教室の戸を開けたら、そこには......中学生の、私がいた。

奏音 美都

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教室の戸を開けたら、そこには......

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 大人になった溝端くんは、私の頬を撫で返し、愛しみの籠った瞳で見つめた。

「美紗、おはよう」

 え...美紗、って...言ったよね?

「あ、あの...溝端くん......」

 すると、溝端くんがプーッと吹き出した。

「え?」

 な、なに?なになになに?
 私、なんか変なこと言った?

 溝端くんはチョン、と私のおでこを軽く突いた。そのリアルな感触は、これが夢ではないことを私に思い知らせていた。

「なに、その懐かしい呼び方!...中学以来じゃね?ビックリした。
 それに...まだ結婚して1ヶ月で慣れないのは分かるけどさ。美紗だって、溝端なんだぜ?」

 え?え?
 けけけけけけ結婚!?

 溝端くんの向こう側にあるサイドテーブルが視界に入る。そこにはウェディングドレスを着て、幸せそうにタキシードの溝端くんに寄り添って微笑む私の姿があった。

「なに?もしかして結婚の実感も沸いてないの?
 ......だったら、分からせてあげようか、可愛い奥さん?」

 溝端くんの端正な顔が近づき、柔らかい唇が重なる。

 ちょちょちょちょっと待って......頭が、追いつかない......

 夢の中にいたと思ってた私が起こした行動が、現実の世界を変えてしまったってこと、なの!?

 教室の扉を開けたら、違う未来が開かれた……みたい。
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