【BL】どっちかなんて言わないで【Dom/sub】

しーやん

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 程よく酔って会話が弾み、お菓子やおつまみが少なくなってきた頃、海斗くんが朔の膝の上で寝落ちした。

「すみません、海斗、朔さんが刑事さんって知ってテンション上がっちゃって……」

 申し訳なさそうに恵介さんが言う。

「いや、何も問題ない」
「すごいですよね、刑事って。ドラマの中でしか見たことないです。海斗もテレビの影響で、朔さんがヒーローだと思ったんだと思います」

 無表情な朔だけど、俺にはちょっと嬉しそうに見えた。

「朔は俺の為に刑事になったんだもんな?俺がほら、なんたらヒーローが好きだったから」
「あの主人公が刑事の特撮の?俺も昔好きだったよ。葉一達のお父さん……俺の義父だけど、ヒーローショーに連れて行ってくれたことがある」

 恵介さんもそういうの好きだったんだ、と意外に思ったけれど、当時保育園とか小学校低学年とかの年齢の俺と恵介さんは、確かに見ていた特撮も同じだろうし同世代と言える。

「別に特撮のヒーローが理由で刑事になったわけじゃないが……」
「でも俺にカッコいいって言って欲しかったんでしょ?朔、カッコいいよ!」
「お前は……まあいい。それより海斗はどうする?うちには空いている部屋はあるが、全員別部屋と言うほど広くはない」

 スー、スー、と寝息を立てる海斗くんの顔を見ながら朔が言う。

「そろそろお暇しますね。真梨も眠そうだし」

 恵介さんが海斗をそっと抱き上げて言った。

 ソファに座る真梨ちゃんも、必死で俺たちの会話に入ろうとしているけれど目がショボショボしている。時刻は午後9時を過ぎている。みんなはしゃいで疲れているのは確かだ。

「じゃあ葉一くん、悪いけど帰りの運転頼むね」

 と、高城さんが言うと、葉一先輩は車のキーを持って立ち上がった。

「すみません、片付けとか色々と……」
「気にしなくていいよ、先輩!うちでは朔が口煩いからさ、任せちゃった方がいいから!」

 俺が答えると朔が睨み付けて来た。でも朔はすでに、汚れた皿を重ねてキッチンへ運ぼうとしている。

「高城さんも、また店に遊びに来てください。もちろん恵介くんも一緒に」

 輝利哉が見送りに立ち上がりながら言い、高城さんは爽やかな笑みを浮かべて頷いた。

 輝利哉と2人で外のガレージまで行って、去って行く車に手を振った。香奈ちゃんと真梨ちゃんが、見えなくなるまで窓から手を振ってくれた。

「楽しかった?」
「うん、賑やかなのっていいな!輝利哉が言ってた通りさ、俺はこういうパーティーとか好きだけど、バカな生き方して来たから友達もいないし……正直、周りの人たちがすごく羨ましかった。俺も普通の家に生まれて、普通に生きていたらこんなのいつも出来たんだろうなってことが多過ぎて」

 でも、と輝利哉を見て続ける。

「俺が普通の人間で、普通に生きていたらさ、輝利哉や朔とこんな暮らしも出来なかっただろうし……そもそも出会ってなかったかもって思うと、複雑だけどこんな風に産まれて良かったって思うよ」
「嬉しいこと言ってくれるね。でも間違ってるよ」
「何が?」

 せっかく良いことを言ってやったと思ったのに、間違ってるとは何事か?

「あのね、オレも朔も、侑李に初めて声をかけた時は、君の家庭環境もなにも知らなかった」
「ん?」
「だからさ、完全に一目惚れだったんだよ。なんて可愛い子なんだろう、ってね。高城さん風に言えば、『公園に小さな天使がいる!オレのモノにしなきゃ!』って感じね」

 絶妙な気持ち悪さを感じた。パーティーの間、時々高城さんから飛び出す変態的な発言は、しばらく忘れられそうにない。

 苦笑いする俺の手を引いて、輝利哉はリビングダイニングへと戻る。

 片付け真っ最中の朔を無視して、輝利哉はソファに座ると、俺を向かい合うように膝に乗せた。

「さて、これからクリスマス本番だけど、侑李は何したい?」
「そういうのは聞かないでよ。空気を読んでね、お兄ちゃん」
「ダメ、ちゃんと言って。侑李はプレイがしたい?それともえっち?」
「両方!」

 間髪入れずに答える。輝利哉はクスクスと笑って、囁くように言った。

「ちゃんと言えて偉いね。じゃあ、kissキスして

 体がCommandを認識した瞬間、腹の中の深い所に熱が溜まり、その感覚が堪らなく気持ち良くて、だから俺はプレイが好きだし楽しいと思う。世間ではそれをドMだとか言って蔑まれるけど、本能なんだから仕方ない。

 輝利哉や朔からの命令は、主従を越えた快楽があって、俺は2人のどんなCommandも逆いたくなくなるのだ。

 輝利哉の唇に自分の唇を押し当てて、その感触を味わって、舌先を隙間に捩じ込みながら深く口付ける。しばらく輝利哉の口腔を舐め、ふと顔を上げるとうっとり愛しげな視線を向けている輝利哉と目が合った。

