5 / 17
4「自分の過去と反省」
しおりを挟む
以前ヴィオラは少々ふくよかだった。
そして、メキメキと頭角を現していると言われていた俺と比べ、彼女自身の頭が良いとも言えなかった。
でも、俺にとってヴィオラは小さくてふくふくしていて、髪も肌も俺とは違ってふわふわで、可愛くて。この俺がずっと守ってあげないといけない存在。そう思っていた。
だが、その時は俺も未熟だ。
周囲と比べ頭脳もなくほっそりとした姿が美とされる中ふっくらしたヴィオラ・ビルイム伯爵令嬢は、俺の知らない少女だけの世界では疎んじられていた。
ルアンの婚約者でヴィオラと同い年であるリリー・ブランシュ公爵令嬢が傷つけられ仮面を嵌めるようになり、周囲から強く疎んじ始める以前であったから、尚更彼女だけに当たるように、高位の貴族家に嫁げるような存在では無いと彼女達の世界で隠れるように虐げられていた。
その世界の女たちは俺にその世界を見せようとしなかった。彼女の心を砕き、そこから退けた時その立場に立ちたいと都合のいいことを目論んでいたからだろう。
そのせいで、彼女に向けられた敵意の酷さを知らなかった。俺が数ヶ月ぶりにヴィオラと会いその事実に気づいた時には、彼女はボロボロだった。
「ラヴォンド様、私は大丈夫ですよ」そう言いながらも自信を無くし、食事は食べていないのと遜色ない程度に少なくなり、ずっと好きだったお菓子も見るだけで顔色を無くしそのテーブルから逃げ出した。何回もその行為を続けていたらしい彼女の体は酷く不健康に痩せていた。
俺はそこで初めて彼女に対して命の危機を感じた。
だから、毎週会うことにしたのだ。彼女が苦しまないよう、感情を戻せるよう、幸せになれるよう。俺にとってはそれだけが望みでどんな時も向かった。俺の職場の話をして、領地の話をして、珍しいお茶を飲んで、時々面白くなって2人で微笑んで。
俺は、ただ彼女を以前のように幸せにしてあげたかった。
見た目は少々痩せすぎていても健康であればいい、性格だって彼女であればどんな風に変わってもいい。
生まれた時から決められている、俺の世界で唯一である婚約者。
その子がいつも幸せに思って、その子の望みを叶えて、以前のような心の健康さを取り戻せるようにしてあげたかった。
その全てで支えと居場所に俺がなりたいと思いながら。
そんな彼女も数年経つ頃には、元気になり社交界に出るようになる。彼女は以前のことを克服したいのか、社交を好みだし、ちょっとづつ食事の量を増やしていった。
服やアクセサリーの選び方は好きな似合う物を選ぶというよりかは目立たない物を選ぶように変わってしまいはしたが、概ね以前のように明るい少女へ戻っていった。
彼女につられるように俺も変わった。ただ、彼女のような健康さは無い。
ただ甘やかしを与える大切な存在であったヴィオラが、俺の未熟な欲の対象になってしまったのだ。
小さい頃の俺たちは童話の騎士とお姫様のつもりだった。小さい頃は純粋で可愛くて、素直な関係であった。
だが、どんどん性的に目覚めていくにつ彼女が女性あることを認識していく。彼女が欲しい。彼女の肌を暴きたい。彼女の声を、体を見る度、俺の欲望が重なって度々はしたない考えが浮かぶ。
俺は可愛らしい世界の騎士などではなく、等身大の醜い欲を抱える男であったと自覚していった。
そして、俺が彼女でしか勃たないことも気づいている。
俺の少ない友人の1人であるルアン・フルールは好きな婚約者以外と床を共にするなどと言い、実地の閨教育を受けていなかった。それにつられ、王太子もするのに何故俺はしなくてはならないのだと主張し、実地でしなかった。
そのせいなのだろうか。歪な形で欲が膨れ上がってしまったらしい。その感情を向ける事が出来るのがヴィオラだけななっていたのだ。可愛くて清廉なヴィオラにそのような感情を向けるなどと思いながらもヴィオラだけに向いた変態性は変えることは出来なかった。彼女が漸く前を向き出したというのに、俺自体がそんなちゃちなことに左右されるなんてと思いながらも。
