陰陽神(いよかん)とポンの不思議な冒険

マシュー

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第1章

出会いと旅立ち

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ここは、海に囲まれたとある島国・・・。


【神の住む国】と呼ばれる4つの国から成る四国と言う国がある。

その1つ伊予ノ国は、ミカンの生産で全国トップクラスのミカン大国である。

季節は春先、少し肌寒い風に
木々は揺れ小鳥はさえずる。
 
海、山、川。自然に囲まれたミカン畑のある町のミカン山の中腹辺りに凰蓮寺という現在、人の住んでいない古寺がある。

その古寺の床下を住処にしている小さな動物がいた。

「うぇ~ん うえ~ん!」 

独りで泣いているこの子の名前は『ポン』

白い狸の男の子である。
何やら独りで泣いている様だが一体どうしたのだろう。

 「とぉちゃ~ん!かぁちゃ~ん!どこにいったんだよ~、かえってきてよ~。」

そこへ、偶然通りがかった黒猫が泣き声に気付きそぉっと近づいてきた。

彼の名前は『リリ』。
赤い首輪そして何故かお守りを首にかけている。

 「お~い、何をそんなに泣いているのかにゃ?」
ポンは、りりの猫撫で声が聞こえなかったのか、はたまた猫特有の忍び足に気配を感じなかったのか、りりの声に反応することなく、泣き続けた。

「あらら? オイラの声が聞こえなかったのかにゃ?よ~し!」りりはさっきよりも大きい声で再び質問を投げかけた。

「なんでそんなに泣いてるんだにゃ~~!?」床下中に響き渡るりりの声にポンはビックリして振り返ると、やっとりりの存在に気づいた。

「えっ?あ、あなたは誰ですか?」ポンは慌ててりりに聞いた。

 「オイラは、りりだにゃ!いったいぜんたい何をそんなに泣いてるんだにゃ?」りりは心配そうな表情でポンに聞いた。

「あっ、はじめまして。ぽくの名前はポンです、実は昨夜から父ちゃんと母ちゃんが帰って来なくて。それで独りで寂しくて淋しくて。」ポンは下を向き悲しい表情で言った。

「そうだったのかにゃ。それは心配だにゃぁ。何か心当たりはあるのかにゃ?」りりはポンの側にゆっくり近づきながら言った。

「ただいつものように父ちゃんがミカンを取りに出かけて。父ちゃんの帰りがあまりにも遅かったので、母ちゃんが心配して探しに行ったきり、戻ってこなくって・・・。もしも、ふたりに何かあったらぽく、独りでどうすればいいか。だから・・・。うぅっ・・・。うぇ~ん、えんえん。」

 「おいおいおいおい!泣きたい気持ちは分かるにゃ!でも男なら今は我慢だにゃ!」
りりは慌てた様子で、再び泣き出すポンをあえて厳しい口調でなだめた。

 「ひっく。ひっく。ご、ごめんなさい。」
ポンはりりの「男なら」と言う言葉に反応して泣くのをガマンした。

「よし、良い子だにゃ。泣いてたらちゃんと話ができないからにゃ。さっきの話じゃお父さんはミカンを取りに行ったって言ってたにゃ?」

「うん、このミカン山を下りて行ったの。」

 「それは、ちょっとマズイかもしれないにゃぁ。」

 「えっ?マズイ?ここのミカンはとっても美味しいんだよぉ!」

 「ん?いやいや、違うにゃ!ミカンの味の話ではなくて、大変かもしれないって話だにゃ。」

「えっ?!あっ!そっちの事だね!ゴメンなさい!で、大変ってどういうこと?」

 「丁度オイラも昨夜、このミカン山を登って来た時、人間を見たにゃ、あれはきっと猟師だにゃ。作物を荒らすイノシシやイタチを捕まえるためにこの山に狩り来ていたにゃ。」

 「りょうしが?りょうしって人間? 母ちゃんが人間は怖い生き物だから絶対に近づかないようにって言ってた。」

 「猟師に関してはそうかも知れないにゃ、捕まったら食べられるんだにゃ!向こうからしたら作物をあらす動物の方が人間にとっては敵なんだにゃ。」

 「そっかぁ。人間ってやっぱり怖いんだね!だからぽくこの山から出たことないんだぁ。」

 「そうだったのかぁ。でもにゃ、世界は広~いにゃ。人間には、怖くて悪いのもいるけど。反対に、優しくて良い人間もいるんだにゃ。」

 「ぽくの父ちゃんと母ちゃんみたいに優しい?」

「そうだにゃ。親は子供に誰よりも愛情を注いで誰よりも優しく大切に育てるもんだにゃ。ポンも優しく大切に育てられたみたいだにゃ。まぁ要するにだにゃ、もしかしたらポンの両親は親切で優しい人間に運よく助けられてるかも知れないにゃ。必ず希望はあるんだにゃ!!」
りりはポンの頭に右手を乗せて励ますように力強く話した。

