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焦燥 ー秀一視点ー
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あれからすぐに会場を出てタクシーを拾い、名古屋駅へと向かった。タイミングよく20時32分発のぞみ54号のチケットを取ることができた。それでも、東京駅着は10時13分だ。
名古屋から東京までの1時間40分の距離。自分ではどうすることも出来ない、と分かっていても耐え難い程の焦燥感に駆られ、どうしようもなく苛立ち、ぎりぎりと歯を噛み鳴らした。
美姫、美姫……早く、貴女に会いたい。会って、この焦燥感を消して下さい……
先程流れてきた音声が耳の中で自動音声され、何度も繰り返し響き渡る。
厭らしい、肉欲に支配された男の声。美姫の呻き声……
頭蓋骨がガンガンと打ち砕かれ、激しい耳鳴りがしているような気持ち悪さに苛まれる冷たい汗がこめかみを伝った。
美姫……どんなに恐ろしい思いをしていることでしょう。どんなに心細く、不安な思いで私を求めているのでしょう。
早く行って、その不安を拭い去りたい。抱き締めて、安心させてやりたい……
新幹線の速度さえ緩慢に感じられる程、もどかしく思える。流れる景色をいくら凝視したところで、それが変わるわけではないのに、そうせずにはいられなかった……
羽鳥大和に電話するが、電源が入っていないようで、それが余計に焦燥感を煽った。
何を、しているのですか。美姫は…無事、なのですか……
新幹線の中ではあったが、隣には誰も座っていなかった為、監視アプリを起動させた。GPSは未だに移動していない。写真を撮影してみると、先程と全く同じ画像が送られてきた。さすがに席では音声は再生できない為、秀一は洗面所へと向かい、そこで録音を開始する。
『…………』
何も、聞こえて来ない。
これは、一体……
そして、ある可能性に辿り着く。羽鳥大和は無事美姫を救出し、藤堂礼音を何らかの形で拘束することに成功した。そして、美姫を連れて出ていく際、美姫のスマホの存在に気付かなかった。
それとも、或いは……逆に羽鳥大和が藤堂礼音の反撃にあい、美姫を連れて外に出て行ったとも考えられる。
考えれば考える程底なし沼のごとく深みに嵌り、墜ちていく。ようやく新幹線がゆっくりと速度を落としながら、東京駅のホームへと滑り込んだ。
名古屋から東京までの1時間40分の距離。自分ではどうすることも出来ない、と分かっていても耐え難い程の焦燥感に駆られ、どうしようもなく苛立ち、ぎりぎりと歯を噛み鳴らした。
美姫、美姫……早く、貴女に会いたい。会って、この焦燥感を消して下さい……
先程流れてきた音声が耳の中で自動音声され、何度も繰り返し響き渡る。
厭らしい、肉欲に支配された男の声。美姫の呻き声……
頭蓋骨がガンガンと打ち砕かれ、激しい耳鳴りがしているような気持ち悪さに苛まれる冷たい汗がこめかみを伝った。
美姫……どんなに恐ろしい思いをしていることでしょう。どんなに心細く、不安な思いで私を求めているのでしょう。
早く行って、その不安を拭い去りたい。抱き締めて、安心させてやりたい……
新幹線の速度さえ緩慢に感じられる程、もどかしく思える。流れる景色をいくら凝視したところで、それが変わるわけではないのに、そうせずにはいられなかった……
羽鳥大和に電話するが、電源が入っていないようで、それが余計に焦燥感を煽った。
何を、しているのですか。美姫は…無事、なのですか……
新幹線の中ではあったが、隣には誰も座っていなかった為、監視アプリを起動させた。GPSは未だに移動していない。写真を撮影してみると、先程と全く同じ画像が送られてきた。さすがに席では音声は再生できない為、秀一は洗面所へと向かい、そこで録音を開始する。
『…………』
何も、聞こえて来ない。
これは、一体……
そして、ある可能性に辿り着く。羽鳥大和は無事美姫を救出し、藤堂礼音を何らかの形で拘束することに成功した。そして、美姫を連れて出ていく際、美姫のスマホの存在に気付かなかった。
それとも、或いは……逆に羽鳥大和が藤堂礼音の反撃にあい、美姫を連れて外に出て行ったとも考えられる。
考えれば考える程底なし沼のごとく深みに嵌り、墜ちていく。ようやく新幹線がゆっくりと速度を落としながら、東京駅のホームへと滑り込んだ。
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