そう言って柚木くんがにっこり笑った。
ハ?
あれ……?
柚木くんは、私のことを好きで言ってるのかと思ってたけど、実はただの慕っている後輩として言ってるのかもしれない。
あ、なんか分からなくなってきた……
本当は柚木くんって、小悪魔ワンコなのかもしれない。
「ちょっと……お手洗い、行ってくるね」
少し、冷静になろう……
私はカバンを手に席を立った。
「で、日曜は何してるの?」
柚木くんは明太子パスタを器用に取り分け、小皿を渡した。
「大学の連れとフットサルとかバスケとか海行ったり、予定が無い日は一人でドライブ行ったり……
先週の日曜はひとりでスノボ行ってました」
「わっ、すっごいアクティブ!」
さっすが、ワンコ。
柚木くんは、少し照れたようにはにかんだ。その笑顔がたまらなく可愛い。
「でも一人で行動するの、ほんとはあんまり好きじゃないんですよね……
大学の連れはどんどん彼女できて、集まりとか連れてくるし。僕だけ彼女いなくて寂しいです」
そう言って、柚木くんがチラッとこちらを見た。
その視線にドキッとしてしまう。
彼女、いないんだ……
いや、そうだよね。そうじゃなきゃ、バレンタインに私とご飯食べに来るわけないもんね……
どうしよ、また意識してきちゃった……
視線を泳がせた私は、柚木くんのすぐ横に置いてある紙袋に目がいった。
「それにしても、ほんっとすごい量だねぇ~」
私は紙袋3袋分のチョコを見て言った。
「1年分はあるかも。でもそしたらまたバレンタイン来て、永久にチョコなくならないね」
冗談めかして言う私に、柚木くんが苦笑いを浮かべた後……ふっと真剣な眼差しで私を見つめた。
え、どうしたの?
「でも僕は……100個のチョコよりも好きな人にもらう1個のチョコの方が何よりも嬉しいです」
いつも笑顔で爽やかな柚木くんの、見たことがない表情に煽られて……私の鼓動が落ち着かない。
えっ、な、なに……これって告白、なの?
もしかして、チョコを渡す、タイミング、なの?
でもこれ……真剣な告白、だよね……
中途半端な気持ちで、受け入れられない。
冗談めかしてボディタッチとかは平気でできるのに、いざとなると恋に臆病になるアラサーの私がここにいる。
「……そんなこと言ってもらえる柚木くんの想い人はラッキーだね」
ここは……鈍感なフリして、私に言ってることに気付かなかったことにしよう。
そんな私に、柚木くんは一瞬目を伏せた後、微笑んだ。
「原田先輩は……誰かにチョコ、渡したんですか?」
今度は逆に柚木くんに尋ねられた。
柚木くんに用意してるけど、渡せない……
「私が新人だった頃は義理チョコ渡すの恒例だったから、課の女子でお金出し合って上司や男子社員にチョコあげてたけど、義理チョコ禁止令が出てからは渡してないなぁ。
誰かひとり配るとキリなくなりそうだし」
なんで私、先輩ヅラして余裕ぶっちゃうんだろ。
「原田先輩、社内で人気だから期待してた男子社員多かったと思いますよ」
ドキンッ
「うっそー。じゃ、みんなに配っとけばよかったかな? ハハッ」
照れ隠しで思わず冗談言っちゃう、残念な私。
沙也にあんなこと言っておきながら、実践だとダメダメじゃん……
「原田先輩なら……たとえ大勢に渡した中の1個だったとしても……
僕は、嬉しいです」
柚木くんが少し目を逸らして小さく言った後、コップに半分以上残っていたウーロン茶を一気飲みした。
ど、どうする、私!?
動揺を悟られないように必死で押し隠そうとするけれど、心のうちは大パニックだった。
なんて、返せばいいの?
大人な女の台詞が思いつかないっっ!!
あーでもない、こーでもない、と思いを巡らせていると、
「だって僕、原田先輩のワンコですから」
そう言って柚木くんがにっこり笑った。
ハ?
あれ……?
柚木くんは、私のことを好きで言ってるのかと思ってたけど、実はただの慕っている後輩として言ってるのかもしれない。
あ、なんか分からなくなってきた……
本当は柚木くんって、小悪魔ワンコなのかもしれない。
「ちょっと……お手洗い、行ってくるね」
少し、冷静になろう……
私はカバンを手に席を立った。
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