 「りりありがとう!お陰で何だか寂しさが和らいできたよ。」

 「それなら良かったにゃ。信じるものは救われるんだにゃ。」

 「ぽく、りりに声かけられて無かったらあのままどうなってたか。」

 「おいおい、大袈裟だにゃ、あれだけ泣いてたら誰でも気になるにゃ。まぁ、困ってるやつを見たら放っておけないのがオイラの性分なんだにゃ。」

 「やさしい猫さんだね。ぽくりりのこと好きだなぁ。」

 「な~に嬉しい事言ってくれてんだにゃ!もっと言ってくれ、もっと!」

 「そんなに言ったらもったいないからもう言わない!小出しにするね。」

 「おぉ、じらすにゃ~、そういうの嫌いじゃないんだにゃ。」

 「はははは!りりって変なの~!」

 「にゃははは~!変かにゃ?  じゃ、オイラたちもう友達だにゃ!」

 「うん!ぽく友達いなかったから嬉しい!」

 「オイラもこれといって友達はいないからにゃ。にゃははは。ポンと話してると不思議と温かい気持ちになるのは何でだろうにゃ。」

「ほんとに?そんなこと言われたの初めて、ぽくも同じ気持だよ~。」

「オイラなんだか嬉しくなって来たにゃ。オイラ歌いたくなって来たにゃ~。なんだかにゃ~♪ふっしぎっだにゃ~♪ふっしぎっだにゃ~♪」
りりは突然不思議な歌を歌い始めた。

「何それ~?」ポンもまた不思議そうな表情でりりを見ている。

「そ~れ、ふっしぎっだにゃ~♪ や~れ、ふっしぎっだにゃ~♪」
りりは手拍子をし音頭に乗り尻尾を振りながら歌っている。

「ふっしぎっな音頭でよよいのよい♪
にゃはははは~、なんだか愉快だにゃ~。ポンも一緒にやるにゃ。」

「あはははは~。本当だぁ。なんだか楽しいねぇ~!」
ポンもりりに合わせて、見よう見真似で楽しそうに踊っている。そんなポンとりりは気の合う仲間が出来たという喜びでくだらない事でも何だか楽しくて一緒に笑い合えた。