そして、昨日が来る。
気持ち悪くはあるのだろうがいつかは初夜と子作りの義務を負うのだから、出来ないよりマシだろうとは思っていたがこの事態を招く自体で無理にでも捨て置くべきものだった。
昨日の自分を殴ってやりたい。
何が初めてを奪えばだ。奪えなくても彼女との結婚は決められたものだ。俺が直接的な快楽が欲しかっただけだろう。
申し訳ない。
死にたい。
「ヴィオラ……」
次会うときはどんな風に接するのが正解なんだ。
俺は今週末はどうしようかと始終悩み続けるのだった。
そして、メキメキと頭角を現していると言われていた俺と比べ、彼女自身の頭が良いとも言えなかった。
でも、俺にとってヴィオラは小さくてふくふくしていて、髪も肌も俺とは違ってふわふわで、可愛くて。この俺がずっと守ってあげないといけない存在。そう思っていた。
だが、その時は俺も未熟だ。
周囲と比べ頭脳もなくほっそりとした姿が美とされる中ふっくらしたヴィオラ・ビルイム伯爵令嬢は、俺の知らない少女だけの世界では疎んじられていた。
ルアンの婚約者でヴィオラと同い年であるリリー・ブランシュ公爵令嬢が傷つけられ仮面を嵌めるようになり、周囲から強く疎んじ始める以前であったから、尚更彼女だけに当たるように、高位の貴族家に嫁げるような存在では無いと彼女達の世界で隠れるように虐げられていた。
その世界の女たちは俺にその世界を見せようとしなかった。彼女の心を砕き、そこから退けた時その立場に立ちたいと都合のいいことを目論んでいたからだろう。
そのせいで、彼女に向けられた敵意の酷さを知らなかった。俺が数ヶ月ぶりにヴィオラと会いその事実に気づいた時には、彼女はボロボロだった。
「ラヴォンド様、私は大丈夫ですよ」そう言いながらも自信を無くし、食事は食べていないのと遜色ない程度に少なくなり、ずっと好きだったお菓子も見るだけで顔色を無くしそのテーブルから逃げ出した。何回もその行為を続けていたらしい彼女の体は酷く不健康に痩せていた。
俺はそこで初めて彼女に対して命の危機を感じた。
だから、毎週会うことにしたのだ。彼女が苦しまないよう、感情を戻せるよう、幸せになれるよう。俺にとってはそれだけが望みでどんな時も向かった。俺の職場の話をして、領地の話をして、珍しいお茶を飲んで、時々面白くなって2人で微笑んで。
俺は、ただ彼女を以前のように幸せにしてあげたかった。
見た目は少々痩せすぎていても健康であればいい、性格だって彼女であればどんな風に変わってもいい。
生まれた時から決められている、俺の世界で唯一である婚約者。
その子がいつも幸せに思って、その子の望みを叶えて、以前のような心の健康さを取り戻せるようにしてあげたかった。
その全てで支えと居場所に俺がなりたいと思いながら。
そんな彼女も数年経つ頃には、元気になり社交界に出るようになる。彼女は以前のことを克服したいのか、社交を好みだし、ちょっとづつ食事の量を増やしていった。
服やアクセサリーの選び方は好きな似合う物を選ぶというよりかは目立たない物を選ぶように変わってしまいはしたが、概ね以前のように明るい少女へ戻っていった。
彼女につられるように俺も変わった。ただ、彼女のような健康さは無い。
ただ甘やかしを与える大切な存在であったヴィオラが、俺の未熟な欲の対象になってしまったのだ。
小さい頃の俺たちは童話の騎士とお姫様のつもりだった。小さい頃は純粋で可愛くて、素直な関係であった。
だが、どんどん性的に目覚めていくにつ彼女が女性あることを認識していく。彼女が欲しい。彼女の肌を暴きたい。彼女の声を、体を見る度、俺の欲望が重なって度々はしたない考えが浮かぶ。
