<完結>【R18】深窓の令嬢は美麗なピアニストの叔父と禁忌の恋に堕ち、淫らに溺れる

奏音 美都

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24.クラブ

 タクシーはノースロンドンのカムデンエリアで停車した。ノースロンドンは全体的に言えば観光スポットが少なく、高級住宅地である印象が強いが、ロンドンのサブカルチャー発祥地とも言われ、ここカムデンエリアにはパブやナイトクラブ、ライブハウス等が軒を連ねていた。

 タクシーを降りると、男性陣を乗せたタクシーもちょうど後ろに停まり、6人で賑やかに歩きだす。

 目的地であるクラブの前には長蛇の列ができており、人気の高さが窺えた。金曜の真夜中あたりが一番賑わうらしく、ちょうどピークの時に来たようだ。事前に予約してチケットを購入していない客は、入場を断られていた。

 店を人が出入りする度に、大音量の音楽と人々の喧騒が聞こえてきて、アイーシャ、リンダ、ヘルベン、ハリーは興奮して待ちきれない様子だった。

「朝まで踊り尽くして、クラブ出たらみんなでケバブ食べようよ!」
「私はホットドッグがいいわぁ」

 アイーシャとリンダは、もうクラブ後の予定まで話し合っていた。

 緊張して落ち着かないサラは、自分と同じくクラブ慣れしていなさそうなタカシがいることに、少し安心感を覚えた。

「タカシも、クラブは初めてなんですか?」
「日本では行ったことあるけど、英国では初めてだよ」

 ヘルベンが揶揄うような視線を、タカシに向けた。

「日本人って、ダンス踊れんのかよ。前にTVで日本のダンスっての観たけど、キモノ着て踊るんだろ?」
「それは日本の伝統舞踊で、日本にだってクラブはあるよ! それに、ブレイクダンスの世界大会で日本人が優勝したの知らないのか? ヘルベンはもっと日本のことを知るべきだ!」

 珍しくムキになって反論するタカシを宥めるように、ハリーが軽く肩を叩いた。

「まぁ、踊るだけが楽しみじゃないさ」
「だーいじょうぶ、クラブクイーンのアイーシャ様に任せて!」

 アイーシャがタカシに抱きついていると、いつのまにか先頭に立っていたリンダが後ろに向かって呼び掛けた。

「ほら、入るわよ!」

 リンダに応えて、入口に入る。

 クラブは時間ごとに値段が変わっており、遅くなればなるほど高くなる。既にチケットは購入してあったので、IDとチケットを見せて中に入った。

 扉を開けると、外から聞こえてきたのとは比べ物にならない大音量の音楽が鼓膜を打ち鳴らす。ズンズンという低音が骨にまで響き、レーザー光線にチカチカし、白いスモークで目がシバシバする。大勢の人が密集し、笑い、歓声を上げ、酒やスモークや香水や汗や体臭等、色々な匂いが混じり合っていた。

 今まで体験したことのない未知の世界に、サラは圧倒された。

 ハリーがサラの耳に唇を寄せる。

「ダンスフロアの真ん中まで行こう」

 見回すと、みんなが移動し始めたため、サラは手を伸ばしてきたハリーではなく、リンダの手を取ってフロアを進んだ。ぎゅうぎゅう詰めのフロアは、隙間を縫って歩こうとしても人にぶつかってしまい、気を抜くと置いて行かれそうになる。サラは必死にリンダの手を掴み、ついていった。

 少しだけスペースがある場所を見つけ、踊り始める。クラシックバレエや社交ダンスなら踊れるが、クラブでのダンスは初めてなので、どうしたらいいのか分からない。

「音楽に身を任せて、踊ればいいから!」

 アイーシャのアドバイスに頷き、音楽に合わせて躰を揺らしてみる。

 ふと、皆の視線がタカシに注目しているのを感じて、そちらに顔を向けると、なんとも奇妙な横乗りで、タカシが踊っていた。

 これが、日本風のダンス、なのでしょうか……

 タカシは次第に激しく躰を揺らし、ストレスを爆発させるかのように首を振り出した。それを見て、アイーシャもリンダもヘルベンもハリーも大爆笑していた。サラは、タカシの意外な一面に驚きつつも、それが可愛らしくも見えて、釣られて笑った。

 そして、皆が笑っているのを見ながら、ステファンには申し訳ないけれど、たまにはこんな集まりもいいかもしれないとサラは思った。

 サラは音楽に身を任せ、躰を揺らし、時には声を上げ……ダンスに夢中になった。

 やがてリンダが男性から声をかけられ、輪の中から抜けた。アイーシャも次々に男性や女性から声をかけられていたが抜けることなく、寧ろ彼らを取り込んでいき、どんどん彼女の取り巻きの輪を広げて盛り上がっていた。

 ヘルベンはタカシに合わせて激しくダンスを踊って、バカ笑いしている。

「ねぇ、あっちで一緒に踊らない?」

 耳元に声をかけられ、振り向くと知らない男性が立っていた。
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