踊り疲れたふたりはその場に座り込み休憩していた。するとりりは何かを閃いたようだ。

「あっ!そうだにゃ!ここはお寺だよにゃ!ポン、オイラ良い事を思いついたにゃ!」りりは嬉しそうにポンに言った。

「えっ!良い事?なになに?教えてよ。」ポンは興味深々な様子で言った。

「まっ、良いからオイラについてくるにゃ。」りりはニコッと笑って寺の方へと向かった。

「うん。分かったよ。」ポンはそう言って先に行くりりの後をついて行った。

りりはお寺の境内に上がり上を見上げる突然ジャンプした。

脚力の優れた猫ならではのジャンプ力を見せ、鈴のついた綱に飛びついた。

さらに落ちない様に鋭い爪をがっちりと綱に引っ掛けて、思いっ切り全身を振り鈴を鳴らした。

「カラン!カラン!」と鈴は2回鳴った。そして、りりはすぐさま飛び降りてポンの隣に着地した。

 「ポン!両手を合わせて目をつぶるにゃ」

「う、うん。」ポンはりりの言う通りに目を閉じ両手を合わせた。

 「そうにゃ、そして心の中でお願いするにゃ、両親の無事を神様にお願いするにゃ」

「分かった。」 
ポンは心の中で神様に願った。

 『神様お願いします。父ちゃんと母ちゃんが無事でありますように
 どうかお守り下さい。』

ポンとりりは目を開け、互いに向かい合った。

 「りり、ありがとう!ぽく何て言ったらいいか。」

 「何言ってんだにゃ!友達として当たり前だにゃ。少しは気持ちが楽になったんじゃにゃいか?」

 「うん、だいぶ気持ちが落ち着いたよ。ぽく、りりの親切心に感謝が止まらないよ~!うぇ~んえんえん。」

 「おいおい、そこ泣くとこじゃないだろう!この~泣き虫ポン!」

 「違うよぉ!これはうれし泣きだよぉ!」

 「何だよもう!オイラまでもらい泣きしてきちまうじゃにゃいかよ~!」

 「なんだぁ、りりだって涙もろいじゃんかぁ!ぽくのこと言えないよぉ。」

 「え~い!うるさいにゃ~!!
必殺~~ !猫パンチ!!」

『バシュッ!!』

 「痛って~~!肩パン痛って~!いきなり何するんだよ~!」  

「猫ノ神様の天罰だにゃ!」

 「猫ノ神~?なんだよそれ~!
それじゃ~こっちだって~!!
 ポンぽこアタ~ック~!!」

ボフッ!!「うにゃ~~!!痛った~いにゃ~!体当たりとは!なかなか効いたにゃ!」

 「狸ノ神様の反撃だぁ~!」

「狸ノ神だと~!なかなかやるじゃにゃいか!」

 「よーし、今日の所はこの辺で
勘弁してやるにゃ!」

「いつでもかかってこ~い!」

 「にゃ~はっはっは~!」

「あ~はっはっは~!」

 「たのしいね!この遊び」

「だろ~?今思いついた神様ごっこだにゃ」

「またやろぉ!」

「気に入ったかにゃ?またやろうにゃ!あっ、そうだにゃ」そう言うと、りりはおもむろに首輪に手をかけ、なにやらごそごそしはじめた。

 「ポン、目をつむるにゃ。」 
ポンは言われた通り目を閉じると、何かが首にかかった感じがした。

 「目を開けていいにゃ。」
ポンはそっと目を開けるとやはり首に何かが掛かっていた。





「何これ?何か書いてる・・・お守り?」

 「ケンカの後の仲直りのプレゼントだにゃ。と言ってもオイラのお古だけどにゃ、前の飼い主から貰ったオイラの大事な宝物だにゃ。」

 「そんな大切な宝物もらっても良いの?」

「もちろんにゃ!だって大切な友達が困ってるんだから当たり前だにゃ。」

「ホント良いにゃんこだねぇ!ありがとう!」

 「気にすんにゃ!このお守りはいつでも持ち主の事を守ってくれるにゃ!」

 「へぇ~、すごいね!ありがとう~。大切にするよ!」

 お守りを見ていた目線の先、ふと地面を見たポンは何かが落ちているのに気付いた。

 「りり?これなんだろう?紙の・・・鳥?」

 「ほんとだにゃ、ん~、これ見たことあるにゃ。何て言ったかにゃ~。前の飼い主の部屋でたくさんあるのを見たことあるにゃ!」
 するとそれは突然光りはじめ徐々にその光度は強くなり、目も開けられない程の眩しい光に包まれた。

程なくすると光が止み、ポンとりりは恐る恐るそぉっと目を開けた。

 「い、今のは一体何だったんだにゃ!」 

「眩しかったけど何だか暖かかった。」

 『りりよ・・・それは千羽鶴の折り鶴だ・・・。』どこからか男性の低い声が聞こえてきた。

「そうそう、そうだにゃ!あれは千羽鶴の折鶴だにゃ!・・・って
えぇっ!?今の声は一体誰だにゃ?」

『ここだ・・・上を見よ』2人は声のする方へ目を向けたが、丁度太陽が差し込み、逆光によりシルエットでしか声の主を確認できないでいた。

バサッ、バサッ。という羽根の音と風と共に2人の目の前に大きな鳥が舞い降りた。

 『ご機嫌よう、りり、そして新たなあるじポンよ・・・。
我名は鳳凰ほうおう
“紙の鳥”非ず・・・【鳥ノ神】なり。』


「どっわ~~!本物の神様出ったぁ~~!!」 

「へぇ~!神様ってこんなに大きいのぉ?」

 「ポン!何でそんなに冷静なんだにゃ?!逆にすごいにゃっ!ここはもっと驚く所だにゃ!」

 『いやはや、窮屈きゅうくつで退屈な守護符しゅごふから解き放ってくれて感謝する。突然のことで驚いたであろう、どうか許してくれ。」

 鳳凰は、体の半分が青色でもう半分は赤色をした尾の長い美しい姿をしている。
 
「そ、そんな!オイラ達ちょうどさっき神様にお願いをしてきた所で!本当にお姿を拝見出来るなんて思ってもみなかったもので!驚きを隠せないでいる次第でありますにゃ!」

『そうであったな、そのあと神様ごっことやらで楽しそうに遊んでおったな。』

 「いや~ぁ!お恥ずかしい~!大人気もなく童心に帰ってしまいました。・・・・って鳳凰様全部見られていたんですか?」

 『勿論だ。守護符の中から一部始終を見て聞いておった。少し笑ったぞ。してポンよ、お前は両親を探しているそうだな?』

 「はいっ!その通りです。」

「ポン、何今頃になって緊張してんだにゃ。」

「りりの緊張が移ったんだよ!」
 「おいおい、オイラのせいにするにゃ!」

 『先ほど、りりが守護符を託した事により、我はポンの【守護神】となった。これはその首に下げてある守護符、すなわち『お守り』を所持している者のみに対し、我が守護することになっている。
 繰り返すが、りりがポンに守護符を譲渡したことで我の主は移更され、そしてポンがまた誰かに譲渡すれば我の主はまた移更される。
 ただし前の主に再び譲渡しても主の変更はされぬ。これが我ら守護神界で決められている取扱い説明である。以上、異論はないか?』

