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復讐の誓い ー久美回想ー
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『あれ、久美こんなとこで何してるの?』
『てか! そこに倒れてるの美姫じゃない!?
えっえっ、戻ってきたん!?どーしたん!?』
その声で意識が覚めた私は、ハッとした。
それは、寮の同じ階に住んでる涼子と穂花ほのかだった。ふたりが近づいていたことに、全然気がつかなかった。
現実に引き戻された私は、今しなければならないことを必死に考えた。
『た、助けを呼ばないと......わ、私、管理室の小川さん、呼んでくる』
そう言うと、副寮長である涼子もついてくることになり、穂花は美姫の側についていることになった。美姫が倒れる原因を作ってしまったことに後ろめたい気持ちでいた私は、彼女から離れられて内心ホッとした。
管理室に着くと、涼子が受付の窓から中にいる小川さんに向かって大声で叫んだ。
『小川さん! みき...来栖さんが廊下で...』
言い終わらないうちにガタンという音がしたかと思うと、扉が開いてサングラスを掛けた背の高い男性が出てきた。まるで雑誌やテレビから出てきたみたいに美しく整った容姿に、妖艶な雰囲気を漂わせている。
『どちらですか?』
焦りを含んだ蒼白した顔さえも、絵になる。
なんて、美しい顔立ちの人なんだろう......芸能人みたい。
こんな状況にも関わらず、思わず私たちふたりはその男性に見惚れてボーッとしてしまった。
『美姫は、どこにいるのですか?』
男性の押し殺したような声に涼子が正気を取り戻し、今来た道を指さした。
『あっち、です...』
指をさした瞬間に駆け出した彼の耳には、涼子の言葉は届くことはなかった。その姿を、慌てて涼子が追い駆ける。
私はタイミングを失って追い駆けることが出来ず、立ち尽くして二人の姿を見送っていた。
今の男性、誰だったんだろう。あの人が、もしかして、美姫の言ってた『好きな人』なのかな......
『みき』って言葉を聞いただけで飛び出してきて、あんな風に駆け出して行くなんて、よっぽど心配だったんだよね。ふたりは、付き合ってるのかな......美姫は、そんな風には言ってなかったけど。
先程の男性の風貌を思い浮かべ、美姫が礼音に少しもなびかなかったわけが分かった。
礼音はイケメンだけど......なんていうか、レベルが違う。大人でセクシーな雰囲気だったし、服装だって凄く高そうな格好してたし。
まるで、別世界の人みたいだった。
あの男性が美姫の彼氏なのかもしれないと思うと、羨ましい気持ちになった。
でも、そこでハタと気がついた。
寮に連絡してきたのって、実は美姫のお父さんじゃなくてあの人だったんじゃ......
美姫は、あの事件の後、彼氏のところに身を寄せてたのかも。
もし、美姫が彼氏に礼音に襲われたことを話していたとしたら?
それを知って、密かに美姫の彼が礼音に復讐したのだとしたら?
美姫は、礼音が退学になったって聞いた時に、それが彼氏のしたことだって気がついたんじゃ......
なんて。
私、どうかしてる......
......現実的に考えて、あれだけの道具をたった数時間で用意することなんて、無理だ。
それに、礼音を退学処分にさせるなんて、礼音の罪を告発したとしても、普通は会議にかけたりするはずだ。翌日になんて、ありえない。
美姫の彼氏があまりにも素敵な人だったから、嫉妬してそんなこと考えちゃってるのかもしれない。
でも......さっきの、美姫の態度。あれは、何かを知っている様子だった。
いったい、美姫は何を知ってるの!?
更に混乱する頭を抱えて、ふたりが駆けて行った方向を再び見つめる。
それにしても、置いてきぼりくらっちゃったな。私も追い駆けた方がいいのかな......
どうしようか迷っていると、ようやく小川さんがのっそりと扉から顔を出した。
『あらー、来栖さん行っちゃったわねぇ。ここは、男性は入れないって言っておいたのに......』
『え、来栖......?』
『てか! そこに倒れてるの美姫じゃない!?
