ジャッジメント〜許されるべき魂〜

ノア

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北海道児童虐待殺人事件

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ある子供の結果。

北海道網走にて
児童虐待による死亡事件が起きた。

被害者である児童は
燃えるゴミの袋に詰められ
寒空の下 ゴミステーションに
捨てられていた。

発見時、
児童は既に息絶えており
背中や首筋やお腹に酷い痣が見つかり
タバコを押し当てたような火傷痕も
見つかった。

警察はすぐに
児童の母親と
母親の再婚相手である男性を特定し
犯人の疑いで連行した。

児童の母親も
母親の再婚相手である男性も
児童が亡くなる前から
児童相談所の職員が家に来るたびに
『息子は今調子を崩しているので
顔を見せられない』と言って
表に出す事をしなかった。

その後、
児童の母親と
母親の再婚相手である男性は
児童の虐待に関与したとされ
身柄を拘束された。


気がつくと
全身を刺すような寒気は無く
真っ暗な部屋に居た。

『うぅ…』

痣は 少し痛む…けど
これでお母さんが殴られずに済むなら…。

その時だった。

何処からか
男の人のような声で
『座りたまえ』と聞こえ
僕の目の前に
なんの変哲も無い椅子が現れた。

『…いす…』

疑問はあったけど
僕がその椅子に座ると
真っ暗だった部屋が明かりに照らされた。

『うぅ…』

眩しくて目を薄く開き 周りを見ると
僕を囲うように
いつの間にか椅子が置かれていた。

『ここは…』

まるで、
お母さんが連れて来た再婚相手が
僕を見た時と同じで
不安と恐怖の感情が強くなっていく。

怖い…ここから早く出たい…。

椅子には誰もいないはずなのに
沢山の人に見られているような感覚がする。

僕が俯いていると
何処からか
『早く出たいかね?』と
年老いた女の人の声が聞こえた。

『………』

応えようとしても
どうしてか声が出ない。

すると、
僕の背後から
『ふむ、
この者は半死ではなく死だ。
議論する必要が無い』と
若い男の人の声が聞こえてきた。

『待って!!
彼は虐待され亡くなった可哀想な魂よ。
議論して至上者にちゃんと報告しないと…』

若い女の人の声が聞こえた。

『いいや、
時間の無駄だ。
だいたい、
死が何故ここに迷い込んで来た?』

再び若い男の人の声が聞こえた。

死ってなんだ?

誰が死んだって?

確かに 殴られる事も
タバコの火を押し当てられる事もあったけど
それは全部 僕が悪い事をしたからで…
虐待なんて…

『おや?
虐待はされてないと?』

年老いた女の人の声がまた聞こえた。

怖かったけど
僕は声が聞こえた方の椅子に向かって
勇気を振り絞って
『うん…』と返した。

すると、
僕の向いた方とは逆の方から
『なんて事を…嘘を吐いてしまった…』と
年老いた男の人の声が聞こえた。

『えっ…嘘なんて…吐いてないよ』

否定するけど言い知れない恐怖が
僕の心を強く支配していく。

と、

『嘘はいけないよ…』

小さな女の子の声が聞こえた。

『えっ…』

声が聞こえた方を見ると
さっきまで誰も座っていなかった椅子に
長い髪をポニーテールのように縛った
同い年くらいの女の子が座っていた。

『嘘はいけないよ…』

女の子は 真っ直ぐ僕の目を見つつ言った。

その視線に
さっきまでの
僕を支配していた恐怖が晴れていき
いつのまにか『ごめん…なさい…』と
女の子に謝っていた。

謝る僕を見て
女の子が『…いいよ。
あなたは 罪を犯したの?』と言った。

『つみ?』

僕は言葉の意味がわからず
女の子に聞き返すように
言葉を返すと
女の子は『悪いこと…』と言った。

『悪いこと…』

呟きつつ
僕はお母さんが
最後に言っていた言葉を思い出した。

「あんたさえいなければ!!
ねぇ、
もう泣かないでよ!!
あの人が怒ったらまた
あんたのせいで私が殴られる!!
もう嫌なの!!私の邪魔しないでよ!!」

泣きたくないのに涙が流れてきた。

『お母…さ…どうして…』

お母さん、
どうして僕を捨てたの?

