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忠孝な女伯爵
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『帝国議会』。バスティーナ帝国中の全貴族、聖職者、大商人、ギルド長、学院長が集う、帝国議会最大最高峰の議会である。最終的な決定権は皇帝ルグドラシュが握るが、この議会の可決がなければルグドラシュは決定権を行使することができない。ただし、帝国中の全ての権力者が集うのはそう簡単ではないため、普段は『準帝国議会』が開かれている。準会(準帝国議会の略称)は帝国議会よりも人数が格段に少ない。その分、皇帝以外の人間が権力を握らぬよう、二年に一度議員の選出が行われている。フラウデン伯爵は現準会のメンバーである。
「ただいまより帝国議会を始めます」
セレスティナたちがイノデス伯爵邸を訪れてから四日後。宰相の言葉により始まった議会の議題は、属国である西国の反乱抑止について。ルグランジュが第十三番隊に入隊した際、タナトスの口から話された内容である。当時、アクリュスは経済制裁によって鎮圧されると予想していたが、ルグドラシュの治世になって二度目の反乱であるため、物理的制圧に乗り出すことが準会で決定された。さしあたって、今回の帝国議会ではどの家から誰が制圧軍に参戦するか、物資提供をどこの組織が行うかを決めなければならない。
イギリスの貴族院のような議会室には皇帝ルグドラシュを中心に数百もの権力者が集まっており、それぞれが己の利を考えて発言をする。もちろん、ここにいる全ての人間がそうとは限らない。あくまでも皇帝に忠実な人間も複数在席しており、セレスティナもその一人であった。
文官の輩出が多い家や教会、商会、ギルド、学院が物資提供に回るのはいつものことであるため、ルグドラシュによってすぐに可決された。
セレスティナは滅多なことがなければ会議に口を出さない。ただでさえ成人にも満たない娘が発言しようものなら、皇帝は別として、一定数の者たちに一蹴されるだけである。また、彼女が«社交界の花»であることも関係していた。社交界のトップに立つ彼女が政界でも発言力をつけるなど、他の貴族にとってはたまったものではない。面倒なやっかみを避けるためにセレスティナは粛々と進む会議を静観していた。
物資提供者が決まると、続いて制圧軍への参戦者の選出が始まった。先程までは何の問題もなく続いていた会議が、一瞬にして腹の探り合いに変わる。物資提供は懐が痛むものの、下手な手を打たなければ己の命に関わりはない。しかし、軍への参戦となると話は違ってくる。命のやり取りをする戦場へと駆り出されるからだ。どんな人間でも(狂っていたり他人に忠実すぎたりしなければ)、己の命は惜しいし、家族の命も大切である。それをむざむざ危険に晒すような人はいない。いるのであればスリルを楽しみとする者か、とんだ変人である。
表面上は会議が行われているものの、水面下では参戦権の押し付け合いが繰り広げられていた。いつまでたってもくだらない押し問答が続く。一見論理的に見えて論理的ではないやり取りに、学院生の方がまだ有意義な話し合いができるのではないかと、セレスティナは議会にいる利己的な権力者たちを憐れんだ。
幼稚なやり取りを高みの見物していると、とある公爵がフラウデン伯爵家は出さないのか、とわざと大きな声を上げた。公爵は娘をルグドラシュに嫁がせようとしているのだが、ルグドラシュが頑なに拒否しているのを彼がセレスティナに執着しているせいだと思い、ことあるごとに彼女を目の敵にしている。実際は公爵の娘の知性が足りないために皇帝は拒んでいるのだが、それに公爵は気付いていない。
(また……。懲りないわね)
いい加減辞めてほしいと思いながらも、相手が自分より高位の公爵であるために大きく出られない彼女は辟易としていた。ここが社交場であるならば«社交界の花»としての権力をフル活用してあしらうことができるのだが、フラウデン伯爵として出てきているためにそれはかなわない。面倒だと内心大きくため息をつき、精霊とも呼ばれるビスクドールのような顔に上品な笑みをたたえてセレスティナは公爵を見返した。
「フラウデン家からは既に出しておりますの。公爵様のご心配には及びませんわ」
