蒼い海 ~女装男子の冒険~

灰色 猫

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第一章 始まり

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「入って」

「ここ家賃、いくらだよ?」

「知らない、親が払ってるから」

彼女のマンションは、大学から歩いて5分の距離だった。
電車とバスで1時間半かけて通学している俺からしたら、羨まし過ぎる環境だ。
そのうえ1LDKと十分すぎるほどの広さなのに、渋谷まで電車で10分以内とか、俺には月の家賃が想像出来ないほどだった。

「何から始めるの?」
リビングのソファに座って、彼女に問う。

「まず、お風呂に入って全身洗ってきて。
髭も剃って、髪も洗ってきてね」

さっき寄ったコンビニの袋から、シェービングクリームとカミソリを渡された。
バスルームに案内されて、バスタブにお湯を貯めながら服を脱ぐ。
足を延ばして風呂に入るなんて、いつ以来だろう。
体中さっぱりとして風呂から出ると、バスタオルが置いてあった。

「体を拭いたら、そのままこっちに来て」

腰にバスタオルを巻いて出てきた俺を、椅子に座らせる。
首からエプロンみたいなものを被せられた。
鏡に映る自分を、後ろから彼女が頭を動かして角度を見ている。

「今からメイクをするから、動かないでね」

言葉を聞いた時、ああこういう事かと思い当たる。
元カノの亜衣梨も、俺にメイクをしたいって言っていた。
当時は恥ずかしくて断っていたが、今の俺に抵抗する理由は無い。
数時間、彼女のおもちゃになってればいい。
これはアルバイトだ、自分に言い聞かせた。

顔に膜が出来るんじゃないかと思うほど、色々塗られる。
特に目の周りは、どれだけ塗るんだよと思うほどだ。
まつ毛の内側の粘膜にまで塗られるのは、ちょっと怖かった。

「出来たわ」
前に座っていた彼女が立ち上がり、鏡に映った顔を見て驚いた。
自分で想像していたより可愛くなってるのが、逆に気持ち悪い。

「オ〇マみたいだ」

「いや、相当に可愛いと思うよ」
彼女はそう言うと、ドライヤーで髪を乾かし始めた。

「髪はもっと伸ばして欲しいなあ」
話しながら、顎のラインより上までしかない毛髪をブラシで伸ばしていく。
ますます女っぽくなるのが、嫌になってきた。

伊王 蒼海いおう あおいって名前は、女の子でも通用するね」
俺が気にしている事を楽しそうに話しながら、下着を差し出した。

「これを履いてみて」

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