蒼い海 ～女装男子の冒険～

第四章 炎上

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４月に入り、大学は２年生に進級した。
履修登録も終わり、今は新入生のオリエンテーション中だ。
恒例の健康診断には、男の格好で行ったが不評だった。

「いつものワンピースで来たら、面白いのに」
渡辺雅紀たちが、煽ってくる。

「学内で問題を起こすわけには、いかないよ」

「大学側も、真凛の事は知ってるよ。
有名人だから、別室に連れて行かれるかもな」

久しぶりに、馬鹿を言い合える仲間に会って楽しい。

……

３月はガーデンズオフィス初の本決算で、まともに聖苑と一緒にいられなかった。
毎週、実家に帰っていたし、事務所に籠もる事が多かった。
疲れているので、ゆっくりいちゃいちゃも出来ない。

「もう、今月からは大丈夫」
朝ご飯を食べながら、聖苑が言ってる。

「solemnity、どうなったんだろ」

「もうすぐ、競売にかけられて買い手がつくらしいよ」

「そうなんだ」

「売れるブランドは、全部売るらしい」

ガーデンズオフィスは中園氏が本社に帰り、新しく山中　結菜やまなか　ゆうな氏が就任した。
月奈が正式に専属スタイリストになって、３人体制になった。

やっと、ゲーム雑誌が発売になった。
グラビアページに、女性弓使いの来栖千鶴と男性弓使いの出雲真凛が載っている。
冬の森林でロケが行われて、半日がかりで撮影された。
露出の多い格好なので、ひたすら寒かった。
二人で励まし合って、気合いで乗り切った。
気持ちが画面に出てるのか、お互いに目つきが鋭い。
いつものアイドル笑顔を封印した、千鶴の一面が見えていた。

SNSの評判もいい。
何より、ゲーマーの評判がいいのが嬉しい。
もちろん、千鶴のファンからは敵扱いだ。

ラジオとゲーム関係の仕事、雑誌のファッションページくらいしかしてないので、お金にはならない。
fortunaTVからは、オファーがきているが断っている。
またオーディションに通う日々が始まった。

「ゲームの仕事は大半こなしたので、外の仕事を増やしたい」
田中氏が言ってる。

「これは厳しいけど、オーディションに行ってこい」

大手企業のCMオーディションの連絡通知を受け取った。