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第四章 炎上

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大学の試験も終わり、春休みに入った。
仕事をえり好みしているので、スケジュールは飛び飛びになってる。
そんな中、モデル仲間の月奈から連絡が入った。

「事務所をクビになりました」

「なんで?」

「私がいた事務所って、キッズモデル事務所なんですよ。
大人の事務所に移籍出来なかったので、契約を切られました」

 「どこにも入れないの?」

「私くらいのモデルは、いっぱいいるんです。
小さいからショーには出られないし、カタログくらいしか仕事が無い。
元々、アパレル自体が不況なんですよね」

事務所に戻って、みんなと話す。

「事務所って、やっぱり赤字?」

「ゲームの仕事が無かったら、大赤字だね」中園氏が言う。

「もっと仕事しなきゃね」

「安売りはしない」聖苑が言い放った。


2月の第2週。fortunaTVで、雑誌のメイキング映像が放送された。
最後の男性誌の撮影シーンが使われて、メンバーが悲鳴を上げた。
TVカメラが俺の後ろからのアングルなんで、ファンには刺激が強すぎた。
案の定、SNSでメチャクチャ叩かれている。

「気にするな、炎上するように仕掛けている。
それを辞めると、ファンが無関心になると思い込んでるんだ」
田中氏が説明してくれる。

「おかげで、シーホークのラジオから出演依頼が来ている。
宣伝にはなるだろう」

「どうせ出るなら、月奈と一緒がいい」

「月奈は、事務所が無いから難しい」

「今回に限り、うちから出てもらおう」聖苑が言った。
春休み限定の短期契約を、月奈とガーデンズオフィスが結んだ。

「真凛ちゃん、ありがとう」

「私が出来るのはこれぐらい」

男性誌から発売まで、kissシーンの事は秘密にする様に要望がきた。
それ以外は盛り上げてくれという、都合の良い話だ。
solemnityが二人分の衣装を貸してくれた。
大阪のラジオ局に入り、衣装を着る。
俺のメイクを月奈がしてくれる、聖苑より桁違いに上手だ。
出来上がったところで、シーホークのお二人に挨拶に行く。

「相変わらず、どエロい。
その上、可愛い子まで連れてきて本番が楽しみやね」
鷹山さんが言った。

「よろしくお願いします」二人で挨拶をした。

パウダールームを封鎖して、黒いドレスの俺と白いドレスの月奈が絡み合うようなポーズを撮影していく。
放送スタートと同時にUPされるように、セットされた。

ラジオのジングルが鳴って、放送が始まった。

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