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第十七章 決断

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fortuna正規メンバーのコンサートレッスンが始まった。

最初は、選抜外のアンダーメンバー楽曲からだ。
16人のパフォーマンスは熱気に溢れて、圧巻の仕上がりだった。
中でもセンターで踊る杉村莉緒は、気合が入っている。
真凛とkissするまで研究生の末席にいたのに、ここまで這い上がっていた。
後で選抜メンバー、6期研究生たちが見ている。
アンダーメンバーたちは、選抜に上がる為の意欲に溢れていた。

選抜メンバーが、スタジオ中央に出てきた。
センターに坂井理乃、両側に来栖千鶴、白河寧々が現在の3topだ。
沙織は2列目の左端、月城美雪が右端だった。
最新アルバムの表題曲を踊るが、レッスン着のままでもメンバーの個性が輝く。
アンダー、選抜の技術的な差はほとんど無い。
有るのはどれだけ目を引くか、fanが見たい思うアイドルなのか、その差だ。

その後は、ユニット曲のレッスンが続く。
選ばれたメンバーがレッスンしている後方で、アンダーメンバーが一緒に踊っていた。
この厳しさがfortunaの原動力だ。
ちょっとでも気を抜けば、直ぐに取って代わるメンバーがいる。
この緊張感に打ち勝ってパフォーマンスが出来なければ、脱落するだけだ。
沙織がラジオで全曲踊れますと言ったが、他にも全曲踊れるメンバーはたくさんいた。

15時になって、合同のレッスンは終了。
ここからは個人レッスンの時間だ、みんなが練習する曲を予約していく。
沙織は空き時間に2つ目のお弁当を食べている。
そのうえ差し入れのドーナツまで食べていた。
16時から3時間、ほぼ休みなくダンスチームのメンバーと一緒に踊り続ける。
終わった後、再度の体重計測すると49,8kgになっていた。
開始前が51kgだから、-1,2kgだった。

「-1,2kgなら普通ですよ。
汗をかいて水分が出てるだけですから、晩御飯を食べて飲み物を取ればすぐ戻ります」
ロケ映像の最後に、沙織のインタビューが放送された。

スタジオのメンバーからは、ブーイングの嵐だ。
司会者が白河寧々を指名した。

「1kg 落とすって簡単じゃない。
あんなに食べて痩せるって、ズルくないですか」

「写ってないところで、フルーツまで食べてた」
八木沢美優がバラす。

「最後に沙織ちゃんに聞いてみましょう。
どうですか?」

「コンサートレッスン中は、いくら食べても太らないので嬉しいです」

沙織は、どこまでも空気を読まない発言をしていた。
番組のエンディングで、コンサートでの俺たちのやり取りが使われた。

「ケーキ2個は食べ過ぎだろう、アイドルとしてどうなんだ?」

「これぐらい平気なくらい動いてるもん。食べないとガス欠しちゃうよ」

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