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第十五章 引退

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「これが最後だ、暴れて来い」

最後のチェスターコートを着た三島悠花を、ランウェイに送り出した。
軽快に歩いてる悠花は、トップモデルのようだ。
テクニックはまだまだだが、勢いとパワーが有る。
覇気が全身から溢れて、力強いウオーキングだった。

「みんな、私を見てって思った。気持ち良かった!」

「素晴らしかった、ありがとう」
俺が言ったら、ずっと一緒にレッスンをしてきた6人が抱き合って泣いている。
加山社長や花鳥デザイナー、フィーデスの担当者たちが、拍手をしてくれた。

……

新宿のホテルで、JLWの打ち上げパーティーが行われた。
モデルやデザイナー、フィーデス、solemnity、それに一ノ瀬グループの関係者が参加した。

「初めての協業で、色々苦労も多かったと思う。
それを乗り越えて、今日の成功まで持ち込んでくれたスタッフ全員に感謝したい。
特にフィーデス、soulemnityの間に入って調整をしてくれた統合準備室のメンバーには、特段の謝辞を述べたいと思う」

最初に、一ノ瀬社長の挨拶があった。
買収費用プラスEC投資、のれん代償却で、総額200億円のプロジェクトだ。
心配もあっただろうが、JLW限定商品は完売していた。
いいスタートが切れて、安心したんだろう。

「皆さん、お疲れさまでした。乾杯 ! 」
加山社長が乾杯の音頭を取って、歓談になった。

「真凛さん、ありがとうございました。
フィーデスには、vivacitasの問い合わせが殺到しています」
高橋ブランドマネージャーが喜んでいた。

「スケジュールが厳しい中、販売までこぎ着けてくれたフィーデスには感謝しています」
相当に無理を言ったことを詫びておいた。

「真凛さん、ありがとうございました。
貴重な体験をさせて頂き、勉強になりました」
ten strikeの5人が、足利プロデューサーに連れられて挨拶に来た。

「来春にも、JLWがある。また呼ばれるように、練習頑張ってね」

「「はい!」」
明るい返事が気持ちいい。
この後、足利プロデューサーと今後について、色々と相談することが出来た。

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