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第一四章 挑戦

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「よし、この二人にする」

田中社長が自分でピックアップしたメンバーから、面談して決めた。
一人は大学のラグビー部出身で、185cm100Kgの巨漢だ。
グループに入社して2年だが誰も使いこなせず、くすぶっていた。
もう一人はバツイチヤンキーの25歳、仕事熱心だが一本気で気性が荒いお姉様だ。

「田中社長の好みは、変わってる」
山内女史が呆れていた。

俺は理由が分かっている。
芸能の現場は、予定なんて有って無いようなものだ。
時間が押して、次の日までかかるってザラだ。
馬力が無いと、勤まらない。
雑用も多いし、理不尽な要求に気も使う。
いちいち落ち込んでたら、やってられない。
馬力が有って、精神的に打たれ強い二人が選ばれていた。

今日は大阪でラジオだった、新人の山田マネージャー見習いと、局に入る。
シーホークさんに挨拶をして、撮影した。

「今日は月一レギュラー、真凛ちゃんの登場です」
海野さんのトークから始まった。

「こんばんは、出雲真凛です」

「今日の衣装が、レースの可愛いドレスで胸が強調されてる。
真凛ちゃん、豊胸手術でもしたん?」
早速、鷹山さんがツッコんできた。

「これは、特別なパッドが入ってます」

「そういえば、TVでランジェリー会社を訪問してたな」

「放送もあるんで詳しくは話せないんですが、秘密兵器開発中です」

「今日はお嬢様が付き添いじゃなくて、ボディーガードの兄ちゃんがついてきてる」

「新人のマネージャーさんです」

「お嬢様はどうしたん?」

「また秘密で、何かやってるみたいです」

「そら楽しみやなあ、はっきりしたら連れてきてよ」

「本人に言っておきます」

「真凛ちゃんはこのラジオで募集した会社訪問が好調のようで、社長を転がしてるとか」

「人聞きが悪いですよ。可愛がって頂いてます」

「いやいや、財界のボスと握手してたやないかい」

「優しい方でしたよ」

「真凛ちゃんが、女子行員の制服を着てたからや」

「担当役員さんに、秘書課でも通用するって言われました」

「やっぱり大人をたぶらかしてる」
いい感じにトークが弾んだ。

番組が終わって深夜2時、シーホークの二人とツーショット撮影した。
SNSは、コメントが流れるくらいのスピードでついている。

「早く盛れるパッド発売して」
「真凛ちゃんの胸が自然だった」
「ますますキレイになってる」

嬉しいコメントが多かった。


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