 「はいっ!ご丁寧な説明をして頂きありがとうございます!良~く分かりました!」

 『ならば宜しい。共に両親を探し無事再会を果たそう。してりりよ、我がもうお前を守護することが出来ないことに嘆いてはいないか?』

 「えっ?ええ。正直残念ですけど、ポンのためにゃらと思えば、全然平気ですにゃ。」

 『そうか、お前は友達思いで優しいのう。それなら良いのだがひとつ吉報を伝えたい。』

「吉報?・・・ですか?良い事ってことですよね?是非教えて下さいにゃ!」

『驚くだろうが良く聞け・・・。ヨーコは今、お前の守護霊になっておる。』

 「えっ!?ヨーコさんが?・・・
オイラの守護霊ですか?!」

 『ああ、間違いない、我らは霊界とも通じておるのだ。』

 「ヨーコさんがオイラの守護霊になってくれてるにゃんて。そっか~、ヨーコさん・・・・。懐かしいにゃぁ・・・・。」
 りりはあの頃を思い出した
・・・・・。

《りりは生まれて間もなく生みの親に捨てられた。独りで生きるため必死で食べ物を求めてさまよっていた。雨が強く降ったある日、雨宿りできる場所を探し、ある家の玄関先に辿り着いた。濡れた体を振るわせ水しぶきを飛ばし、雨が止むまで時を過ごそうと思っていた。その時、玄関のドアが開いた。普通ならば逃げる所だが、そんな体力は残っておらず、あわよくば何か食べ物にありつければと言う気持ちもあり、震えながら伏せたままでいた。するとりりはタオルに包まれ抱き上げられそのまま家の中へと入れられた。
そして泥まみれの汚れた体を浴室で洗われた後、ミルクと細かくちぎったパンを与えてくれた・・・。

温もりを、笑顔を、優しさを、家族とは何かを、そして愛を与えてくれた。あの日、死にかけだったりりを拾ってくれた《優しい人間》こそが『ヨーコ』と言う女性だった。さみしくて、腹ペコで、とても辛かったけど、ヨーコのお陰で全てが救われた。楽しくて幸せな日々が続いた。一緒に暮らし始めて2年程経った、ある日 ・・・・。

ヨーコが家の庭で大好きな百合の花の手入れをしていた時だった。突然うずくまり倒れこんでしまった。その時、丁度ヨーコの恋人が来ていたことが幸いし、すぐに救急車を呼ぶことができたが、病院に運ばれて間もなくしてヨーコは帰らぬ人になってしまった。ヨーコが亡くなる数日前、りりはあのお守りを貰っていた。りりは、初めはそれが何なのか分らなかったが、とても喜んだ。
 
『りり?これはね、あなたにもしも、何かあった時に必ず助けてくれるお守りよ。私から、あなたにプレゼントするわね。』

 これがヨーコからの最後の言葉だった、だからりりはこのお守りをずっと、ずっと大切に身につけていた。

ヨーコが亡くなった後、少しだけ恋人の所で暮らしていた。
そこには、白いメス猫のシイが一緒に暮らしていた。
りりはシイと出会い、やがて家族が出来た。2匹の子供にも恵まれた。今までは守られてきたけれど、これからは守らなければならない家族がいる。両親を探したいというポンに出逢い、助けてあげたいけれど、家族を置いて行くわけにはいけない、りりは心の中でそう思っていた・・・。
 

すると後ろから誰かが近づいて来た。

「ちょっとあんたぁ!何こんなとこで油売ってんのさ!」

 「げっ!シイちゃん!ごめんごめん!ちょっと寄り道しててだにゃ。」

 「この方は?りりの奥さん?」

 「そうだにゃ、紹介するにゃ、オイラの奥さんのシイだにゃ。シイちゃん、この子はポンだにゃ、両親が帰ってこなくて困ってる所をオイラが話しかけたら、意気投合して、さっき友達になった所だにゃ。」

 「あら、可愛らしい白い子だぬきちゃんだこと。うちの子になる?」

 「いきなり何言ってるんだにゃ!シイちゃん!」 

「冗談よ。ジョーダン!そうなのぉ、ご両親が帰って来ないのねぇ、可哀そうに。さぞかし寂しかったでしょうに。」

 「そうなんです、だから、ぽく
探しに行こうと思っていて。それで話を聞いてもらってたんです。」

 「そういうことなんだにゃ、それでオイラのお守りをポンにあげたにゃ。」

 「あんたのお守りを?あんなに大事だって身に付けてたのに?そう、この子の事がよっぽど気に入ったのね。猫が一度足を突っ込んだのならとことん助けになってあげなさい!」

「えっ!良いのかにゃ?ポン、やったにゃ!」

 「子供の心配してんでしょ?
困ってる人を見たら放っとけずに助けちゃう、あんたの性格は分かってんだからね。子供たちの事は大丈夫よ。そんなことより何で鳳凰さんが出てきてるのかしら?」