俺は可愛らしい世界の騎士などではなく、等身大の醜い欲を抱える男であったと自覚していった。
そして、俺が彼女でしか勃たないことも気づいている。
俺の少ない友人の1人であるルアン・フルールは好きな婚約者以外と床を共にするなどと言い、実地の閨教育を受けていなかった。それにつられ、王太子もするのに何故俺はしなくてはならないのだと主張し、実地でしなかった。
そのせいなのだろうか。歪な形で欲が膨れ上がってしまったらしい。その感情を向ける事が出来るのがヴィオラだけななっていたのだ。可愛くて清廉なヴィオラにそのような感情を向けるなどと思いながらもヴィオラだけに向いた変態性は変えることは出来なかった。彼女が漸く前を向き出したというのに、俺自体がそんなちゃちなことに左右されるなんてと思いながらも。
そして、昨日が来る。
気持ち悪くはあるのだろうがいつかは初夜と子作りの義務を負うのだから、出来ないよりマシだろうとは思っていたがこの事態を招く自体で無理にでも捨て置くべきものだった。
昨日の自分を殴ってやりたい。
何が初めてを奪えばだ。奪えなくても彼女との結婚は決められたものだ。俺が直接的な快楽が欲しかっただけだろう。
申し訳ない。
死にたい。
「ヴィオラ……」
次会うときはどんな風に接するのが正解なんだ。
俺は今週末はどうしようかと始終悩み続けるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
転生公爵令嬢は2度目の人生を穏やかに送りたい〰️なぜか宿敵王子に溺愛されています〰️
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リリーはクラフト王子殿下が好きだったが
クラフト王子殿下には聖女マリナが寄り添っていた
そして殿下にリリーは殺される?
転生して2度目の人生ではクラフト王子殿下に関わらないようにするが
何故か関わってしまいその上溺愛されてしまう
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
冷徹公爵閣下は、書庫の片隅で私に求婚なさった ~理由不明の政略結婚のはずが、なぜか溺愛されています~
白桃
恋愛
「お前を私の妻にする」――王宮書庫で働く地味な子爵令嬢エレノアは、ある日突然、<氷龍公爵>と恐れられる冷徹なヴァレリウス公爵から理由も告げられず求婚された。政略結婚だと割り切り、孤独と不安を抱えて嫁いだ先は、まるで氷の城のような公爵邸。しかし、彼女が唯一安らぎを見出したのは、埃まみれの広大な書庫だった。ひたすら書物と向き合う彼女の姿が、感情がないはずの公爵の心を少しずつ溶かし始め…?
全7話です。
推しであるヤンデレ当て馬令息さまを救うつもりで執事と相談していますが、なぜか私が幸せになっています。
石河 翠
恋愛
伯爵令嬢ミランダは、前世日本人だった転生者。彼女は階段から落ちたことで、自分がかつてドはまりしていたWeb小説の世界に転生したことに気がついた。
そこで彼女は、前世の推しである侯爵令息エドワードの幸せのために動くことを決意する。好きな相手に振られ、ヤンデレ闇落ちする姿を見たくなかったのだ。
そんなミランダを支えるのは、スパダリな執事グウィン。暴走しがちなミランダを制御しながら行動してくれる頼れるイケメンだ。
ある日ミランダは推しが本命を射止めたことを知る。推しが幸せになれたのなら、自分の将来はどうなってもいいと言わんばかりの態度のミランダはグウィンに問い詰められ……。
いつも全力、一生懸命なヒロインと、密かに彼女を囲い込むヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:31360863)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる