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両親との攻防
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このままでは、ミッチェルがジュリエッタだと誤解されたまま話が進んでしまう。
「お待ちください!
ジュリエッタは……」
言いかけたところで、母がジュリエッタの口に手を当てた。
「ようこそ、いらっしゃいました。応接間にご案内致しますわ。セバス、よろしくね」
マリエンヌに言われた執事長のセバスが深々とお辞儀をする。
「かしこまりました、奥様。では、どうぞこちらへ」
セバスの案内でアーロンと彼の両親の姿が見えなくなると、ジュリエッタは怒りを露わにした。
「どうして止めるのですか、お母様!!
ミッチェルが私だと間違われているのですよ!!」
それから、ミッチェルの方に向き直る。
「何をしているの、ミッチェル!!
どうして貴方、そんな……女性の格好をしているの!?」
ミッチェルが俯き、肩を震わせた。
「申し訳ありません、姉上……
僕、パブリックスクールで自分の顔立ちや体の貧弱さをからかわれて虐められるようになってから、男性としての自分に自信を失ってしまって。どうしても、そのままの姿で部屋から出ることができなくて。それならいっそ、女性の姿になればいいんだと思って。
まさか、姉上の婚約者に、僕のことを姉上だと勘違いされるなんて、思ってもみなかったんです!」
「だったら、なぜすぐに違うと言わなかったのです?」
「そ、それは……」
ミッチェルが頬を染め、夢見るような瞳を浮かべた。
「だって、今まで男性として生きてきて一度も褒められたことなんてなかったのに、女装した途端に美しいと褒められるなんて。それも、あんな素敵な男性に……」
なに、まんざらでもない顔をしてるのよ!
「お母様、なんとか言ってやってください!」
この阿呆な弟に!!
マリエンヌは手を頬に当てた。
「本当に困ったわ」
そうよ、困るわよ、こんな……
「ミッチェルが、こんなに美しい令嬢になるなんて」
「お父様!!」
役立ちそうもない母は切り捨て、ジュリエッタは父に助けを求めた。ニコラスが母を横目に見てから、苦笑いを浮かべる。
「確かに、似合っとるな」
そうじゃないでしょ、あぁもう!!
「とにかく、私はアーロン様の誤解を解きに行ってまいります!」
ジュリエッタが立ち去ろうとすると、母が制した。
「ちょっと待って、ジュリエッタ!!
もしジュリエッタが本当の婚約者だと知ったら……この話は、ご破算になってしまうのかしら」
「なるはずないでしょう、お母様。あちらは経済的に困窮していて、何が何でもうちと結婚させたいと思っているはずですから」
再度立ち去ろうとすると、今度は父に止められた。
「あんなに苦労してやっと手に入った婚約話がなくなったら……もう、貴族と縁戚を結ぶ機会はなくなるかもしれん」
両親は是が非にでもソワール子爵との縁戚を結びたいようだが、それが女装した息子でもいいとはなんと残酷なことだろうか。
「馬鹿なこと言わないでください。絶対にミッチェルが男性であることは、いつか分かってしまいますわよ。その時に、なんと言い訳するつもりですか!
そ、れに……」
ジュリエッタは少し口籠ってから、小さく付け足した。
「男性同士では……後継は、望めませんわ」
ここまで言えば、両親も分かってくれることだろうとジュリエッタは思った。
父が頷き、ジュリエッタは安堵の息を吐き掛けた。
「ここは……相手の出方を見てみようじゃないか。
慎重に……」
なんですって!?
だが、家長である父に逆らうことはできない。結局、ジュリエッタは両親の計画通りに動くことになった。
「お待ちください!
ジュリエッタは……」
言いかけたところで、母がジュリエッタの口に手を当てた。
「ようこそ、いらっしゃいました。応接間にご案内致しますわ。セバス、よろしくね」
マリエンヌに言われた執事長のセバスが深々とお辞儀をする。
「かしこまりました、奥様。では、どうぞこちらへ」
セバスの案内でアーロンと彼の両親の姿が見えなくなると、ジュリエッタは怒りを露わにした。
「どうして止めるのですか、お母様!!
ミッチェルが私だと間違われているのですよ!!」
それから、ミッチェルの方に向き直る。
「何をしているの、ミッチェル!!
どうして貴方、そんな……女性の格好をしているの!?」
ミッチェルが俯き、肩を震わせた。
「申し訳ありません、姉上……
僕、パブリックスクールで自分の顔立ちや体の貧弱さをからかわれて虐められるようになってから、男性としての自分に自信を失ってしまって。どうしても、そのままの姿で部屋から出ることができなくて。それならいっそ、女性の姿になればいいんだと思って。
まさか、姉上の婚約者に、僕のことを姉上だと勘違いされるなんて、思ってもみなかったんです!」
「だったら、なぜすぐに違うと言わなかったのです?」
「そ、それは……」
ミッチェルが頬を染め、夢見るような瞳を浮かべた。
「だって、今まで男性として生きてきて一度も褒められたことなんてなかったのに、女装した途端に美しいと褒められるなんて。それも、あんな素敵な男性に……」
なに、まんざらでもない顔をしてるのよ!
「お母様、なんとか言ってやってください!」
この阿呆な弟に!!
マリエンヌは手を頬に当てた。
「本当に困ったわ」
そうよ、困るわよ、こんな……
「ミッチェルが、こんなに美しい令嬢になるなんて」
「お父様!!」
役立ちそうもない母は切り捨て、ジュリエッタは父に助けを求めた。ニコラスが母を横目に見てから、苦笑いを浮かべる。
「確かに、似合っとるな」
そうじゃないでしょ、あぁもう!!
「とにかく、私はアーロン様の誤解を解きに行ってまいります!」
ジュリエッタが立ち去ろうとすると、母が制した。
「ちょっと待って、ジュリエッタ!!
もしジュリエッタが本当の婚約者だと知ったら……この話は、ご破算になってしまうのかしら」
「なるはずないでしょう、お母様。あちらは経済的に困窮していて、何が何でもうちと結婚させたいと思っているはずですから」
再度立ち去ろうとすると、今度は父に止められた。
「あんなに苦労してやっと手に入った婚約話がなくなったら……もう、貴族と縁戚を結ぶ機会はなくなるかもしれん」
両親は是が非にでもソワール子爵との縁戚を結びたいようだが、それが女装した息子でもいいとはなんと残酷なことだろうか。
「馬鹿なこと言わないでください。絶対にミッチェルが男性であることは、いつか分かってしまいますわよ。その時に、なんと言い訳するつもりですか!
そ、れに……」
ジュリエッタは少し口籠ってから、小さく付け足した。
「男性同士では……後継は、望めませんわ」
ここまで言えば、両親も分かってくれることだろうとジュリエッタは思った。
父が頷き、ジュリエッタは安堵の息を吐き掛けた。
「ここは……相手の出方を見てみようじゃないか。
慎重に……」
なんですって!?
だが、家長である父に逆らうことはできない。結局、ジュリエッタは両親の計画通りに動くことになった。
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