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1章 アマリリス姫様
23話 MeL-3
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「ところで、ボク忙しいカラそろそろ本題に入っても良いかイ?」
小さく咳払いをした<MeL>がケイジュに向けて言う。
「構わないよ。僕も暇って訳ではないし」
「アマリリスの事についてだったよネ、調べた結果だけド、君の考え通り。そのままでも何も問題なんか無いヨ。……ねえ、やめてくれないかイ?」
ケイジュはアリスのことを抱き上げて言う。そして、そのまま背中を撫でながら<MeL>の話を聞いていたが、それが<MeL>はかなり気になったようで不機嫌そうな顔で言った。
それでもケイジュはやめずにナデナデとしている。話している相手とかを考えなければアリスは可愛いペットらしい。
「あー、まあいいや。で、君の作戦通りボクはスタンバイしてるカラちゃんとやってくれヨ」
「当然。僕を馬鹿にしないでよ、<MeL>」
念押しをするように言う<MeL>ににっと笑ってケイジュは言う。何を企んでいるのか、まあ、殺し屋の友人に頼むことなんてそう多くないとは思うのだが。
「ボクに任せてほしい、問題なく殺してあげるサ」
「本当に頼もしい友人だよ」
芝居臭いハハハという笑いを二人で浮かべ、面白そうにつまらなそうに笑う。笑って笑って笑う。暇ではないと言っておきながら暇だから。暇潰しのために狂おしく笑う。
実際は眠くなど無いケイジュはツユの前では見せたことの無い歪んだ笑みを浮かべて、<MeL>はおててオバケの顔でよくわからないが張り付けた薄っぺらい笑顔で。
「いつまでこうしてるの?」
「君が飽きたと言うまでだヨ」
すん、と無表情を浮かべてケイジュが言う。それと同時に寂しい屋敷に響いていた壊れた人形のような笑い声は途切れ、<MeL>が答える。笑い始めたときにはお互いに楽しかったのだが、すぐに笑っていた理由を忘れたようだ。
「じゃあ飽きた」
「ならやめようカ。ところでサ、ボクは誰にでも友達って言ってる訳じゃないってわかってるよね? 君だけだヨ」
「わかってるよ。世界的に有名な暗殺者にそう友達がたくさんいたら僕もため息しか出ないよ」
声を若干低くして<MeL>はケイジュに言う。調子のいいような声はしているのにケイジュは脅されているような感覚だった。それにほんの少しだけゾッと冷えたが、ケイジュは何もなかったように返す。
クスクスと小さく笑って<MeL>はまた言う。
「ならいいヨ。ケイはボクの大切なお友達だから守ってあげるサ」
「本当に頼もしいな」
「褒めてくれてるノ? ありがとウ」
さっきの声は何だったのかと思うほどテンションを高い<MeL>がケイジュをからかうようにする。ケイジュはアリスから既に手を離しているのでいつでも膝から逃げることが出来るのだが、それをしないのはかなり居心地がいいのだろう。
「で、夜までは時間あるから仕事入れたいんだけド」
「あー、いいよ。僕も準備したいし、色々と」
<MeL>が大きく見上げて上下反対になったケイジュを言う。ジーッとおかしな体勢のアリスを見てそれを了承する。準備したいことがあるのは本当だ。少し、今夜ツユの見ている前でやりたいことがあるのだ。本当に少し、ケイジュにとっても他の誰かにとっても些細なことだが。
命令されたことだから。
小さく咳払いをした<MeL>がケイジュに向けて言う。
「構わないよ。僕も暇って訳ではないし」
「アマリリスの事についてだったよネ、調べた結果だけド、君の考え通り。そのままでも何も問題なんか無いヨ。……ねえ、やめてくれないかイ?」
ケイジュはアリスのことを抱き上げて言う。そして、そのまま背中を撫でながら<MeL>の話を聞いていたが、それが<MeL>はかなり気になったようで不機嫌そうな顔で言った。
それでもケイジュはやめずにナデナデとしている。話している相手とかを考えなければアリスは可愛いペットらしい。
「あー、まあいいや。で、君の作戦通りボクはスタンバイしてるカラちゃんとやってくれヨ」
「当然。僕を馬鹿にしないでよ、<MeL>」
念押しをするように言う<MeL>ににっと笑ってケイジュは言う。何を企んでいるのか、まあ、殺し屋の友人に頼むことなんてそう多くないとは思うのだが。
「ボクに任せてほしい、問題なく殺してあげるサ」
「本当に頼もしい友人だよ」
芝居臭いハハハという笑いを二人で浮かべ、面白そうにつまらなそうに笑う。笑って笑って笑う。暇ではないと言っておきながら暇だから。暇潰しのために狂おしく笑う。
実際は眠くなど無いケイジュはツユの前では見せたことの無い歪んだ笑みを浮かべて、<MeL>はおててオバケの顔でよくわからないが張り付けた薄っぺらい笑顔で。
「いつまでこうしてるの?」
「君が飽きたと言うまでだヨ」
すん、と無表情を浮かべてケイジュが言う。それと同時に寂しい屋敷に響いていた壊れた人形のような笑い声は途切れ、<MeL>が答える。笑い始めたときにはお互いに楽しかったのだが、すぐに笑っていた理由を忘れたようだ。
「じゃあ飽きた」
「ならやめようカ。ところでサ、ボクは誰にでも友達って言ってる訳じゃないってわかってるよね? 君だけだヨ」
「わかってるよ。世界的に有名な暗殺者にそう友達がたくさんいたら僕もため息しか出ないよ」
声を若干低くして<MeL>はケイジュに言う。調子のいいような声はしているのにケイジュは脅されているような感覚だった。それにほんの少しだけゾッと冷えたが、ケイジュは何もなかったように返す。
クスクスと小さく笑って<MeL>はまた言う。
「ならいいヨ。ケイはボクの大切なお友達だから守ってあげるサ」
「本当に頼もしいな」
「褒めてくれてるノ? ありがとウ」
さっきの声は何だったのかと思うほどテンションを高い<MeL>がケイジュをからかうようにする。ケイジュはアリスから既に手を離しているのでいつでも膝から逃げることが出来るのだが、それをしないのはかなり居心地がいいのだろう。
「で、夜までは時間あるから仕事入れたいんだけド」
「あー、いいよ。僕も準備したいし、色々と」
<MeL>が大きく見上げて上下反対になったケイジュを言う。ジーッとおかしな体勢のアリスを見てそれを了承する。準備したいことがあるのは本当だ。少し、今夜ツユの見ている前でやりたいことがあるのだ。本当に少し、ケイジュにとっても他の誰かにとっても些細なことだが。
命令されたことだから。
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