1,012 / 1,014
After Story3 ー怖いぐらいに幸せな……溺愛蜜月旅行❤️ー
DAY1ー31
しおりを挟む
シャンパンが運ばれ、乾杯したところでビンゴ大会が始まった。
ステージには大画面のスクリーンがあり、そこに選ばれた数字がデカデカと表示される。
会場のあちこちにはスピーカーがあり、司会の声がクリアに届くため、数字を聞き漏らすこともなかった。
「さーて、次の数字は……『9』です!!」
美姫は手にしたビンゴカードの数字を上から順に辿っていき、『9』を探す。
あぁ、なかった……
ビンゴマーカーで秀一がカードにポンとスタンプを押すと、美姫に微笑んだ。
「美姫。ビンゴカードの数字は75までで、配列が決まっているのですよ。
1列目のBが1~15、2列目のIが16~30、3列目のNが31~45、4列目のGが46~60、一番左となる5列目のOが61~75となっています。
ですから、『9』であれば、1列目のBを探せばいいのですよ」
「そうなんですね、知りませんでした」
「まぁ、美姫は初めてビンゴをするわけですから、当然です」
すると、横で聞いていたザックが感嘆の声を上げた。
「へぇー、僕、今までに何回もビンゴやったことあるけど、初めて知ったよ!
いいこと聞いた。さっきまで、数字探すの大変で、時間間に合わなーいって思ってたもん!」
10枚のビンゴをザーッと並べたザックはにっこり笑った。
美姫は秀一の手にしているビンゴカードを手にし、目を瞠った。
「凄い! 秀一さん、もうこんなに埋まってるんですね」
まだ2つしか印をつけられていない美姫に対して、秀一のビンゴカードはスタンプで埋まっていた。
秀一がビンゴカードを差し出す。
「交換しましょうか?」
「い、いえ!! それは、秀一さんのビンゴカードですから」
司会者の声が響いた。
「続いてはー、『36』です!!」
秀一がサッと3列目に視線を向け、『36』にスタンプを押すと、小さく「ぁ……」と呟いた。
隣の美姫が覗き込むと、秀一のビンゴのラインが揃っている。
「えっ、秀一さん……もう、ビンゴじゃないですか!」
すると、秀一が人差し指を唇に当てた。思わず、美姫は顔を赤らめて唇を閉じた。
どうして、揃ったのに言わないの?
そんな美姫の疑問に答えるように、秀一が美姫の耳に唇を寄せ、こっそり呟いた。
「庶民の楽しみを奪うのは、心苦しいですからね」
庶民、って……
もし秀一以外の誰かがそんなことを言っていたらなんて高慢だと思うかもしれないが、なぜか秀一が言うと納得してしまう。
「あーっっ!! もうっ!! 全然ないわぁ!!」
「もぉ、ミシェル黙ってよぉ。こっちは10枚もあって、探すの必死なんだから!!」
ここに、庶民丸出しのふたりがいた。ミシェルのドラァグクイーンの威光は、もはや風前の灯火だった。
秀一がビンゴを出してから5度目のターンで、
「ビンゴー!!」
叫び声が上がった。恰幅のいい大柄な女性が腰を揺らしながら、ステージへと向かっている。
「おめでとうございまーす!! ビンゴが出ましたー!!」
女性は興奮し、悲鳴をあげ、司会者に抱きついた。
確かに……秀一さんがビンゴを出すよりも、あの女の人に当たった方が喜んでもらえて、良かったのかも。
「賞金は1000ドルです! このクルーズで素敵な時間を過ごしてくださいね」
「キャーッ、信じられないわ!! なんて幸運なのかしらっっ!!」
ザックは5ドルのビンゴカードを100枚買おうとしてたから、賞金の半額を使おうとしてたってことだよね……
「キーッ、悔しいわ!!」
ミシェルがビンゴカードを放り投げると、周りの客たちがビクッと慄いた。
「僕なんて10枚も買ったのにぃ」
美姫が秀一を横目でチラッと見つめると、優美に微笑まれた。
秀一さんがビンゴだったってことは、ふたりに言わない方がいいよね……
残念ムードが漂う会場に向かって、司会者が声をあげる。
「まだまだビンゴ大会は続きますので、どうぞ皆さん引き続きご参加くださーい」
ステージには大画面のスクリーンがあり、そこに選ばれた数字がデカデカと表示される。
会場のあちこちにはスピーカーがあり、司会の声がクリアに届くため、数字を聞き漏らすこともなかった。
「さーて、次の数字は……『9』です!!」
美姫は手にしたビンゴカードの数字を上から順に辿っていき、『9』を探す。
あぁ、なかった……
ビンゴマーカーで秀一がカードにポンとスタンプを押すと、美姫に微笑んだ。
「美姫。ビンゴカードの数字は75までで、配列が決まっているのですよ。
1列目のBが1~15、2列目のIが16~30、3列目のNが31~45、4列目のGが46~60、一番左となる5列目のOが61~75となっています。
ですから、『9』であれば、1列目のBを探せばいいのですよ」
「そうなんですね、知りませんでした」
「まぁ、美姫は初めてビンゴをするわけですから、当然です」
すると、横で聞いていたザックが感嘆の声を上げた。
「へぇー、僕、今までに何回もビンゴやったことあるけど、初めて知ったよ!
