不可抗力で聖女になった私の転生物語

凪ルナ

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第一章 目覚めとあけの森

第二話 前世の私

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 ──思い返すこと、数日前。

 ケインの投げたボールが頭に当たった衝撃で気絶した。そんな私は、眠っている時に前世を思い出していた。
 前世の私は、大学生で家族仲は冷えきっていた、というより、父も母も私に無関心で、父と母の愛は全て弟にいっていたようだった。

 前世の私は、幼い頃から何をしても、どんなに頑張っても愛されることはなかった。

 『おかあさん、おとうさん。ふたりの絵をかいたので、みてください』

 『いつき、私たちの絵を描いてくれたの?ありがとう』

 私の時は、見もせずに、破いて捨てたよね。

 『お父さん、テストで100点をとれたんです』

 『凄いな、樹。やるじゃないか』

 私には、何にも言ってくれなかった。

 『読書感想文で賞をもらえました、お母さん』

 『樹は何でも頑張って偉いわね』

 私も賞を貰った。私だって頑張ってるのに。

 『今回の定期テスト、学年で一番だったんです』

 『樹はすごいわね。お母さんの自慢だわ』

 私も樹みたいに勉強がんばってるし、私はいつも一番だよ。

 『部活の大会で優勝したんです』

 『見てたぞ、活躍してたな。将来はサッカー選手かな』

 私もバレーの大会で優勝して、MVPだったんだよ?

 ねえ、お父さん、お母さん。どうして、私のことを見てくれないの?

 ずっと頑張っていれば、いつかは弟の樹みたいに私のことを見てくれるって、愚かにも中学生くらいまでそう信じていた。

 愛の反対は無関心とはよく言ったもので、まさに前世の私はそれを体現していたと思う。愛を求めていた私は、両親からの無関心にずっと傷ついてきたから。
 心がすり減って、ボロボロになった私は、だんだん期待せずに過ごすようになった。高校の時にできた友達、はるかが、私のことを心配して真摯に話を聞いてくれて、ちょっとずつ、それは変だよ、おかしいよって指摘してくれて、私の努力も認めてくれない両親なんかに執着せずに楽に生きてこうよ、って言ってくれて、ようやく私の家がおかしかったことに気づいた。
 ちなみに弟の樹は、前々からこの家はおかしい、歪だって思って私のことを気にかけてくれていたらしく、「姉さんは早くこの家を出た方がいい」とまで言ってくれて、大学進学を機に一人暮らしをするために両親の説得の手伝いもしてくれた。
 晴れて両親から離れて一人暮らしをして、たまたま進路が同じだった遥と同じ大学に入り、楽しく大学生活を送っていた。

 そんな前世の私、山浦葉月の人生は、大学生の時に通り魔に刺されて終わりを迎えている。



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