 『おぉ、シイよ。久しぶりだな、今しがた出てきたところだ。』

 「えっ?!シイちゃん!鳳凰さまのこと知ってるのかにゃ??」

 「あぁ、あんたに話した事無かったわね。実はあのお守りはね、元々あたしの前の飼い主が持っていた物なの。」

 「えぇ!そうだったのかにゃ!?初耳だにゃ!」

 「あんたと出会う前にね、いたずらで、このお守りで遊んでたの、その時はまた子供だったから、まぁ暇つぶしでね。そしたらお守りの中から折鶴が出て来たと思ったら、鳥ノ神と名乗るこの鳳凰さんがピカーッ!って出てきて、後はあなた達と同じ状況ってわけ。」

 『あの時は我も、突然出られたので驚きを隠せなかった。』

 「狭い部屋で羽根バサバサやってね。あの慌てっぷり可笑しかったわ。で、そのあとすぐ飼い主さんに見つかっちゃって、鳳凰さんはまたお守りの中に戻されちゃったけどね。」

『ああ、ジョーがヨーコに、ヨーコがりりに、そして今、りりからポンへ移行された。』

「鳳凰様もお忙しいですねぇ。転々となさって。そのジョーって方がシイさんの前の飼い主さんですか?」

 「そうよ。ジョーさんはね、とても優しくてハンサムな人で大好きだったわ。そうそう、旦那の前の飼い主のヨーコさんの恋人がジョーさんなのよ。」

「えっ!ええ!?そうだったのかにゃ!!」

 「ちょっと、ウソでしょ?あきれた!ホント鈍いわねぇ、分かるでしょ普通。」

 「いやぁ、てっきり、いつもお世話をしに来てる親切なお友達かと思ってたにゃ。」

 「そんなわけないでしょ!ヨーコさんは元々体が弱い人みたいだったから、時間があればいつもヨーコさんの所に行ってお世話をしてたみたい。千羽鶴もジョーさんが夜なべして作ってたわ。折鶴を作ってる最中にあたしが遊んで散らかしても怒らない程、本当優しい人だったわ。」

 「あぁ!あの折鶴がたくさんあるやつにゃ?ジョーさんが作ったのかにゃ?あんなにたくさんすごいにゃ~!」

 『あの千羽鶴は病気になった人に贈ることで早く良くなってほしいという願いがこもったもので、お守りのような役目があるのだ。我がヨーコの守護をしていた時は我の力でなんとか病気の進行は抑えていた、だがある日を境に我の力を彼女に費やすことが出来なくなった。そう、ヨーコがりりに守護符を移行した日から。』

 「えっ? もしかしてそのせいでヨーコさんは。」

 『いや、りりのせいでヨーコは死んだのではない!病気はすでに進行していた。我はそれを緩やかにしていたにすぎない。ヨーコは分かっていたのだ、自分の命の終わりを・・・。』

「だから、ヨーコさんが亡くなって、あんたが独りになっても、
 鳳凰さんに守ってもらえるように、あんたにお守りを託したのね。」

 『その通りだ、その甲斐あって我の導きによりシイとりりは出逢う事となり今こうして家族になっている。それが我をりりに託し、ヨーコが望んでいた事なのではないかと思うぞ。』

 「うお~~!!ヨーコさ~ん!オイラそんなことにも気づけず今まで生きて来てしまったのかにゃ!ごめんなさ~~い!」

 『何も謝ることはない。感謝すれば良いのだ。お前の守護霊となったヨーコはこれからずっとお前を見守っているぞ。』

 「ありがとうヨーコさん。これからもよろしくお願いしますにゃ。
 そして、鳳凰さま!シイちゃんと出逢わせて頂きありがとうございます。」

「ねえ、鳳凰さん、ジョーさんは亡くなってからどうしてるのか分かるかな?」

『ジョーは、あの日以来、ヨーコを失った悲しみから、抜け出せずにいるようだ、優しく真面目で一途な人間だったからな、あの事故からまだ浮かばれずこの世をさ迷っているようだ。何か良からぬ事が起きぬと良いが。』

「そうなんだぁ、あの日から1年経ってから今も、苦しんでるんだぁ。」

「鳳凰さま!良からぬ事って、いったいどんな事ですか?」

 『そうだな、最悪は、彼の悲しみが怨念に変わり陰の悪力に取り囲まれ悪霊になってしまう事だ!』

「悪霊に?なんか怖いなぁ!」

 『怖いなんてものではないぞ。そうなってしまえば、理性を失い、
 無差別に取り憑き、さらには凶暴化することもあるのだ。今はそうならぬよう願うしか他にはないがな。』

 「そっかぁ、悲しいけど、あたしらにはそうすることしか出来ないわね。」その時、後ろから何やら走ってくる気配がした。

 「あっ!マーと ユー、どうだったの?」

 「ママー、僕ね、ユーより大きいネズミ捕まえたよ~!見てみて~!」

 「な~に言ってるの~マー。 
あたちの方が大きいにゃお?」

 「2人とも大したもんよ!良くやったわ!これで夕飯にできるわね。」

 「さすがはオイラの子供たちだにゃ。」

「可愛いねぇ、りりの子供たちだね?。」

 「あぁそうだにゃ、こっちの黒い方がマーで男の子。白黒がユーで女の子だにゃ。」

 「はじめまして、お父さんの友達のポンだよ、よろしくね!」恥ずかしがってシイの後ろに隠れる子猫たち。

 「ほら、ちゃんとあいさつするんだにゃ!」

 2人ともシイの後ろに隠れた状態から顔を左右から出してマーとユー同時に「こんにちは!」と元気にあいさつをした。

 「良い子たちだね。それにしても、子供たちりりに似て、凛々しい眉だね。」

「そうなんだにゃ、余計なとこが似てるんだにゃ。」 

「良いじゃん個性的だよ。」

 『しかし、ユーの方は綺麗に左右対称に白と黒がはっきりと分かれているな。まるで、我らと同じ【陰陽神いよかん】の様だな。』

「あっ、【いよかん】ですか?  それならまだ、お家に少し残ってますけど?!」

『あぁ??わははは!いやはや!ポンは面白い子だな。良いか?おそらくお前の言う【いよかん】と、我の言う【陰陽神いよかん】は全く別の物だ。』

 「そうなんですかぁ?うわぁ!なんか恥ずかしぃ!」

 「同じ読み方でも異なる意味の言葉ってあるわよね。」

 『そうだ、我の言う【陰陽神いよかん】とは、陰と陽を司る神獣の事を言う。陰と陽は互いに対立するものであり、互いに補い合うものでもある。

りりとシイのように夫婦の在り方も陰と陽の関係と言えるな。

そして、何を隠そう我鳳凰も雌雄一対であり夫婦一対の存在!陰と陽の神、通称【陰陽神いよかん】の我こそが陽のホーオスと申す!そして遅ればせながら、我の妻を紹介しよう!オーメス!』

すると鳳凰の表情がフッと凛々しい顔から優しい表情に変わった。

『やっとしゃべれるのね、主人がお世話になっています。妻のオーメスでございます。』そして柔らかな女性の声に変わった。

『主人ばかりが話をしていたもので、出て行くタイミングを失ってしまって自己紹介が遅れてしまってごめんなさいね。」

「えぇぇぇぇぇ!!!鳳凰さまが!フーフ?イッツイ??」

一同驚きの余りひっくり返った。

「タ、タイミングって大事ですにゃ。」

「まさかこんな隠し玉があったなんて。」

 『別に隠していた訳ではない、ちゃんと話そうとは思っていたのだ。』

 「あたしも鳳凰さんが夫婦だったとは知らなかったわ。」

 『本来、私達は、主を守護する事が仕事なの、わたしは陰の神。
 陽の神である主人を裏でサポートしてるから、あまりこうして表に出て話すことはなかったわ。」

 「オーメスさん、同じ女性として言わせて下さい。今の時代、女性が前に出ても良い時代なんです!どんどん出てきてください。」

 「シイちゃん、何て嬉しい言葉をくれるのかしら。ありがとう
 それじゃこれからは主人を押しのけてどんどん前に出て行くわ!」

 「はい!その勢いで行きましょう!」

 『おいおい、シイよ。変なことを吹き込むな。我の仕事がやりにくいではないか。』

 『あら、あなた。やりにくいってどういうことかしら?』

 『いやいや、いつものように陰ながらサポートして欲しいと・・・。』

 『何言ってるのよ、シイちゃんも言ってたでしょ?これからは女の時代なの、私が前に出たらあなたがわたしを裏でサポートをしてくれれば良いでしょう?これからは、お互いに助け合っていくべきだと思うわ。』

