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第十六章 転身

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afterglowのライブが始まった。
5曲連続して披露した後、KEIが語りだす。

「今日のオープニングで、「夏の果」を歌いました。
あのMVが三角監督の閃きで、本物の夕立ちの中で撮影されたのは有名な話です。
では本来の台本はどうだったかといえば、真凛ちゃんと俺は別れのkissシーンだったんですよ。
どうせなら、やっとけば良かった」

会場がドッと湧いた。

「その後、俺たちと真凛ちゃんは、どんなに売れても一緒に仕事をしようねと約束しました。
そして今日、彼女の旅立ちの席に呼ばれたことを嬉しく思ってます」

会場が拍手をくれて静かになると「Digitalis」を歌い始める。
後ろのモニターには、MVが流れていた。
曲が全て終わって、男の格好に戻って出て行った。
俺がKEIとガッチリ握手して、その後メンバー全員と握手した。

「真凛が引退する、その旅立ちのはなむけになったら嬉しい」

「ありがとうございました。最後に来て頂いて、最高の気分です」
会場から万雷の拍手を頂いて、afterglowはステージを降りた。

「お待たせいたしました、次期solemnityの専属モデルを紹介します」
俺がマイクを持って、お客様たちに紹介した。

ネイビーのストライプワンピースを着た、北宮芽亜里が出てきた。
そのままランウェイを歩いていく。
真っすぐ、正面を見て歩く芽亜里が美しい。
ステージ先端でポーズを決めて、真っすぐ戻って来た。

「北宮芽亜里さんです」彼女が、小さくお辞儀をした。

「solemnityの専属モデルを辞めるって言った時に、社長から辞めていい。
ただし、次期の専属モデルをプロデューサーが決めてくれって言われました。
色々なモデル事務所の資料を見ても、なかなかピンときません。
そんな時に一ノ瀬聖苑さんから出てきたのが、彼女の名前でした。
彼女が活躍した歌劇団時代の映像を取り寄せてみたら、もうこの人しか見えません。
そこから紆余曲折あって、モデルを引き受けてくれました。
今後、専属モデルとして、活動して戴きます。
皆様、よろしくお願いします」

俺が話している間、歌劇団からお借りした現役時代の映像がモニターに流れていた。


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