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最終章

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ロンドンに来て、5日間。
俺たちは、毎日アパレル企業訪問や毛織物工場の見学などをこなしていく。
午後になると昼食を兼ねて、ティールームを回っていた。

「毎日アフタヌーンティーなんて飽きるって思ってたけど、この時間が楽しみになって来た」
あれだけ嫌がっていたのに、聖苑は楽しんでいた。

「確かに一息つけば、後は仕事がはかどるね」

ロンドンのティールームを回ているうちに、新宿のsolemnity本店に作る店のコンセプトを絞っていく。
スペースは余裕を持たせたい、内装はオーセンティックモダンと想像が広がった。
アフタヌーンティーの後、高級織物の専門商社を訪問する。
日本ではあまり取り扱いが無いメーカーの生地を手に入れて、solemnityに送った。

週末は、初めての休みだ。
金曜日の夜、月奈たちと一緒に街へ繰り出した。
駐在員の佐藤氏が奥様を連れて、案内をしてくれる。
連れてこられたのは、会員制クラブだった。

「ここはメンバーか、同伴者しかいないので外の店より安全です。
皆さんを預かる者として、危機管理を優先しました」

「気遣い、感謝します」

「ここなら、安心して食事を楽しめます。
本場のパブもありますから、ゆっくり遊んで下さい」

入口で入店チェックを受けて、内部に入る。
月奈は小柄な上に童顔なので、念入りに年齢チェックをされていた。
外の庭が見渡せる2階席に案内されて、みんなが席についた。

「お二人のワンピース、とっても素敵です。
この街の雰囲気にピッタリですね」
食事が始まるまでの間に、佐藤氏の奥様が聖苑と月奈に話しかけている。

「グループ会社のsolemnityの作品です、この街で着る為に持ってきました」
グレイに白のチョークストライプが入ったワンピースを、聖苑は着ている。
胸元まで続くレースのスタンドカラーがクラシックな雰囲気を出していた。

「最近のロンドンでは、もっとモダンなファッションが流行っています。
そういうレトロクラシックな服が欲しくても、売ってないんですよ」
奥様は不満げだった。

オードブルが運ばれてきて、シャンパンで乾杯する。
今日のコースは、インド料理だった。

「こちらの料理にも飽きる頃だと思い、インド料理にしました。
英国とインドは深い繋がりがあるので、本場の味が楽しめます」
佐藤氏は私達が飽きないように、気を使ってくれたようだ。
メインのカレーは、辛さまで本物だった。

食後はクラブ内のバーで、みんなでお酒を楽しむ。
聖苑と月奈は佐藤氏の奥様と意気投合して、お喋りを楽しんでいる。
俺達は、それを遠巻きに見ていた。
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