言い聞かせるように語調を遅めて語ると、皇帝が静かに目を閉じた。
(やめろ。お願いだからアクリュスのことは口に出すなよ)
ルグドラシュはどう考えても届かぬ願いをしていた。セレスティナへの公爵からの言及が続けばいずれアクリュスの名は出てくるに決まっている。これまでルグドラシュがひた隠しにしてきたことが全て水の泡になるのだ。ルグドラシュはフラウデン家とアクリュスが関係していることさえも表に出していなかったのだが、先日復讐を終えたアクリュスが自分がセレスティナであることを公表するのもいいかもしれないと溢していた。全てをひた隠しにしてきたルグドラシュにとって、彼女がこのことをこの場で話してしまうのが一番最悪なパターンだ。お願いだからそれだけはやめてほしいと祈り続けるルグドラシュは閉じた目を開こうとしない。
皇帝が目を閉じて何も言わないのを、自分に都合の良いように解釈した公爵は、セレスティナへ再び尋ねかけた。
「どなたを出すおつもりで? «社交界の花»であるあなた自身が出るわけでもないでしょうに」
あからさまに馬鹿にした言い方に、ところどころで小さく失笑が聞こえた。あくまでも令嬢であるセレスティナが戦場に出るわけにはいかない。かといって嫡男であるジェラルドを出すこともできない。彼女たちの両親が存命であれば、帝国一の魔法師であった元伯爵が参戦していただろうが、父亡き今、それは不可能であった。よって親族から出さなければならなくなるのだが、それを不誠実だと公爵はなじりたいのだろう。
両親がいないことを馬鹿にしてくるような頭の弱い発言にセレスティナは怒りを覚えたが、それを胸の奥に圧し殺し、冷静なオッドアイで皇帝を盗み見た。ただ目を閉じているだけのルグドラシュは、セレスティナの視線に気付いたらのか、薄くヴァイオレットサファイアの瞳を覗かせて頷いた。届かぬ願いを諦めた皇帝は好きにしろ、と言っている。
「«仮面の死神»を」
しんと静まりかえった会場に鈴の音のようなセレスティナの声が響く。今まで謎のベールに包まれていたアクリュスの大きな情報が今この場で、しかもフラウデン伯爵の口から公開されたことに会場は騒然とした。ざわつきが波紋のように広がる中、公爵はなじるつもりが、武力面で国に最も貢献していると言える第十三番隊隊員の名がが出てきたことに呆然としていた。しかし、腐っても公爵である。すぐに気を持ち直すと、あることを指摘した。
「«仮面の死神»アクリュス殿は魔法師ではないではありませんか。かの方は多大な魔力を扱えず大鎌を振るって戦うお人。魔法師の名門と呼ばれるフラウデン伯爵家の代表として役不足ではなのですかね?」
してやったり、と顔を歪める公爵。苦し紛れながらも言葉にしたその内容に、セレスティナと皇帝の纏う雰囲気がガラリと変わった。急に二人の圧が強まり、辺りの温度が下がったように感じられる。二人の近くにいる人は、恐怖と寒さに二の腕をさすった。
皇帝が口を開く前にセレスティナが冷え冷えとした声を出す。
「魔力の少ないアクリュスはフラウデン家に相応しくないとおっしゃるの? では同じく魔力の少ないわたくしも相応しくないと申しますのね。そんなわたくしを伯爵に任命なさったのは皇帝陛下ですわ。その陛下の決定は間違っていると。……皇帝陛下のご意向に異を唱えるだなんて、反逆でも考えていらっしゃるのかしら?」
張り付けたような笑みを浮かべるセレスティナは、そっと頬に手を添えて首をかしげる。彼女から放たれる圧は並大抵のものではない。彼女が何年も努力して社交界で培ってきた賜物である。しどろもどろになる公爵は、彼女の圧倒的な圧と凍りつくような視線を受けて縮こまる。そこに、皇帝からの追撃が入った。
「どうやら公爵は議会となると少々気が動転してしまうようだ。領地に戻って安静にしているといい」
皇帝に事実上の議会からの追放を告げられた公爵は、青ざめた顔ですごすごと会場から退出した。
「第十三番隊のアクリュスはフラウデン伯爵家の代表である。他に異論のある者は?」
皇帝の問いかけに名乗り出る者は一人もいなかった。フラウデン伯爵及び皇帝の覇気に気圧された人々は、誰も名乗り出る勇気など持ち合わせていない。先程失笑を洩らした者たちは、公爵のように青ざめている。