『そ、そうだな。お前のしたいようにするがいい。』

「ポン見ろよ、鳳凰様、いや、ホーオス様がオーメス様にタジタジだにゃ。」

 「ホントだね、うちの父ちゃんも似たような感じだよ。」

 「神の世界も同じなんだにゃ、にゃはは。」

 『それでは、これからは主人に変わってわたしがお話を進めて行くわ。本題はポンちゃんのご両親を探して再会を果たすという事で間違いないわね?』

 「は、はい!そうです!」

 『まずは、作戦会議を開き捜索計画を決めましょう!』

 「では、立ち話もなんですので、狭いですけど家にどうぞ。」


 
一同はポンの住みかである凰蓮寺の床下でポンの両親を捜索するにあたりオーメスの提案で作戦会議をすることになったのだが。

 「鳳凰さま。入口の高さが低くて入れませんね、どうしましょう。」

 『いや、問題ない。見ておれ! 
朱孔雀しゅくじゃく!!』

 すると、しゅるるる~~~っと、みるみる小さくなっていった。

 『これくらいでどうかしら?』

「す、凄い!でも小さくなると可愛い。」

 『可愛いとは失礼な!』

『良いじゃない、わたしは嬉しいわよ。』

 ポンの頭の上にパタパタ~っと乗っかる鳳凰。小鳥サイズになった鳳凰は無事にポンの住みかに入って行った。

「そうだ、さっき言ってた【いよかん】ありますけど食べますか?」

 「あぁ、食べるにゃ!
マー、ユー。お前らも食べるかにゃ?」

「うん、食べたい食べた~い」

 「もう、夕飯入らなくなるから少しにしてよ。」

 『我らは空腹という生理現象はないのだが、折角だ是非頂こう。』

 いよかんを持って器用に歯を使い皮を剥くポン。

 「はい、どうぞ召し上がれ。」

一房ずつみんなに渡して行くポン。ぱくぱく、むしゃむしゃ、もぐもぐ。

 「やっぱり美味しいにゃ~いよかん。」

 「美容にも良いから女子には助かるのよね。」

 『なかなかの美味だな。初めて食した。土佐の【ユズ】とも違うな。』

 『シイちゃん美容にも良いって本当?こんなに美味しいと、いくらでもイケるわね。』

 「そんなに喜んでもらえて良かったです。このいよかんは父ちゃんが取って来てくれた最後のいよかんです。」

 噛みしめて食べるポン「もぐもぐもぐ。」

 「ポン、大丈夫だって、必ずご両親を見つけて、またここで家族揃って、お父さんが取って来てくれたこのいよかんをまた食べれるにゃ!」 

 「う、うん、分かってる、分かってるよ。」

 『まだまだ子供だから寂しさに耐えるのも限度があるようね。ポンちゃんに、ひとつわたしから提案なんだけれどいいかしら?』

 「オーメス様、提案ですか?」

『そう、あなた私達の子供にならないかしら?』

 「えっ?鳳凰様の子供に?ぽくがですか?」

『そうよ、驚くのも無理ないわね。でもね、ご両親が見つかるまでの間、という条件付きでね。少しでも気持ちが和らぐのなら私達があなたの【親代わり】になって、ある意味で子供を守る親の気持ちであなたを守護したいの。』
 「突然でビックリしましたけど、そんなにぽくの事を想ってくれるなんて嬉しいです。喜んでよろしくお願いします。・・・・お、お父様、お母様。」

 「さすがに、呼び方変えてるにゃ。」

 「そりゃそうだよ、神様が親になってくれるんだよ!」

 『私も嬉しいわ、初めて親の気持ちが味わえるのね。』

『いやはや、と言う事は我らはポンの【守護神しゅごしん】であり、子を守る親、【守子親しゅごしん】という事だな。わっははは!かつてこんなことは無かった。この子には何か不思議な力を感じてならない。』

「ふしぎな力?ですか?」

『そうだ、我らの様に陰と陽の力の事だ。例えば月と太陽のようにな、ポンの場合は月、陰の力だ。周りを幸せな気持ちにする安らぎの力。』

「オイラも出会った時、そんな風に感じたにゃ!やっぱりポンには、周りに安らぎを与える力があったんだにゃ!」

「そ、そうなんですか?!自分では全然分からないけど。でも皆がそう言ってくれると、ぽくも嬉しいです。」

『あなたは本当に良い子だわ。出会わせてくれたりりに感謝しなくてはね。』

「いやいや、何をおっしゃいますか!オイラなんて食糧調達中に、たまたま通りがかっただけで・・・。」

『悲しむ者の気持ちが分かる優しいあなただからこそ、泣いていたポンを放っておけなかった。出会いは全て必然で、意味があるから巡り逢うのよ。だから、ありがとう りり。』

 「なんとありがたいお言葉~。もったいないにゃ~。」

「ぽくからもありがとう。りりに出会えてホント良かった。」

「ちょっとちょっと、なんか別れ際のありがとうみたいじゃにゃいか!」

「あははっ、ずっと友達でいようね。」

「当たり前だにゃ!嫌と言われても友達でいるにゃ!」

『お前たちは相性の良いコンビだ。微笑ましいな。
対してりりよ。お前からは陽の力を感じる。』

「ホントですか!っていうことはオイラは太陽ですかにゃ?!」

 『そうだ、ポンとりりは、陰と陽の関係性であり、相性が良いのはそのためだ。バランスも良い。』
 「バランス?」

『陰と陽はどちらが強くてもダメだ、互いの陰陽バランスが良いことにより相乗効果が生まれるのだ。」

「おー!凄いにゃ~!オイラ達ナイスコンビみたいだにゃ!」

「うん!ぽくもそんな気がしてた。」

『では、2人の相性が良いという事が分かった所で、オーメス。』

『ええ、作戦会議の続きね。それじゃまずは、ここ凰蓮寺付近での聞き込みによる情報収集を手分けしてやりましょう。りりは狭い場所が得意だから。床下のねずみ達に話を聞いてちょうだい。チビちゃんたちも手伝ってくれるかしら?』

