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最高の夜食
アジノ乇卜
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すでに月明かりの照らす森の開けた場所で、僕の足元にはたくさんの料理が並べられている。
赤いゲル状のスライムが解けたりまとまったりを繰り返しながら体をゆすり、いまかいまかとワクワクしている。
悠然と戻ってくるロードウルフが、しかしどこか媚びるような所作で言った。
「そろそろ、食べていいか?」
「あ、ああ。どうぞ」
するとダンジョンのボスはダンジョンの実にかぶりつき、「うめぇええ!!」と唸った。それに呼応するかのようにスライムたちも食事を溶かすように吸収し、目をとろんとさせながらコロコロ転がっていた。
「シシ、シロさ————————————————————————ん!!!!!」
その鈴のような美しい声とともに少女は乗っかってきて、僕に強く抱きついた。
「良かったぁ! 生きた! 生きてたんですね! うわぁぁああ」
少女は僕の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
「ぼ、僕はぜんぜん大丈夫だよ。それよりサラサは?」
「まったく問題ありません!」
「え、でも、傷は?」
「それは、スライムちゃんたちが埋めてくれているので」
よく見ると傷口に赤いゲル状の幕が張っている。
僕たちの手柄だよというみたいに、近くではスライムが飛び跳ねていた。
「みんな、私を一生懸命守ってくれたんです。これもシロさんのおかげです」
決してそんなことはない。
僕は何もしていない。
ただ目の前にある食材に、今できる限りの調理を加えただけだ。でも、もしその結果がいまだとしたら。
ロードウルフもスライムたちも、僕の作った料理に楽しそうにむしゃぶりついている。
それがこの、指先からアジノ乇卜を召喚するスキルのおかげだとしたら。
「もしかすると、あたりスキルだったのかもしれないな」
指先からハラハラと溢れるそれをペロリと舐める。
旨味が口いっぱいに広がり、これほど手軽に、これほど素晴らしい味を生み出すこの調味料に僕は今更ながら感動を覚えた。
凄い。
このスノーホワイトの一粒一粒が、人々を、あるいは魔物さえも幸せにするのだ。
「……あ、あの……どうして私を助けに戻ってきてくれたんですか?」
それに関しては、道に迷ってあたりをウロウロした結果見つけられただけなのだが、僕はなんとなく違うことを言いたくなった。
「あ、あのさ。約束したから」
「約束……?」
「ほら、サラサの家族に、料理を振る舞うって言っただろ? その……」
言った側から僕は、サラサがさっきまで家族の差金でピンチに陥っていたことを思い出す。
迂闊な自分を殴りたくなるが、しかしサラサは僕の手を、その小さな手で包むようにして言った。
「私も、楽しみにしています!」
その意外なほど晴れやかな笑顔が、心の澱を吹き飛ばした。
「家族のみんなのお食事の席に、きっとシロさんの料理を並べてください!」
もし運命があるとすれば、それかもしれないと僕は思った。
僕は異世界で勇者になるような器じゃない。
でも、この少女の問題を少しでも解決する手伝いができるとすれば。それは僕がここにいる意味になるんじゃないか。
そう思ったところで、ぼくの耳に「ぐうぅ」という音が届いた。
サラサと目が合った。
彼女は顔を真っ赤にして言った。
「あ、あの、シロさん」
「な、何かな……?」
「私も食べていいですかね……その……シロさんの夜食……」
何を当たり前のことを、と吹き出しそうになる。
だって僕は、この少女の笑顔が見たくてこの料理を作ったのだ。
「もちろんさ。たーんとお食べ」
赤いゲル状のスライムが解けたりまとまったりを繰り返しながら体をゆすり、いまかいまかとワクワクしている。
悠然と戻ってくるロードウルフが、しかしどこか媚びるような所作で言った。
「そろそろ、食べていいか?」
「あ、ああ。どうぞ」
するとダンジョンのボスはダンジョンの実にかぶりつき、「うめぇええ!!」と唸った。それに呼応するかのようにスライムたちも食事を溶かすように吸収し、目をとろんとさせながらコロコロ転がっていた。
「シシ、シロさ————————————————————————ん!!!!!」
その鈴のような美しい声とともに少女は乗っかってきて、僕に強く抱きついた。
「良かったぁ! 生きた! 生きてたんですね! うわぁぁああ」
少女は僕の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
「ぼ、僕はぜんぜん大丈夫だよ。それよりサラサは?」
「まったく問題ありません!」
「え、でも、傷は?」
「それは、スライムちゃんたちが埋めてくれているので」
よく見ると傷口に赤いゲル状の幕が張っている。
僕たちの手柄だよというみたいに、近くではスライムが飛び跳ねていた。
「みんな、私を一生懸命守ってくれたんです。これもシロさんのおかげです」
決してそんなことはない。
僕は何もしていない。
ただ目の前にある食材に、今できる限りの調理を加えただけだ。でも、もしその結果がいまだとしたら。
ロードウルフもスライムたちも、僕の作った料理に楽しそうにむしゃぶりついている。
それがこの、指先からアジノ乇卜を召喚するスキルのおかげだとしたら。
「もしかすると、あたりスキルだったのかもしれないな」
指先からハラハラと溢れるそれをペロリと舐める。
旨味が口いっぱいに広がり、これほど手軽に、これほど素晴らしい味を生み出すこの調味料に僕は今更ながら感動を覚えた。
凄い。
このスノーホワイトの一粒一粒が、人々を、あるいは魔物さえも幸せにするのだ。
「……あ、あの……どうして私を助けに戻ってきてくれたんですか?」
それに関しては、道に迷ってあたりをウロウロした結果見つけられただけなのだが、僕はなんとなく違うことを言いたくなった。
「あ、あのさ。約束したから」
「約束……?」
「ほら、サラサの家族に、料理を振る舞うって言っただろ? その……」
言った側から僕は、サラサがさっきまで家族の差金でピンチに陥っていたことを思い出す。
迂闊な自分を殴りたくなるが、しかしサラサは僕の手を、その小さな手で包むようにして言った。
「私も、楽しみにしています!」
その意外なほど晴れやかな笑顔が、心の澱を吹き飛ばした。
「家族のみんなのお食事の席に、きっとシロさんの料理を並べてください!」
もし運命があるとすれば、それかもしれないと僕は思った。
僕は異世界で勇者になるような器じゃない。
でも、この少女の問題を少しでも解決する手伝いができるとすれば。それは僕がここにいる意味になるんじゃないか。
そう思ったところで、ぼくの耳に「ぐうぅ」という音が届いた。
サラサと目が合った。
彼女は顔を真っ赤にして言った。
「あ、あの、シロさん」
「な、何かな……?」
「私も食べていいですかね……その……シロさんの夜食……」
何を当たり前のことを、と吹き出しそうになる。
だって僕は、この少女の笑顔が見たくてこの料理を作ったのだ。
「もちろんさ。たーんとお食べ」
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