えっえっ、戻ってきたん!?どーしたん!?』
その声で意識が覚めた私は、ハッとした。
それは、寮の同じ階に住んでる涼子と穂花ほのかだった。ふたりが近づいていたことに、全然気がつかなかった。
現実に引き戻された私は、今しなければならないことを必死に考えた。
『た、助けを呼ばないと......わ、私、管理室の小川さん、呼んでくる』
そう言うと、副寮長である涼子もついてくることになり、穂花は美姫の側についていることになった。美姫が倒れる原因を作ってしまったことに後ろめたい気持ちでいた私は、彼女から離れられて内心ホッとした。
管理室に着くと、涼子が受付の窓から中にいる小川さんに向かって大声で叫んだ。
『小川さん! みき...来栖さんが廊下で...』
言い終わらないうちにガタンという音がしたかと思うと、扉が開いてサングラスを掛けた背の高い男性が出てきた。まるで雑誌やテレビから出てきたみたいに美しく整った容姿に、妖艶な雰囲気を漂わせている。
『どちらですか?』
焦りを含んだ蒼白した顔さえも、絵になる。
なんて、美しい顔立ちの人なんだろう......芸能人みたい。
こんな状況にも関わらず、思わず私たちふたりはその男性に見惚れてボーッとしてしまった。
『美姫は、どこにいるのですか?』
男性の押し殺したような声に涼子が正気を取り戻し、今来た道を指さした。
『あっち、です...』
指をさした瞬間に駆け出した彼の耳には、涼子の言葉は届くことはなかった。その姿を、慌てて涼子が追い駆ける。
私はタイミングを失って追い駆けることが出来ず、立ち尽くして二人の姿を見送っていた。
今の男性、誰だったんだろう。あの人が、もしかして、美姫の言ってた『好きな人』なのかな......
『みき』って言葉を聞いただけで飛び出してきて、あんな風に駆け出して行くなんて、よっぽど心配だったんだよね。ふたりは、付き合ってるのかな......美姫は、そんな風には言ってなかったけど。
先程の男性の風貌を思い浮かべ、美姫が礼音に少しもなびかなかったわけが分かった。
礼音はイケメンだけど......なんていうか、レベルが違う。大人でセクシーな雰囲気だったし、服装だって凄く高そうな格好してたし。
まるで、別世界の人みたいだった。
あの男性が美姫の彼氏なのかもしれないと思うと、羨ましい気持ちになった。
でも、そこでハタと気がついた。
寮に連絡してきたのって、実は美姫のお父さんじゃなくてあの人だったんじゃ......
美姫は、あの事件の後、彼氏のところに身を寄せてたのかも。
もし、美姫が彼氏に礼音に襲われたことを話していたとしたら?
それを知って、密かに美姫の彼が礼音に復讐したのだとしたら?
美姫は、礼音が退学になったって聞いた時に、それが彼氏のしたことだって気がついたんじゃ......
なんて。
私、どうかしてる......
......現実的に考えて、あれだけの道具をたった数時間で用意することなんて、無理だ。
それに、礼音を退学処分にさせるなんて、礼音の罪を告発したとしても、普通は会議にかけたりするはずだ。翌日になんて、ありえない。
美姫の彼氏があまりにも素敵な人だったから、嫉妬してそんなこと考えちゃってるのかもしれない。
でも......さっきの、美姫の態度。あれは、何かを知っている様子だった。
いったい、美姫は何を知ってるの!?
更に混乱する頭を抱えて、ふたりが駆けて行った方向を再び見つめる。
それにしても、置いてきぼりくらっちゃったな。私も追い駆けた方がいいのかな......
どうしようか迷っていると、ようやく小川さんがのっそりと扉から顔を出した。
『あらー、来栖さん行っちゃったわねぇ。ここは、男性は入れないって言っておいたのに......』
『え、来栖......?』
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