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第9話 僕はオマエの断罪者

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 それから、あっという間に1週間が過ぎ、僕達は夏休みを迎えた。

 結局と言うか……当たり前と言うか……。

 詩乃さんや春音姉さん達の下着は見つかる事は無く、詩乃さんは下着泥棒事件として警察に通報しようとしたが……。


「下着なんか買い足せば良いだろ!恥ずかしい!!」

 近所の体裁を気にする父さんが、それを止めさせた。

「…………」

 大事な下着を、自分や娘達のプライベートの最たる部分を、夫によって体裁よりも蔑ろにされ、詩乃さんは……春音姉さん達のいない所で泣いた。

 下着を返せば、不安も幾分か安らぐだろう。

 しかし、それではケンジを断罪出来ない……。

「詩乃さん……」

 夏休み初日。買い物から戻った僕は、縁側で涙ぐむ詩乃さんを見つけた。

 因みにこの日は、春音姉さんは駅前のドラッグストアでアルバイト、夏樹は冬乃ちゃんを連れ学校のプール、秋保は図書館へ行っていて居ない……。

「舜くん……!」

 詩乃さんは慌てて涙を拭くと、いつもの詩乃さんを繕って微笑んだ。

「おかえりなさい!あらあら汗びっしょり……!シャワーでも浴び……、」
「詩乃さん、大丈夫だから……」
「え……?」

 僕は詩乃さんの手を握る。指が震えて、薬指の指輪がキラリと光った。

「今は……何も答えられないけど……大丈夫。必ず僕が詩乃さん達を守るから……」
「舜くん?……どう……しちゃったの?」

 変な事言っちゃったかな……?詩乃さんの頬が赤くなった様な……。

 僕は背後に隠した紙袋から花束を取り出して、詩乃さんに渡した。

「37歳……お誕生日おめでとう」

 詩乃さんは最初驚いた顔をしていたが……。

「ありがとう……舜くん……」

 顔をくしゃくしゃにして笑って……詩乃さんは花束を受け取ってくれた。

 僕が握った詩乃さんの指が、ゆっくりと僕の指に絡みつく。

「すごく……すごく嬉しいけれど……、舜くん……?」
「はい……?」


 ん?変な空気が流れたーー?


「私の誕生日……再来週よ?」
「…………」

 しまった。しくじった……。

 唖然とする僕を見て、詩乃さんは楽しげに笑った。

「でも……ふふ……!本当に嬉しい……!花束なんて……久しぶり……本当に……!」

 そして、詩乃さんは花束を大事そうに腕に抱えた。

 クソ親父の暴言なんか、忘れてくれると良いんだけど……。


 …………。

 ……。


 そして夕食時……。

 僕の早とちりな誕生日プレゼントは春音姉さん達の……特に夏樹の笑いの種となった……。


「馬鹿ねぇ!アンタはホントに!」
「う、うるさいな……!」
「ま……そこがアンタの可愛い所なんだけど……」
「……可愛い言うなよ……!」



 ****



 僕はまた夢を見た……。


「ウェーーイww詩乃おばさん、44歳ハッピーバースデーwww」
「ああ……ケンジくん……ここじゃ……台所じゃ……」
「バースデープレゼントの俺様チンポwww詩乃おばさんの熟マンコに……挿入ッッwww」

 グチュ……ズプウゥッ

「は……!?あ……あはあぁぁあっ……♡」
「おおーww2ヶ月振りの詩乃おばさんマンコ気持ちイーーッwww春音との離婚手続きで色々面倒だったからなぁwww」

 薄暗い台所で……詩乃さんは中腰の姿勢のまま、ジーンズをケンジに脱がされ、露出させられた安産型の大きな尻を拡げられ、露わになったおマンコに、背後から成年ケンジの太いペニスを挿入させられていた……。