わからないよ…どうして…

ビニールが肌に張り付き
冷えていく感覚…

少しだけ痛んでた
背中の痣が 強く痛みを発して
僕は視線を下げた。


どれだけ時間が流れただろう。

顔を上げるとさっきの女の子以外に
年老いた女の人や
タバコを消しつつ
こちらを見る若い男の人
その他にもさっきまで
誰もいなかったはずの椅子に
人が座っていた。

『えっ…?』

言葉を失っていると
若い男の人が
『罪か…生きる事を諦めた的な奴か?』と
冷静な口調で言った。

『自殺…では無いだろ?
虐待なんだし』

若い男の人の隣 鼻ピアスを付けた男の人が
若い男の人に言葉を返した。

『ですと、
どういう理由で
こちらに落とされたのでしょう?』

眼鏡をかけた女の人が
僕の前に来て
怖がらせないようになのか
しゃがみながら視線を合わせ言った。

『あ~どうせまた、
至上者の気まぐれじゃね?』

眼鏡をかけた女の人の向こう
リーゼントの男の人が
めんどくさそうに言うと
若い男の人が
『気まぐれな訳ないだろ』と言葉を返した。

『ねぇ…あなたは 名前…覚えてる?』

女の子が言った。

『…覚えて…ない…』

覚えてない…どうして…

僕には 名前があったはずなのに…

なんで…わからない…何も思い出せない…


ふと、
眼鏡の女の人が椅子に戻り
『静粛に。
至上者がいらっしゃいます』と言い
その場で深く頭を下げた。

『えっ?』

なんて言ったのかわからず
周りを見ると
僕以外その場にいた人
全員がその場で深く頭を下げていた。

どうしていいのかわからず
僕も合わせるように深く頭を下げると
何処からか『頭を上げなさい』と
男の人とも女の人ともわからない声が聞こえ
頭を上げると
僕の前に光る小さな球体が浮いていた。

『えっ…』

言葉が出ないでいると
球体は僕に
『君の罪は 命を落としたこと。
本来なら死後 速やかに
あの世へ送る約束だが
賽の河原で罪を償うには
あまりな事情がある…
だから、
君の身柄はこちらで引き取らせてもらった』
と言った。

何を言ってるのかわからなかった。

『おや?
何を言ってるのかわからないって
顔をしているようだね。
だが、
君はその歳にしては
とても頭が良いようだし
徐々に慣れていけば良いさ。
では、
後をよろしく』

言い終えると
光る小さな球体は
僕の前からパッと消えた。

『えっ…』

わからずに佇んでいると
若い男の人が『そういうことか』と言って
僕の前に立ち
僕の頭をグリグリと撫でながら
『よろしくな 新入り』と言った。

『しんいり?』

わからず僕が聞くと
眼鏡の女の人が
『新人…って言ってもわかりませんよね?』
と言い
それに応えるように
女の子が『家族だよ…』と言いつつ
微笑んだ。

『家族…あ…れ…』

泣くつもりはないのにどうしてだろう…
涙が流れて止まらない…

『ほら、
これを使いなさい』

優しい口調で
年老いた女の人が言いながら
ハンカチを手渡してくれた。

『ありがとう…ありがとう…』

何度も何度も僕は泣きながら
ありがとうと言い続けた。


『いや、
昔の話だから』

そう言いつつ、
ムスッとした表情をして子供は
私に背を向け歩き出した。

その首筋には
タバコの火傷痕と痣が
そっと顔を覗かせていた。





~~~北海道児童虐待殺人事件~~~


END

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