蒼い海 ~女装男子の冒険~

灰色 猫

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第三章 チャンス

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年末の大仕事が、やってきた。

東京アニメバザールは、ゲームやコミック、アニメの祭典だ。
世界中から、マニアが集まってくる。
ここに企業ゲストとして出演する、わざわざ契約書に盛り込まれるほどの大仕事だ。
今日の予定では企業ブースで行われる撮影会と、ゲーム内で俺の声を担当する声優さんとの対談がある。

「弓使いがいたよ」
会場を視察してきた中園氏が言った。
スマホの画像には、弓使いのコスプレをした女性が写っていた。

「俺よりグラマー」

「まあ、鎧で隠せば大丈夫だって」

女弓使いの衣装で、最初のステージに立つ。
ブルーライトカットのカラコンでも、対応出来ないほどのフラッシュの嵐。
一瞬眼が眩んだが、立て直してポーズを取る。

「こっち見て」
あちこちから声がかかるが、全無視した。
全体に行き渡るように角度を変えて、ポージングしていく。
白い大砲の列が鳴らす、シャッター音が心地良い。
弓を構えて、矢をつがえる。
更にシャッター音が鳴ったところで、紙製の矢が弱々しく飛んだ。
司会者から事故防止の為、紙製を使用していると説明があった。
リアルを追うマニアから、不満の声が聞こえてくる。

30分のステージが終了して、一旦下がった。
「ファッションショーより、怖かったよ」

「様になってた」聖苑が褒めてくれる。

午後は、担当する声優との対談だった。
ステージに上がると、高めのスツールが用意されている。
座るとスカートが短すぎて、スコートが露わになりそうだ。
脚を閉じていないといけないのが、苦痛だった。

声優は、若くてアイドルのよう。
人気もあるようで、ファンが詰めかけている。
対談の話題は、PVのビキニ姿だった。
撮影の裏側を話すと、ファンも肯いていた。

「弓は2週間、先生について特訓しました」初めて明かす。

「筋肉痛で肩や腕、腰に湿布薬を貼って、夜は寝てました」
これには会場が沸いた。
最後に私の低い声より、魅力的な声で吹き替えて貰ったことに感謝を伝えて握手をする。
観客の拍手に包まれて、対談は終了した。

「会場を歩いて見たい」

「ダメです、パニックになったらどうする?」
田中氏に止められる。

「コスプレーヤーに会いたいのに」

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