 詩乃さんのおマンコも春音姉さんと同様に毛深い。ただ姉さんと違う所は、詩乃さんの陰毛はキチンと逆三角形に刈り整えられている所だ。

「ん……♡く…ふうぅぅぅ……っ♡」
「おwww詩乃おばさァん相変わらず感度良いねェwww」

 脚をガクガク震わせながら、詩乃さんはペニスの抽送を受け入れていた。

 ケンジの腰がパンパンと詩乃さんの尻に打ち付けられる度、二人の結合部から愛液の滴が垂れ落ち、台所の床に粘ついた水溜りを作っていく。



 知らない……。

 春音姉さんとケンジの時と同様、僕はこの光景を知らない……。

 先程、ケンジは詩乃さんを44歳と言った。

 なら、この頃もう僕は追い出されて……家にはいないのに……。

 僕は何故……この光景を見ているんだろう……?


「それにしても勿体無いスわwww」
「ひんっ♡」

 詩乃さんの尻をピシャリと叩きながら、ケンジは嗤う。

「こんなに具合最高なマンコなのにwwなんでココの親父さんはセックスしないんスかねぇwww危うく詩乃おばさんのマンコに蜘蛛の巣張る所でしたッスよwww」
「し……っ仕方無い……の♡あの人は……仕事だけ……お金稼ぐだけの……人だからあぁ……♡」
「まぁwwwお陰で俺は詩乃おばさん達とのデート代浮いて、絶品マンコも堪能出来るンスけどねーwwwオラッwww」

 ケンジが腰を、詩乃さんの下腹部を捻じる様に突き上げた。

「おおおっ♡お…ひいぃぃんっ♡」
「ヒヒッwwコレ詩乃おばさん好きっスよねwww」
「好き……っ♡好きなのぉ……っ♡ケンジくんとの不倫やめられない程好きなのぉっ♡」

 詩乃さんの顔が蕩けていく……。

 ビチュ…ブチュ…ブチュ…ビチュッ!

 ケンジの捻り込みは詩乃さんの敏感な箇所を正確に捉えているらしく、二人の間に響く粘着音をさらに水っぽくさせていった。

「ひいんっ♡はぉんっ♡おっ……おおおおんっっ♡」
「ヒヒwwwそれにしてもwww親父さん不倫許してくれたッスねwww」
「ひぃんっ♡……わ、私が……言ったの♡『寂しかった私を……時々会って慰めてくれただけ……』って言ったら……すっかり信じて……♡」
「馬鹿だwwwあの人脳味噌入ってるんですかwww」
「仕事に……熱中出来れば……近所に波風立てずに生きていければ……♡ホントに……親子揃って……馬鹿な人達……♡」


 ……詩乃さん……。


「そう言や舜のヤツ何処行ったンです?ww」
「ん……♡んん……っ♡知らない……っ♡あんな下着泥棒のクソガキ……知らなぁい……んひぃ……っ♡」

 詩乃さんが、腰をくねらせ始める。

「あんな……クソガキ生きてようが死んでようがどうでも良い♡ね……?お願い……ケンジくん♡私のご主人様っ……♡射精して……♡おばさんの膣内に射精してぇっ……♡」

 ケンジが腰の動きを早める。

 まるで何かの軟体生物のように、グネグネ、グネグネ……。

 詩乃さんとケンジの躍動が同調していく……。

「そー来なくちゃwwwおおっ!?丁度精子キンタマから昇って来たッwww射精すッスよwwwドバドバ射精すッスよおおおッwww」
「来てええっ♡ご主人様のプレゼント♡私の経産不倫マンコに注入してぇぇぇっ♡ああああっっ♡」

 ビュルッ!ビュルルッ!ビュルルルルルルルルルルルル…………!!

 ………………。

 …………。

 ……。


「はぁ……♡はぁ……♡はぁ……♡」

 尻から大量の精液を垂れ流してへたり込む詩乃さんに、ケンジは下卑た笑みを浮かべて問い掛けた。

「そうだ詩乃おばさんwww」
「は……はひ……ぃ♡」
「明日……久しぶりに俺の○学生の時のダチが2人揃ってこの町帰って来るんスよwwwホラ、舜が下着ドロ発覚した時にいたあの2人www」

 ……ケンジの取り巻き2人の事か……。

「あの2人、ちょい今まで女運悪くてwwまだ童貞なんスわwwwだから……筆下ろしさせてやりてぇから詩乃おばさん手伝ってくださいよォwww」

 手伝う……?

