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もふねこ少年と人間の青年、朝の様子。

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朝。
ぴぴぴぴぴ。
目覚まし時計の音が鳴る。
カチ。
音が止む。
そしてベッドがギシリと音を立てる。
「…うー。」
青年は伸びをする。
1日のスタートである。

















じゅー。
こんこんこん。
しゅー。
チーン。
かたん。
こぽこぽ。

「うむ。今日も完ぺき。」
青年は満足そうな顔をした。他人には普段の無表情との違いが分からないが。

「さて、起こすか。」
そして青年は、さっきまで自分が寝ていた部屋へ。
ダブルベッドには、しろいねこみみしっぽの少年が、しろいシーツとおふとんに同化していた。
「しらゆき朝だぞ」
青年は声をかける。
「しゅぴー。」
少年は起きない。
「ご飯できてるぞ」
青年は声をかける。
「しゅぴー。」
少年は起きない。
「いいかげんに」
「ひなうるさいのにゃ、もすこしねかせろなのにゃ」
「起きとるんかい」
青年は無情にもふかふかのおふとんをはぎ取った。
「あー!なにするの!さむいの!」
「起きろって言ってんだろうがさっきから。朝ごはん出来てるぞ。早くしないと冷めるぞいいのか。今日は目玉焼きがのったトーストなのに。」
「うにゃ!?なんでそれをはやくいわにゃい!めだまやきとーすとー!!」
てててててと少年は駆けていった。
そして青年は黙ってシーツを直すのだった。
いつものことである。

















「にゃ~さくさくのとーすとに、とろとろのたまごのきみがおいしいのにゃ~」
幸せそうに好物を食べる少年。ねこみみがぴょこぴょこ、しっぽがゆらゆら。
「それはようございました」
青年が言う。
「ひなのつくるごはんはせかいいちなの~もぐもぐ」
「そうかそうか、じゃあそのグリーンピースも食べれるな~?」
「うっっぐりーんぴーすはやなのにゃ」
昨日のチキンライスの残りも朝ごはんに出していたのだが、少年はグリーンピースが嫌いなため避けて食べていたのだった。
「好き嫌いしてたら大きくなれないぞ」
「ひなはたいしておおきくないにゃ」
ぴこ。
「なにするにゃ!いきなりぴこぴこでたたくにゃんて!」
「お前よりはでかいし俺は小さくない標準」
「おとなげないのにゃ」
この後ぴこぴこを何発かくらった少年であった。ちなみに青年、ちゃんと力は抜いて、ぴこっと鳴るていどで止めていたのだった。ぴこぴこは少年のおもちゃであった。























「じゃあもう俺学校に行くから、おとなしく留守番してろよ」
「まかせるにゃこのいえのあんぜんはしらゆきがまもるのにゃてきはまとめてかえりうちにゃ」
「いや敵とか別にこねーから」
「しんぱいしなくともよいのにゃきをつけるのにゃひな」
「無理すんなよ」
よしよし。
青年は少年の頭を撫で回す。
青年は気がついている。
少年は言葉では気丈に振る舞っているが、本心は、青年が昼間いないことで寂しがっていることに。その証拠に、しっぽが普段に比べて元気がない。 
「むむむむりにゃんてしていにゃいのにゃしらゆきはげんきもりもりにゃ」
「夕方には帰るから、ちゃんと大人しく待ってること。お昼ご飯作ってあるから、電子レンジにチンすること。いいな。」
くしゃくしゃ。
青年は少年の頭を撫で続ける。
「こどもあつかいやめるにゃ!」
「はいはい」
しばらく続いた後。
青年は言う。
「いってきます」
少年は言う。
「いってらっしゃい!」














これが、二人の日常。
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