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第十二章 新機軸

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1月4日、一ノ瀬流通グループ恒例の行事が名前を変えて開催される。

新しい行事が、シミュレーション通りにいかないのも事実である。
まず早朝4時から駐車場に車が並び始めて、開場を1時間早めた。
すぐに総責任者の一ノ瀬聖苑に連絡が入って、現場に駆けつけた。

早朝6時、現場で指揮を執る一日が始まった。
正月休み中の企業から、3箇所の駐車場を確保していた。
そのうちの2箇所も開場して、電子メールで告知する。
分散させて、混雑を避ける手を使った。

午前9時に開場、10時イベント開始予定だが、一斉に来ると捌ききれない。
午前7時に配送センターの入場口に並んで貰って、8時より電子チケットのチェックを始めた。
社内イベントなので、大騒ぎもなく粛々と進んでいく。
社員の協力もあり、30分早く開場して入場してもらうことが出来た。

午前10時、社長の開会宣言でツーショット撮影会が始まった。
一番人気は沙織、次が真凛、美那の順で列が出来ていく。
4番目はプロゴルファー、出利葉花蓮だ。
ここまでは想定通りだった。
5番目に一ノ瀬社長だったのは驚いたが、パートのおば様たちに大人気だった。

ショコラティエのジョルジュ・ロンセも若い女性、高校生に人気だし、田中社長も女性に並ばれていた。
50分撮影して、10分休憩のスケジュールだが、沙織と俺は2時間ぶっ続けで撮影をこなした。
午前中のスケジュールが終了して、ファッションショーの開催だ。

俺、沙織、美那は10分の休憩で、メイクに入る。
月奈が手直しをして、衣装を着た。
準備万端の素人モデルさんたちと、円陣を組んだ。

「私について復唱してください」
「私達はプロのモデルだ」 「「私達はプロのモデルだ」」
「ランウェイを楽しもう」 「「ランウェイを楽しもう」」
「私達は出来る」 「「私達は出来る」」
「おー!」 「「おー!」」

皆んなでランウェイのバックヤードに並ぶ。
俺は一人ずつ手を取って、「キレイだから大丈夫」「絶対出来る」
声をかけていった。

司会者の声でランウェイに飛び出す。
会場が一斉に、拍手と歓声に包まれた。
その中を軽快に歩いていく。
中央で美那とクロスして、左右に分かれた。
近くに行くと、観客の悲鳴がした。
ランウェイの先端で、美那と二人でポーズを決める。
心地よいほどの、拍手が嬉しい。

センターまで戻って、さっきと逆方向に行く。
ポーズを決めて、バックヤードに戻った。

すれ違いざまに、沙織と月奈が出ていった。

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