「お前ら、片付けもせずに始めるな。おれも入れろ」

 と、後ろから朔が俺のズボンと下着を下げながらムスッとした声で言った。触れられると、さっきまで洗い物をしていた朔の手が冷たくて、背筋がゾクゾクとした。

「侑李、 Present晒せ
「ン、ぁ……」

 今度はまた別のゾクゾク感が背筋を走り、熱い吐息を漏らして命令に従う。恥ずかしい場所が朔にちゃんと見えるように尻を上げて、ヒクヒク疼くその場所を晒す。

「good boy。お前は本当に可愛らしいな」

 朔は俺の恥ずかしい所に指を這わせ、俺はその微かな刺激にも興奮して前が固くなっていくのを感じた。もう、ちゃんと触ってよ、と言おうと口を開いた直後。

「ンヒャッ!?さ、朔!そんなとこ、舐めないで!!」

 ヌルッとした弾力のあるものが尻の穴の周りを動き回り、それからなんの躊躇いもなくヒクヒクとしたそこへ侵入してきた。

「ふ、ぁあっ…!んっ、ぅ」

 止めようと動く前に、輝利哉の唇がまた俺の口を塞ぎ、上からも下からも甘い感覚が俺を支配していく。

 もう、なんも考えたくない。

 きっとこれが最後になるだろう。

 けどもうそんなのどうでもいい。俺は諦めるのは得意だから。

 だから最後に沢山甘えて、甘やかして貰って、気持ち良くなって終わればそれでいい。

「ぁ、はぁ……も、いいから、はやくちょうだい?お腹、キュンキュンして死にそう……」
「随分と我儘なSubに育ってしまったな」
「本当に……でも、そこが可愛いんだけどね」

 呆れた笑みで2人が言う。それから、朔は自分の硬い中心を、期待でヒクヒクしている俺のそこにあてがって、グッと侵入をはたした。

「ああっ!は、ぁ、ん……」

 後ろで朔が悩ましい吐息を吐く。正面の輝利哉は、俺の唇を塞ぎながら、片手で硬くなった中心を、もう片方の手で乳首を弄り出した。

「そんなっ、全部されたら出ちゃうよ!」
「いいよ、いっぱい出して。沢山イって気持ちよくなって」
「侑李、Cumイけ

 あっ、と頭で理解する前に、本能が命令に従う。輝利哉の手に白濁を吐き出し、脱力感で膝が崩れそうになるが、朔がしっかり腰を掴んでまるで突き刺すように動く。

「あう、あっ、ヤァ!今ダメ、まって!ぃ、あっ!」

 朔が容赦なく奥を攻め、あっけなく二度目の絶頂を迎える。同時に朔が奥に吐き出したのを感じて、その熱に思わず背筋が震えた。輝利哉が愛おしげに笑って、俺の頭を撫でてくれる。

「可愛いよ、侑李。ちゃんとイけてえらいね」
「はぁ、はぁ……朔、俺の中きもちい?俺、ちゃんとできてる?」

「…?ああ、当然だ。お前は最高だよ」
「よかった……ね、輝利哉も俺で気持ち良くなって」
「どうしたの?いつもそんなこと言わないのに」

 怪訝な顔の輝利哉だ。内心、しまった、と思った。これが最後だと思ったら、つい変なことを言ってしまった。

「クリスマスだからね!俺が2人へのクリスマスプレゼント、なんて……」

 えへへ、と笑って誤魔化した。まあ、誤魔化せたかはわからないが。

「最高のプレゼントだよ。侑李がそばにいてくれるだけで、オレたちは幸せだ」
「輝利哉の言う通りだ。侑李、勝手にどこかへ行ったら許さないからな」

 ギク、としたのは言うまでもない。

「そんなことしないよ。だってこんなヒモみたいな生活、もう手放せないし!そんなことより、次輝利哉が俺を気持ち良くしてくれるんでしょ?待ち遠しいんだけど」

 呆れた、と二人ともクスクス笑う。

 それから体勢を変える。輝利哉が俺の腰を上げて、反対に向けると言った。

「このまま腰下ろして。自分で挿れて見せて?」

 耳元でAttract魅せてと言われ、俺はまた本能のまま輝利哉の硬くなったものに跨って、ゆっくりと腰を下ろした。

「んっ、ぁあ!」

 輝利哉の大きなものが、内側をこじ開けて入ってくる。でも朔の出したものでヌルヌルして、すんなりと奥まで飲み込んだ。

 快感で内腿が震える。輝利哉は後ろからしっかりと俺の体を支えながら、俺の腰を上下に揺する。

 朔はニッと悪い笑みを浮かべたかと思えば、徐に屈んで俺の足の間に陣取った。それで何をするのかを悟った俺は、首を振って朔の頭を押し返そうとしたが、逆に手首を掴まれてしまう。

「朔、ダメ!ひぁっ!!」

 朔が俺のを咥えて下を這わす。後ろも前も、刺激が強すぎて頭がおかしくなりそうだった。

「あれ、気持ち良くて泣いちゃった?」

 そんな、輝利哉の嬉しそうな声が耳元で聞こえる。そのまま舌で俺の耳や首筋を舐める。

 このまま……

 このまま二人に与えられる快楽で、ドロドロに溶けてしまいたい。明日なんかこなければいいのに。

 だけど俺には、幸せなんて訪れない。自分がSubだからじゃない。

 なにより自分自身が、兄と同じ人間だと自覚しているから。

 ごめんなさい。直接言えないから、心の中で謝っておくことにする。それから同じだけありがとうを言いたい。

 輝利哉も朔も俺にはもったいない。きっともっと良い人が現れて、2人とも幸せになれる。その方がいい。

 俺のことなんて忘れて、どうか幸せになって。
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