【完結】 悪女は今日もパンを焼く 【R18】

灰色 猫

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「二つとも実習生が作ったものとすれば、大したものだ」

武尊の父親が、説明してくれる。

「みんなは、売り物として評価している。
商品としての完成度が足りないだけで、パン自体は悪くない」

言ってる意味は、理解出来る。
が、批評が当たってるだけに、悔しかった。
妃奈も、悔しさが顔に出ていた。

「武尊、店内を案内したら、うちのパンを食べて貰おう」

武尊の案内で、店内に入る。
お客様の間を縫って、並ぶパンを見て回った。
クルミ入りライブレッドが1番人気、ライ麦75%のカンパーニュが2番人気だった。

店を見ていたら、練習中のライ麦50%にしたのに。
ちょっと、悔しい。

休憩室に座ると、ライ麦パンとカンパーニュにソーセージとザワークラウト、カフェオレの昼食が出た。
今度は、私達が試食する番だ。

ライ麦100%パンなのに、酸っぱくない。
何で?サワー種の酸味が極限まで抑えられていた。
食べると、ライ麦の味が広がる。

「姉さん、眉間にシワが寄ってるよ」
考えながら味わってたら、周りが見えて無かった。

「美味しい、ザワークラウト乗せたら最高。
ビール、欲しい」
実習生が言う台詞じゃ無いと反省した。

妃奈も遠慮なく食べている。
二人共、完食して、ごちそうさまをした。

午後には、車で支店を挨拶周りした。
が、最後に寄った実験店舗には、驚かされた。

薪で焼く石窯が設置されていて、入り口の横には薪が積まれていた。
食パンとカンパーニュだけのお店で、職人さん一人と見習い、アルバイトの店員で営業している。

「坊っちゃん、今日は何事ですか?」
笑顔が素敵な、お相撲さんっていう体格の職人さんだった。

「実習生を連れてきた。八神さんと立花さんだ。
3月に一ヶ月間実習するので、下見に来てる」

「よろしく」
大きな手の持ち主が、川原田雅志だった。
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