「では、今回の議会はこれにて終了だ。各自己の使命を履き違えることのないよう厳重注意するように」
皇帝のだめ押しにセレスティナは溜飲を下げた。
「約二ヶ月後、戦場での指揮はルグランジュ皇弟殿下が執られます。これは決定事項であるため、異論は受け付けません。これにて帝国議会を終了とします。各自解散を」
最後の最後で重要事項を告げた宰相により解散が命ぜられる。参加者たちは居心地の悪い会場から我先にと退出していった。
「ただいまより帝国議会を始めます」
セレスティナたちがイノデス伯爵邸を訪れてから四日後。宰相の言葉により始まった議会の議題は、属国である西国の反乱抑止について。ルグランジュが第十三番隊に入隊した際、タナトスの口から話された内容である。当時、アクリュスは経済制裁によって鎮圧されると予想していたが、ルグドラシュの治世になって二度目の反乱であるため、物理的制圧に乗り出すことが準会で決定された。さしあたって、今回の帝国議会ではどの家から誰が制圧軍に参戦するか、物資提供をどこの組織が行うかを決めなければならない。
イギリスの貴族院のような議会室には皇帝ルグドラシュを中心に数百もの権力者が集まっており、それぞれが己の利を考えて発言をする。もちろん、ここにいる全ての人間がそうとは限らない。あくまでも皇帝に忠実な人間も複数在席しており、セレスティナもその一人であった。
文官の輩出が多い家や教会、商会、ギルド、学院が物資提供に回るのはいつものことであるため、ルグドラシュによってすぐに可決された。
セレスティナは滅多なことがなければ会議に口を出さない。ただでさえ成人にも満たない娘が発言しようものなら、皇帝は別として、一定数の者たちに一蹴されるだけである。また、彼女が«社交界の花»であることも関係していた。社交界のトップに立つ彼女が政界でも発言力をつけるなど、他の貴族にとってはたまったものではない。面倒なやっかみを避けるためにセレスティナは粛々と進む会議を静観していた。
物資提供者が決まると、続いて制圧軍への参戦者の選出が始まった。先程までは何の問題もなく続いていた会議が、一瞬にして腹の探り合いに変わる。物資提供は懐が痛むものの、下手な手を打たなければ己の命に関わりはない。しかし、軍への参戦となると話は違ってくる。命のやり取りをする戦場へと駆り出されるからだ。どんな人間でも(狂っていたり他人に忠実すぎたりしなければ)、己の命は惜しいし、家族の命も大切である。それをむざむざ危険に晒すような人はいない。いるのであればスリルを楽しみとする者か、とんだ変人である。
表面上は会議が行われているものの、水面下では参戦権の押し付け合いが繰り広げられていた。いつまでたってもくだらない押し問答が続く。一見論理的に見えて論理的ではないやり取りに、学院生の方がまだ有意義な話し合いができるのではないかと、セレスティナは議会にいる利己的な権力者たちを憐れんだ。
幼稚なやり取りを高みの見物していると、とある公爵がフラウデン伯爵家は出さないのか、とわざと大きな声を上げた。公爵は娘をルグドラシュに嫁がせようとしているのだが、ルグドラシュが頑なに拒否しているのを彼がセレスティナに執着しているせいだと思い、ことあるごとに彼女を目の敵にしている。実際は公爵の娘の知性が足りないために皇帝は拒んでいるのだが、それに公爵は気付いていない。
(また……。懲りないわね)
いい加減辞めてほしいと思いながらも、相手が自分より高位の公爵であるために大きく出られない彼女は辟易としていた。ここが社交場であるならば«社交界の花»としての権力をフル活用してあしらうことができるのだが、フラウデン伯爵として出てきているためにそれはかなわない。面倒だと内心大きくため息をつき、精霊とも呼ばれるビスクドールのような顔に上品な笑みをたたえてセレスティナは公爵を見返した。
「フラウデン家からは既に出しておりますの。公爵様のご心配には及びませんわ」
言い聞かせるように語調を遅めて語ると、皇帝が静かに目を閉じた。
(やめろ。お願いだからアクリュスのことは口に出すなよ)
ルグドラシュはどう考えても届かぬ願いをしていた。セレスティナへの公爵からの言及が続けばいずれアクリュスの名は出てくるに決まっている。これまでルグドラシュがひた隠しにしてきたことが全て水の泡になるのだ。ルグドラシュはフラウデン家とアクリュスが関係していることさえも表に出していなかったのだが、先日復讐を終えたアクリュスが自分がセレスティナであることを公表するのもいいかもしれないと溢していた。全てをひた隠しにしてきたルグドラシュにとって、彼女がこのことをこの場で話してしまうのが一番最悪なパターンだ。お願いだからそれだけはやめてほしいと祈り続けるルグドラシュは閉じた目を開こうとしない。
皇帝が目を閉じて何も言わないのを、自分に都合の良いように解釈した公爵は、セレスティナへ再び尋ねかけた。
「どなたを出すおつもりで? «社交界の花»であるあなた自身が出るわけでもないでしょうに」
あからさまに馬鹿にした言い方に、ところどころで小さく失笑が聞こえた。あくまでも令嬢であるセレスティナが戦場に出るわけにはいかない。かといって嫡男であるジェラルドを出すこともできない。彼女たちの両親が存命であれば、帝国一の魔法師であった元伯爵が参戦していただろうが、父亡き今、それは不可能であった。よって親族から出さなければならなくなるのだが、それを不誠実だと公爵はなじりたいのだろう。
両親がいないことを馬鹿にしてくるような頭の弱い発言にセレスティナは怒りを覚えたが、それを胸の奥に圧し殺し、冷静なオッドアイで皇帝を盗み見た。ただ目を閉じているだけのルグドラシュは、セレスティナの視線に気付いたらのか、薄くヴァイオレットサファイアの瞳を覗かせて頷いた。届かぬ願いを諦めた皇帝は好きにしろ、と言っている。
「«仮面の死神»を」
しんと静まりかえった会場に鈴の音のようなセレスティナの声が響く。今まで謎のベールに包まれていたアクリュスの大きな情報が今この場で、しかもフラウデン伯爵の口から公開されたことに会場は騒然とした。ざわつきが波紋のように広がる中、公爵はなじるつもりが、武力面で国に最も貢献していると言える第十三番隊隊員の名がが出てきたことに呆然としていた。しかし、腐っても公爵である。すぐに気を持ち直すと、あることを指摘した。
「«仮面の死神»アクリュス殿は魔法師ではないではありませんか。かの方は多大な魔力を扱えず大鎌を振るって戦うお人。魔法師の名門と呼ばれるフラウデン伯爵家の代表として役不足ではなのですかね?」
してやったり、と顔を歪める公爵。苦し紛れながらも言葉にしたその内容に、セレスティナと皇帝の纏う雰囲気がガラリと変わった。急に二人の圧が強まり、辺りの温度が下がったように感じられる。二人の近くにいる人は、恐怖と寒さに二の腕をさすった。
皇帝が口を開く前にセレスティナが冷え冷えとした声を出す。
「魔力の少ないアクリュスはフラウデン家に相応しくないとおっしゃるの? では同じく魔力の少ないわたくしも相応しくないと申しますのね。そんなわたくしを伯爵に任命なさったのは皇帝陛下ですわ。その陛下の決定は間違っていると。……皇帝陛下のご意向に異を唱えるだなんて、反逆でも考えていらっしゃるのかしら?」
張り付けたような笑みを浮かべるセレスティナは、そっと頬に手を添えて首をかしげる。彼女から放たれる圧は並大抵のものではない。彼女が何年も努力して社交界で培ってきた賜物である。しどろもどろになる公爵は、彼女の圧倒的な圧と凍りつくような視線を受けて縮こまる。そこに、皇帝からの追撃が入った。
「どうやら公爵は議会となると少々気が動転してしまうようだ。領地に戻って安静にしているといい」
皇帝に事実上の議会からの追放を告げられた公爵は、青ざめた顔ですごすごと会場から退出した。
「第十三番隊のアクリュスはフラウデン伯爵家の代表である。他に異論のある者は?」
皇帝の問いかけに名乗り出る者は一人もいなかった。フラウデン伯爵及び皇帝の覇気に気圧された人々は、誰も名乗り出る勇気など持ち合わせていない。先程失笑を洩らした者たちは、公爵のように青ざめている。
「では、今回の議会はこれにて終了だ。各自己の使命を履き違えることのないよう厳重注意するように」
皇帝のだめ押しにセレスティナは溜飲を下げた。
「約二ヶ月後、戦場での指揮はルグランジュ皇弟殿下が執られます。これは決定事項であるため、異論は受け付けません。これにて帝国議会を終了とします。各自解散を」
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