 つまり……詩乃さんの身体で……あの2人の筆下ろしをさせるのか……!

「……良いの?私みたいな……おばさんで……?」
「いーのいーのwwwアイツら○学生の頃から詩乃おばさん犯してぇッて言ってたしwww明日夜に……駅前のラブホで俺も混ざって4Pやりましょうよwww」

 そして……詩乃さんは……。

 ケンジと同じ様な……下品な顔で笑った……。



「分かった……わ♡クソカス亭主には……上手い事言っておくから……♡」




 ****




 そして、翌日。8月3日。


『あの日』当日ーー。


「お邪魔しますっっ!!」
「「お邪魔しまーーす!!」」

 大人を騙す笑顔で、ケンジは取り巻き2人を伴ってやって来た……。

「やぁケンジ……。皆も……」
「はーい!皆よく来たわね!さぁ、上がって上がって!」

 僕と詩乃さんがケンジ達3人を出迎える。

「今日はお邪魔してしまいまして……すみません」

 ケンジが常日頃する筈の無い畏まった照れ顔を詩乃さんに向ける。

 そして、詩乃さんに見えない死角で、ケンジは僕の脇腹に肘鉄を見舞った。


 ……腹ただしい程に役者だな。

 僕の人生を……1度は削り取った程に……。


 僕とケンジ達は、クーラーの効いたリビングでテレビゲームを始めた。

 ケンジ達が来るまでは、春音姉さんが冬乃ちゃんと一緒に、冬乃ちゃんの夏休みの宿題である工作を手伝っていたが、ケンジ達が来ると、邪魔にならないよう2階の春音姉さんの部屋へ入っていった。

 夏樹も、秋保も、今は自室で勉強している……。

 前世の『今日』と、同じ様に……。

「……ククww」
「「ヒヒww」」

 時折、ケンジと取り巻き達は顔を見合わせて笑い合う。

 きっと……自分達の計画が上手く

 ピンポーン♫

 1時間程経過した頃、呼び鈴が鳴った。

 勇希だった。

「はーい!あら……?」

 初対面の詩乃さんに、紙袋を携えた勇希はぺこりと頭を下げた。

「初めまして、舜……じゃなくて舜君のお母さん。自分……小宮 勇希と言います」
「勇希は野球クラブのキャプテンなんだよ……!」

 僕が勇希を紹介すると、詩乃さんはパチリと手を合わせて、

「まあ!じゃあ将来はプロ野球選手かしら……!」

 すっかり照れてしまった勇希は慌てて紙袋を詩乃さんに渡した。

「い……いくらなんでも!あ!コレ母ちゃ……じゃなくて母が持たせてくれました!み、水羊羹です!み、皆さんで召し上がってください」

 勇希は僕の腕をガッチリ掴むと、リビングへ向かう道すがら、顔を赤らめてボソリと呟いた。

「こないだも思ってたけど……。舜の母ちゃん……すっげえ美人だな……」
「ありがとう。僕の自慢だよ」



 ………………。

 …………。

 ……。


「「ア?」」
「よォ……」

 僕が勇希を連れて戻った時、リビングには取り巻き2人しかいなかった。

「ケンジは……?」

 勇希が、若干ドスの効いた声で尋ねると、

「い、今……トイレに……」
「う、うん。トイレ行ったって……」

 あからさまに、取り巻き2人が動揺した。

 流石勇希。流石クラスNo.2(僕は勇希こそがNo.1だと思う)。

 2分がそこら経過して、ケンジはリビングへと戻って来た。

 ケンジは勇希を確認すると、一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに他人を見下す薄笑い顔になった。

「なんだァ小宮……お前も来たのかよwww」
「あぁ……舜と遊びたくてさ……」

 勇希もまた、威圧感を孕んだ薄ら笑いを浮かべる。

「小宮さぁwwお前最近付き合い悪くねwww俺の気に障ったら……お前クラスで孤立しちゃうよwww」
「心配してくれてありがてえんだが……、俺にとってあのクラスが全てじゃねえから。気にしないでくれ」

