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君のための新食感
誓約の子犬
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僕とサラサと魔物たち。
夜闇と魔力の陽の中で食事を囲み、騒ぎに騒いだ。
僕たちは仲間に裏切られたばかり。
これからのことに不安がないといえば嘘だったが、しかし大声を出している間は忘れられた。
騒げば忘れられる、なんて知らなかった。
だって僕は、ずっと自分のために料理を作っていただけだから。
僕の目の前には、僕の作った料理で笑ってくれる人がいる。それがこれほど幸福なことだったなんて。
指先から出る白い粉——アジノ乇卜。
このスノーホワイトの長細い粒子は、人と人を、あるいは魔物でさえもいっときの仲間にする力があるみたいで。
巨大な犬の魔物——ロードウルフは旨塩ダンジョンの実に貪りついてガハハと笑う。
その周りではスライムたちが丸まって飛び跳ねながら浅漬けヨモギを吸収している。
「しかし旨い。小僧よ、おまえはこの山で暮らせば良い。その限りにおいて、我がおまえを守ってやろう」
そもそも僕はこの世界にツテがない。
人間社会で暮らせる保証もないし、もしかしたらそれも悪くないかもしれないな、なんて思った。
しかし、それに反対したのはサラサだった。
「だ、ダメですよ! シロさんは、私と一緒に行くんですから!」
「なるほど、おまえたちは番だったのか。それであれば仕方あるまい」
「——つ、番!」
急にサラサが真っ赤になる。
「そそ、そういうわけじゃ…………ないですけど」
「そうだよ、サラサは貴族で僕は……平民なのかな? もしかしたらもっと下かも」
召喚戦士のこの世界での地位はどんなものなのだろう。
「釣り合わないし、失礼だよ」
「そんな! そういう話じゃないです!」
サラサは顔を真っ赤にして両手をぶんぶん振るが、その反応の意味が僕にはよくわからない。
「とと、とにかく! いまは番じゃないですけど、一緒に行くことは決まってるんですから!」
「そ、そうなの?」
「そうなんです!」
「それは残念だな、はっはっは!」
なんにせよ、サラサが一緒にいてくれるのであれば心強い。
「ならば小僧。いずれここに戻ってきて再び料理を作れ」
「もちろん。もっといい料理を作れるように頑張るよ」
「しかと聞き届けたぞ。なればそれを誓約としよう。小僧に使い魔をつける」
ロードウルフの体の一部からまるでシャボンが出るように毛玉が浮出て、それはコロコロ転がって僕の元へとやってきた。
毛玉はパッと四肢と首を突き出し、一瞬で小さな犬の姿となった。
ロードウルフに似ているが、可愛らしい子犬だ。
「それはおまえが誓約を守る助けとなるだろう。あるいはおまえが約束を違えるのであれば、おまえを殺しもするだろう」
愛玩犬にしか見えなかったとしても、ロードウルフの言葉は重い。
僕は息を飲んだ。
「しかし小僧の使い魔だ。名前をつけてやるが良い」
「名前……か。どうしよう……」
舌を出した子犬がハァハァしながら物欲しそうに僕を見ている。
僕は指先から味の素を出すと、子犬はそれをペロリと舐めて嬉しそうにワンと吠えた。
アジノ乇卜のグルタミン酸はタンパク質の構成成分、アミノ酸の一種。
とうぜん、子犬も大好きだ。
「アミノ……」
ふと僕は、なんの気になしにそう呟いた。
瞬間、ヒュン、と光が走り子犬に吸収された。
「なるほどアミノか。良い名前だ」
ロードウルフが納得したように頷いた。
「とっても可愛いです!」
サラサも嬉しそうに笑った。
「ワン!」
子犬が誇らしげに吠えた。
だからきっと、それはいい名前なのだ。
僕は子犬に手を出した。
「よろしくな、アミノ!」
夜闇と魔力の陽の中で食事を囲み、騒ぎに騒いだ。
僕たちは仲間に裏切られたばかり。
これからのことに不安がないといえば嘘だったが、しかし大声を出している間は忘れられた。
騒げば忘れられる、なんて知らなかった。
だって僕は、ずっと自分のために料理を作っていただけだから。
僕の目の前には、僕の作った料理で笑ってくれる人がいる。それがこれほど幸福なことだったなんて。
指先から出る白い粉——アジノ乇卜。
このスノーホワイトの長細い粒子は、人と人を、あるいは魔物でさえもいっときの仲間にする力があるみたいで。
巨大な犬の魔物——ロードウルフは旨塩ダンジョンの実に貪りついてガハハと笑う。
その周りではスライムたちが丸まって飛び跳ねながら浅漬けヨモギを吸収している。
「しかし旨い。小僧よ、おまえはこの山で暮らせば良い。その限りにおいて、我がおまえを守ってやろう」
そもそも僕はこの世界にツテがない。
人間社会で暮らせる保証もないし、もしかしたらそれも悪くないかもしれないな、なんて思った。
しかし、それに反対したのはサラサだった。
「だ、ダメですよ! シロさんは、私と一緒に行くんですから!」
「なるほど、おまえたちは番だったのか。それであれば仕方あるまい」
「——つ、番!」
急にサラサが真っ赤になる。
「そそ、そういうわけじゃ…………ないですけど」
「そうだよ、サラサは貴族で僕は……平民なのかな? もしかしたらもっと下かも」
召喚戦士のこの世界での地位はどんなものなのだろう。
「釣り合わないし、失礼だよ」
「そんな! そういう話じゃないです!」
サラサは顔を真っ赤にして両手をぶんぶん振るが、その反応の意味が僕にはよくわからない。
「とと、とにかく! いまは番じゃないですけど、一緒に行くことは決まってるんですから!」
「そ、そうなの?」
「そうなんです!」
「それは残念だな、はっはっは!」
なんにせよ、サラサが一緒にいてくれるのであれば心強い。
「ならば小僧。いずれここに戻ってきて再び料理を作れ」
「もちろん。もっといい料理を作れるように頑張るよ」
「しかと聞き届けたぞ。なればそれを誓約としよう。小僧に使い魔をつける」
ロードウルフの体の一部からまるでシャボンが出るように毛玉が浮出て、それはコロコロ転がって僕の元へとやってきた。
毛玉はパッと四肢と首を突き出し、一瞬で小さな犬の姿となった。
ロードウルフに似ているが、可愛らしい子犬だ。
「それはおまえが誓約を守る助けとなるだろう。あるいはおまえが約束を違えるのであれば、おまえを殺しもするだろう」
愛玩犬にしか見えなかったとしても、ロードウルフの言葉は重い。
僕は息を飲んだ。
「しかし小僧の使い魔だ。名前をつけてやるが良い」
「名前……か。どうしよう……」
舌を出した子犬がハァハァしながら物欲しそうに僕を見ている。
僕は指先から味の素を出すと、子犬はそれをペロリと舐めて嬉しそうにワンと吠えた。
アジノ乇卜のグルタミン酸はタンパク質の構成成分、アミノ酸の一種。
とうぜん、子犬も大好きだ。
「アミノ……」
ふと僕は、なんの気になしにそう呟いた。
瞬間、ヒュン、と光が走り子犬に吸収された。
「なるほどアミノか。良い名前だ」
ロードウルフが納得したように頷いた。
「とっても可愛いです!」
サラサも嬉しそうに笑った。
「ワン!」
子犬が誇らしげに吠えた。
だからきっと、それはいい名前なのだ。
僕は子犬に手を出した。
「よろしくな、アミノ!」
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