<完結>【R18】バレンタインデーに可愛い後輩ワンコを食べるつもりが、ドS狼に豹変されて美味しく食べられちゃいました♡

奏音 美都

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ワンコとご飯

 追加注文を終え、熱くなった頬が落ち着いた私は先程の会話に戻った。

「で、日曜は何してるの?」

 柚木くんは明太子パスタを器用に取り分け、小皿を渡した。

「大学の連れとフットサルとかバスケとか海行ったり、予定が無い日は一人でドライブ行ったり……
 先週の日曜はひとりでスノボ行ってました」
「わっ、すっごいアクティブ!」

 さっすが、ワンコ。

 柚木くんは、少し照れたようにはにかんだ。その笑顔がたまらなく可愛い。

「でも一人で行動するの、ほんとはあんまり好きじゃないんですよね……
 大学の連れはどんどん彼女できて、集まりとか連れてくるし。僕だけ彼女いなくて寂しいです」

 そう言って、柚木くんがチラッとこちらを見た。

 その視線にドキッとしてしまう。

 彼女、いないんだ……
 いや、そうだよね。そうじゃなきゃ、バレンタインに私とご飯食べに来るわけないもんね……

 どうしよ、また意識してきちゃった……

 視線を泳がせた私は、柚木くんのすぐ横に置いてある紙袋に目がいった。

「それにしても、ほんっとすごい量だねぇ~」

 私は紙袋3袋分のチョコを見て言った。

「1年分はあるかも。でもそしたらまたバレンタイン来て、永久にチョコなくならないね」

 冗談めかして言う私に、柚木くんが苦笑いを浮かべた後……ふっと真剣な眼差しで私を見つめた。

 え、どうしたの?

「でも僕は……100個のチョコよりも好きな人にもらう1個のチョコの方が何よりも嬉しいです」

 いつも笑顔で爽やかな柚木くんの、見たことがない表情に煽られて……私の鼓動が落ち着かない。

 えっ、な、なに……これって告白、なの?
 もしかして、チョコを渡す、タイミング、なの?

 でもこれ……真剣な告白、だよね……
 中途半端な気持ちで、受け入れられない。

 冗談めかしてボディタッチとかは平気でできるのに、いざとなると恋に臆病になるアラサーの私がここにいる。

「……そんなこと言ってもらえる柚木くんの想い人はラッキーだね」

 ここは……鈍感なフリして、私に言ってることに気付かなかったことにしよう。

 そんな私に、柚木くんは一瞬目を伏せた後、微笑んだ。

「原田先輩は……誰かにチョコ、渡したんですか?」

 今度は逆に柚木くんに尋ねられた。

 柚木くんに用意してるけど、渡せない……

「私が新人だった頃は義理チョコ渡すの恒例だったから、課の女子でお金出し合って上司や男子社員にチョコあげてたけど、義理チョコ禁止令が出てからは渡してないなぁ。
 誰かひとり配るとキリなくなりそうだし」

 なんで私、先輩ヅラして余裕ぶっちゃうんだろ。

「原田先輩、社内で人気だから期待してた男子社員多かったと思いますよ」

 ドキンッ

「うっそー。じゃ、みんなに配っとけばよかったかな? ハハッ」

 照れ隠しで思わず冗談言っちゃう、残念な私。
 沙也にあんなこと言っておきながら、実践だとダメダメじゃん……

「原田先輩なら……たとえ大勢に渡した中の1個だったとしても……
 僕は、嬉しいです」

 柚木くんが少し目を逸らして小さく言った後、コップに半分以上残っていたウーロン茶を一気飲みした。

 ど、どうする、私!?

 動揺を悟られないように必死で押し隠そうとするけれど、心のうちは大パニックだった。

 なんて、返せばいいの?
 大人な女の台詞が思いつかないっっ!!

 あーでもない、こーでもない、と思いを巡らせていると、

「だって僕、原田先輩のワンコですから」

 そう言って柚木くんがにっこり笑った。

 ハ?

 あれ……?

 柚木くんは、私のことを好きで言ってるのかと思ってたけど、実はただの慕っている後輩として言ってるのかもしれない。

 あ、なんか分からなくなってきた……
 本当は柚木くんって、小悪魔ワンコなのかもしれない。

「ちょっと……お手洗い、行ってくるね」

 少し、冷静になろう……

 私はカバンを手に席を立った。
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