 勇希の凛とした物言いに、僕は心の内で拍手喝采した。

 ケンジは至極面白くなさげに鼻を鳴らすと、蔑みの眼差しで僕を見た。

「舜、このゲームクソつまんねぇwwwゴミなお前はゴミなゲームしか持ってねえのかよwww」
「お前っ……!」

 勇希がケンジに詰め寄ろうとしたのを僕は全力で抑えて、ケンジに向かって笑った。

「ごめんごめん……、部屋にもっと面白いゲームあるから……持って来て良い?」

 途端、ケンジはサディスティックな笑みを全開にして、

「持って来い!今すぐ持って来い!」

 背後の取り巻き2人も、小さくガッツポーズをしていた。

 そうだろう……。嬉しいだろう……。

 僕が自室へ向かって嬉しいだろう……。

 僕が自室へ向かう、リビングを離れる事実が出来上がって、お前達の下卑た計画が達成されるんだから……。


「舜……俺も一緒に……」

 同行しようとした勇希に「ありがとう」と応えて……僕はリビングに居るように頼んだ。

「…………分かった」

 勇希は渋々、僕に従ってくれた。

 ごめん、勇希……。ここから先は……僕がやらなきゃいけない。

 じゃないと……過去こっちに来た意味が無くなってしまうんだ……。




 ****


 僕が、2階の自室へ向かう途中ーー。


「夏樹?」
「舜……ハァ……」

 僕は部屋から顔を出した夏樹と鉢合わせた。

 何やら、酷く不機嫌そうだ……。

「ねぇ?ケンジ達……いつ帰るのよ?」
「え?」

 僕は夏樹の態度に驚いた……。

 あれ?前世では……この頃夏樹とケンジはそこそこ仲良い感じだったのに……。

「だってケンジのヤツ……、さっき廊下で出くわした時……『今度2人っきりで遊ぼーぜwww』とか『舜なんかじゃなくて俺が家族だったら嬉しいだろ?ww』とか……キモい事聞いて来ンのよ?気持ち悪いから……無視しちゃった」

 と、サイドポニーの黒髪を弄りながら愚痴る夏樹。

 成る程……さっきリビングに戻って来たケンジが妙に攻撃的だったのは……夏樹に無視されて不機嫌だったからか……。

 僕は苦笑した。

「ごめん、もうちょい……。今勇希も来た所だから……」

 すると、夏樹は態とらしい溜め息を吐きながら、部屋から出て来た。

「……今度から家に入れるのは小宮だけにしてよ……。今日のケンジ達なんか……ニヤニヤしててマジ気持ち悪い……」
「夏樹?何処へ?」
「洗面所で顔洗うだけー…」

 階段を降りる夏樹。

 ふと、夏樹は踊り場で立ち止まって僕を見た……。




「……2人っきりで遊ぶなら……アンタが良いわ」



 ****



 僕は部屋からリビングへ戻る……。

 ドクン……ドクン……と、心臓が高鳴る。

 僕がドアを開けると、

「遅かったなwww」

 ケンジと取り巻き2人のにやけ面が僕を迎えた。勇希はソファーに座って、ケンジ達3人を見張る様に睨んでいる。

「遅いぜwww」
「ごめん、探してた」
「本当かよwww他に何かしてたんじゃ、」

 ケンジが笑いながら言い掛けた、その時ーー。


「お母さん!!また下着が!!私のパンツ無くなってる!!」

 脱衣所からの夏樹の叫び声が、リビングにまで響いてきた。

「ヒヒwwww」

 ケンジは一瞬サディスティックな笑顔で僕を見た後……。

「も、もしかして舜……お前……?」

 瞬時に、悲しみに満ちた、思い詰めた表情を作り、何も知らない(と思っている)僕を見つめた。

 やっと来た……この瞬間……!

 手が震える……だけど……!


 でも……!


 今回だけは……僕も……お前みたいに……一芝居打たせて貰ったよ……!






 続く
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