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第一四章 挑戦

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「一ノ瀬流通グループは、株式会社フィーデスを30億円で買収する」

そのうえで有利子負債120億円のうち、100億円を引き継ぐ。
引き継ぐ100億円は、銀行団と新しい返済契約に移行する。
130億円で企業価値80億円の会社を買うことになるが、手持ちの資金は30億円で済む。
運転資金、統合費用やのれん代償却に多額の費用が掛かるが、フィーデスのコア会員50万人が手に入る。

銀行は、貸し倒れ引当金で20億円を償却する。
そのうえで、100億円が優良債権に生まれ変わる。

フィーデス側は、40億円の債務超過から30億円が手に入る。
従業員、取引先に迷惑をかけることなく、経営から手を引くことが出来る。

3社の利害を調整して、合意は成立した。

会議の後、銀行の佐藤頭取、父親と話をした。

「ご苦労だった。聖苑の報告書が無かったら買収は戸惑っただろう」
騙し打ちした父親に褒められても、嬉しくない。

「さすが一ノ瀬君の娘さんだ、後継者として楽しみだな」
佐藤頭取は、優しい人だった。

「買い被りです、まだ何も出来ません」
礼をして、仲間の元に戻った。

控室で見ていた3人は、あっけに取られていた。
そこに社長、専務、常務が入って来た。

「ECサイトは、手に入った。
これから、フィーデスにグループのECは統合する。
君たちには、統合の先頭に立ってもらう」
社長が、今後について一言話した。

直ぐに、社内に統合のプロジェクトが組まれた。
ECサイトは、フィーデスが中心となることが決まった。
フィーデスのサイトに、solemnity、一ノ瀬グループのグルメサイトが同居する形になる。

あれだけ統合に消極的だった各事業部が、一気に協力的になった。
何せ、フィーデスには一般200万人、コア50万人の会員がいる。
そのうえ社長が130億を掛けたプロジェクトだから、失敗は許されない。
各事業部から若手の精鋭が送り込まれて、プロジェクトはスタートする。
聖苑たちが出したプラン通りに、アウトレット店がフィーデスグルメの拠点となった。

統合プロジェクトのスタートを見届けて、聖苑は新規事業プロジェクトから降りた。
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