市民に転生したけど新しい人生なんて歩めるわけが無い─浮気された俺は新たな愛を求める─

すず×あん

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1章

3話(すずひ)

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 「っ、リディ……」

 彼の腕が背にまわり、俺を抱きしめる。
 成す術もなく、彼のキスに身を任せる。

 「ふ、ぁ……」

 久しぶりのこの感覚。
 雅ともご無沙汰だったし、彼とはキスなんてほとんどしなかった。
 行為はしてくれるのに、キスだけは拒まれていたのだ。
 まぁ、今考えると俺は彼にとって性欲処理にしか過ぎなかったのだろうと思う。
 そんなことを考えていると、また涙が溢れてきて……

 「ユミール?泣かせてしまったか?悪かった……」

 彼が俺の涙を拭い、頭を撫でる。
  
 「違っ、違うの……」
 「キスされたのが嫌だったんじゃないのか?」
 「そうじゃなくて……リディとキスしてたら元彼のこと思い出しちゃって……辛くて……」
 「そうか……思い出させてしまって済まない……」 

 彼は申し訳なさそうに、俺を強く抱きしめた。
 その後少し時間を置き、彼はこう口を開いた。

 「こういうとこじつけのように聞こえるかも知れないが……その辛さを俺で埋めさせて貰えないだろうか」 
 「埋める……?」
 「君が嫌なら無理にとは言わない。俺は君が心配なんだ……」

 俺は、嬉しかった。
 そんなに気にかけてくれるなんて思っていなかったから……
 でもこんな初対面の相手に心を開いてしまってもいいのだろうかと不安にもなる。

 「本当にいいんですか……?」
 「あぁ、いいよ。じゃあ、承諾してくれたってことでいいのかな?」
 「は、はい……」

 軽く頷く。
 途端、彼の表情が一気に変化した。
 先程までの優しい表情とは裏腹、彼の目は俺を舐めまわすように蹂躙し光が無くなっていた。
 
 「ひっ……リディ、だよ、ね?」
 「あぁ、リディだよ。ほらここにはもう誰も来やしない。二人で楽しもうじゃないか……」

 彼は俺の身体ををゆっくりとベッドに押し倒した。
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