いいこと聞いた。さっきまで、数字探すの大変で、時間間に合わなーいって思ってたもん!」
10枚のビンゴをザーッと並べたザックはにっこり笑った。
美姫は秀一の手にしているビンゴカードを手にし、目を瞠った。
「凄い! 秀一さん、もうこんなに埋まってるんですね」
まだ2つしか印をつけられていない美姫に対して、秀一のビンゴカードはスタンプで埋まっていた。
秀一がビンゴカードを差し出す。
「交換しましょうか?」
「い、いえ!! それは、秀一さんのビンゴカードですから」
司会者の声が響いた。
「続いてはー、『36』です!!」
秀一がサッと3列目に視線を向け、『36』にスタンプを押すと、小さく「ぁ……」と呟いた。
隣の美姫が覗き込むと、秀一のビンゴのラインが揃っている。
「えっ、秀一さん……もう、ビンゴじゃないですか!」
すると、秀一が人差し指を唇に当てた。思わず、美姫は顔を赤らめて唇を閉じた。
どうして、揃ったのに言わないの?
そんな美姫の疑問に答えるように、秀一が美姫の耳に唇を寄せ、こっそり呟いた。
「庶民の楽しみを奪うのは、心苦しいですからね」
庶民、って……
もし秀一以外の誰かがそんなことを言っていたらなんて高慢だと思うかもしれないが、なぜか秀一が言うと納得してしまう。
「あーっっ!! もうっ!! 全然ないわぁ!!」
「もぉ、ミシェル黙ってよぉ。こっちは10枚もあって、探すの必死なんだから!!」
ここに、庶民丸出しのふたりがいた。ミシェルのドラァグクイーンの威光は、もはや風前の灯火だった。
秀一がビンゴを出してから5度目のターンで、
「ビンゴー!!」
叫び声が上がった。恰幅のいい大柄な女性が腰を揺らしながら、ステージへと向かっている。
「おめでとうございまーす!! ビンゴが出ましたー!!」
女性は興奮し、悲鳴をあげ、司会者に抱きついた。
確かに……秀一さんがビンゴを出すよりも、あの女の人に当たった方が喜んでもらえて、良かったのかも。
「賞金は1000ドルです! このクルーズで素敵な時間を過ごしてくださいね」
「キャーッ、信じられないわ!! なんて幸運なのかしらっっ!!」
ザックは5ドルのビンゴカードを100枚買おうとしてたから、賞金の半額を使おうとしてたってことだよね……
「キーッ、悔しいわ!!」
ミシェルがビンゴカードを放り投げると、周りの客たちがビクッと慄いた。
「僕なんて10枚も買ったのにぃ」
美姫が秀一を横目でチラッと見つめると、優美に微笑まれた。
秀一さんがビンゴだったってことは、ふたりに言わない方がいいよね……
残念ムードが漂う会場に向かって、司会者が声をあげる。
「まだまだビンゴ大会は続きますので、どうぞ皆さん引き続きご参加くださーい」
0
あなたにおすすめの小説
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる