悪役令嬢に転生してしまったが、魔法チートで冒険者目指します。

Haruru

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2章 魔法と剣術

16.麗しの王妃様 Part3

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今日はついに勝負の王妃様のサロン。張り切って行くわよ!

「お嬢様、お似合いです!」
「ありがとう。」

今日のドレスはラベンダー色だ。レースは白色でとても可愛らしい仕上がりだ。髪も緩く巻いていて、今日は後ろの髪を下ろしている。さすが私。悪役令嬢な訳もあってとてもかわいい。

「さあ、ロゼリアちゃん。今日は頑張りましょうね~。」

相変わらずどこかゆるーいお母様。さあ、頑張らないとね。



会場である王妃様専用の庭園に着いた私たちは、王妃様がやってくるのを心待ちにしていた。

「おーい、ロゼリア。」
「声大きいよ。」
「ロルフ、ノア。」

早速ロルフとノアに遭遇した。今日は二人ともしっかり正装している。

「二人ともとっても似合っていてかっこいいわ!」
「まあな~。ロゼリアも似合ってるよ。」
「似合う。」
「ありがとう。」

二人と談笑していると、突然歓声が上がった。

「王妃様が来たみたいだぜ。」
「ちょっとロルフ、ちゃんとしててよ。」
「ロゼリアちゃん、挨拶に行くわよ。」
「ええ?は、はい…。」

ええ、私たち2番目なの??聞いてないんだけど。そういうことは早く言っておいてよお母様!お母様の方を恨めしく見ながら王妃様の前に立った。なんと、隣にレオン王子が!だから女子の歓声が大きかったのか!ちょっと心の準備が……。

「ご機嫌よう、ジャスミン様、レオン殿下。ロッテンシュタイン侯爵家が夫人、ソフィアででございます。」
「お久しぶりです、王妃様、レオン殿下。ロッテンシュタイン侯爵家が長女ロゼリアでございます。」
「顔を上げよ。」

王妃様のお言葉で私たちは顔を上げた。

「お久しぶりね、ソフィア。それにロゼリア嬢も。ほら、レオンも挨拶なさい。」
「お久しぶりですね。ロッテンシュタイン公爵夫人にロゼリア嬢。」

相変わらずものすごく美形な王子様ね……。思わず見とれてしまうわ。

「今日は楽しんでいってね。」
「ロゼリア嬢、また後でお話しましょう。」
「は、はい…。よろしくお願いいたします。」

また後でとはいつ?私のHPはもう0ですわ……。
あああ、緊張したあああ。すぐに引き下がり、ロルフとノアが挨拶から戻ってくるまで待っていた。

「やっと挨拶終わったぜ…。」
「疲れた。僕お菓子食べたい。」
「私も……。」

3人でお菓子の所まで行こうとしたのだけど、その瞬間、私に何かがぶつかった。

「きゃあ!」
「「ロゼリア!?」」

見上げるとそこには金髪に水色の目をした男の子を中心に数人の男の子達が立っていた。

「お前、邪魔だぞ!」
「そうだ!このお方をご存じないのか!これだから爵位の低い者は……。」
「ぶつかってきたのはお前らだろう。令嬢にぶつかっておいて何か言うことはないのか?」
「はっ!そっちが前を見てなかったんだろう?」
「何を……。」
「黙って、ロルフ。」
「ノア…!」
「めんどう事になりそうだ、一旦ここは引こう。ロゼリア、ケガはしてないよね?ちょっと走るよ。」

ロルフは納得いかなさそうな顔をしていたが、ノアの言葉に渋々頷き、3人で全力で走って逃げた。

「あっ、待て!」
「ふん、追いつけるわけないだろ。」

すぐに人混みに紛れて私たちは空いている椅子に座った。

「で、ノアは何で止めたわけ?」
「中心に立っていた少年がいたでしょ?あの子オルティス公爵家の後継ぎだよ。」
「なっ…!だから何でめんどうなんだよ。ロゼリアは侯爵令嬢だぞ。」
「それが僕もつい昨日知ったんだけどさ、あの子分家から引き取られたって言ってるけど、実は公爵の隠し子なんだ。」
「えっ?嘘でしょう?」
「それが本当なんだ。昨日父上と友人のベリアム侯爵が言ってたんだ。」
「ベリアム侯爵って、とても情報通で有名な!?」
「そうだよ。あのまま巻き込まれてたら少々めんどくさいことになってたかもね。」

そんな設定乙女ゲームには無かった……。やっぱり、この世界は乙女ゲームの世界に似ているけど違う世界なんだ…。

「あっ、いたぞ!」
「!見つかったわ。」
「さっきはよくも逃げてくれたな!」
「レイモンド様にぶつかったくせに生意気な!レイモンド様もそう思いますよね?」
「ふん、公爵家の後継ぎである俺にぶつかるだなんて、根性だけは認めてやるが、許されると思うなよ…?」
「そうだそうだ!」

えええ、ゲームのときとキャラまで違う!

「うるさいな。お前らこそぶつかったのはロッテンシュタイン侯爵の娘であるロゼリア嬢なんだぜ?知ってたか?」
「なっ…!ロッテンシュタイン侯爵家!?」
「それにオルティス公爵家の後継ぎであるお方が令嬢に謝りもしないなんて世も末だな。」
「何だと……?ふん、お前らごときなど俺の魔法で吹き飛ばしてやる。」

すると、レイモンドは手に魔力を込めはじめた。

「!?やめて!そんなことしたらサロンがめちゃくちゃになってしまうわ!」
「うるさい。俺に指図するな!」

もうダメだ、と目を閉じたその時━━━

「何をしている。」

美しいボーイソプラノが聞こえた。

「こ、これはレオン殿下!」
「何をしているんだと聞いたんだが?」

レオン殿下は私たち全員をゆっくりと見回した。私を視界に入れた瞬間、とても驚いたような顔をしていた。 

「…どうやら原因はレイモンド・オルティスのようだな。お前の親には後でしっかりと伝えておく。もちろん母上にも。」
「し、しかしこいつらが…。」
「第一王子であるこの僕に何か不満でも?」
「っ…!」
「わかったならさっさとここから立ち去れ。」
「…失礼いたします。」

少年たちはすごすごと立ち去った。

「俺たちをお助けいただきありがとうございました、レオン殿下。」
「ありがとうございました。」
「あっ、ありがとうございました…。」
「別にいいよ。それよりロゼリア嬢、ケガはないですか?」
「は、はい…。本当にありがとうございました!」
「ふふふ、きっとお菓子を食べに行く途中だったのでしょう?僕も一緒にいいかな?」
「!はい。」

うわあああ、どっと疲れた……。まさかレイモンドがあんな感じだなんて。すごく恐かった。レオン殿下が止めてくれたからよかったものの……。

って、こんなこと考えている場合じゃない。レイモンドのことは後で。できるだけレオン殿下と仲良くならないと。本番はこれからよ。






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感想 5

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みんなの感想(5件)

リリスモン
2022.03.24 リリスモン

私ならお茶会に参加するけど冒険者ギルドにも行かせてくれるならって条件つけるかな。
 みんな領地でなく王都に住んでいる設定なのかな。

解除
Kyon
2019.11.26 Kyon

ヤンデレフラグか!?
魔法チート楽しみ〜〜

解除
marcia
2019.11.23 marcia

レオン様はロゼリアちゃんに興味がありそうですね。ニヤニヤ・・・続きがきになりますね! 
楽しみにしてます!!

解除

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