 「うん!いいよ!何か楽しそう!」

『私達は、このお寺の狛犬や木の精霊に話を聞いてみるわ。』

「ぽくはどうすれば良いですか?」

『ポン、あなたはご両親の匂いを辿って足取りを追ってちょうだい。ご両親の匂いはあなたしか分からないからね。ただしくれぐれも気を付けてちょうだい。何かあればすぐに飛んで行くわ。』

「はい、分かりました。」

 『では、みんな!聞き込み開始よ!』それぞれの分担が決まり、各自散らばった。

 「な~に~??さっき捕まえたネズミ達が逃げちまったって?まあいいにゃ、またとっ捕まえてやるにゃ!」

「パパごめん!また捕まえるからね!」

「あたしだって~!」

 「ただし今回は聞き込みのために捕まえるだけにゃ!話が聞けたら逃がすんだにゃ、それじゃ、作戦通りに行くにゃ!」

「うん!分かってる!」

 「おっ、早速見つけたにゃ、あの柱の裏に見えたにゃオイラが追い詰めるから後は頼んだにゃ!」

 「うん!任せて!」

りりは猛スピードで床下を走る。すかさずネズミも逃げるが、先回りしていたマーとユーが待ち受ける。

 「はさみ打ちにゃ!」りりの合図に合わせて。

「ヨッシャー!」マーが両手で向かって来るネズミを押さえつけた。

「捕まえたよー!」そしてユーが上から飛び乗り、ネズミが逃げないように一緒に両手で押さえ込んだ。

「よ~し!お前達。良くやったにゃ!さ~て、ネズミ君。おどろかせて悪かったにゃ。少し話を聞かせて欲しいんだにゃ。獲って食ったりはしないからあんしん・・・。」

 「ま~た捕まってしも~た~!
ドジ!コノ!ホンマどんくさいわワシ~!!」

 「もしかしてさっき子供たちが捕まえた奴かにゃ!まぁ自分をせめるにゃ!今回は、話を聞かせてくれたら逃がしてあげるにゃ。」

 「え!?ホンマでっか?話って何ですのん?」

 「ここいらでたぬきの夫婦を見なかったかにゃ?昨夜、ミカン山を下りてから帰ってないんだにゃ。」

 「たぬきの夫婦?あぁ変わった色したガキんとこのな!まぁ見たっチューか、声は聞いたかもしれんなぁ。」

 「おいおい!その言い方は何にゃ!ポンはオイラの友達にゃ!やっぱり食ってやろうかにゃ!!」

 「おわっ!かんにんな!かんにんな!お友達とは知らんかったがな!頼むから食わんとって~!!
ワシにも家族がおんねん!許して~なぁ!」

 「分かったなら許してやるにゃ、で、声を聞いたって?」

 「ミカン山の下の方で女の悲鳴のような声が聞こえたんや。なんか落ちて行くような声の遠のき方やったで。もしかしたら、それがそうなんかもしれへんな。」
「たぶんそれで間違いないにゃ。ってことは・・・・。もしかしたら・・・・。」
 


『おーい、狛犬たち!居るか~?居るなら出て来てくれ!』
『あら、留守なのかしら?返事が無いわね。』

 2体の狛犬の石像に鳳凰は話しかけていた、すると。

 「ふわ~~ぁん、誰だ~ぁん?この狛犬の金様の眠りの邪魔をする奴わ~ん。」

 『おい貴様、何故寝ている!寺の番はどうした!今はお前だけか?相方はどうした?』

 「だってここ住職も留守だしぃ、人っ子ひとり来やしないしぃ、ヒマ過ぎて寝るしかないじゃぁん。そういや【銀】は当分帰ってないなぁん、パトロールって言ってたかなぁん。」

 『お前たち、狛犬の金と銀だな。我は鳳凰。我はこの国の管轄ではないが、あまりにだらけきった狛犬だな。見るに耐えぬ。』

 『本当、チャラいわね。とにかく、話だけでも聞いてみましょう。』

鳳凰はたぬきの夫婦を見なかったか狛犬の金に聞いた。

「たぬきの夫婦を見なかったかって?いや~恥ずかしながらここんとこ寝てばっかりで、今日の暦も分からん程よ。悪いが、他をあたってくれるかなぁん。」

『何てだらしない狛犬かしら。初めて見たわ。時間の無駄だったわね、次は木の精霊に聞いて見ましょう。』

 鳳凰はこの場所で一番古くて大きな木を見つけるとバササッ、バサッ、バサッ。と羽根を広げて大きな木のてっぺんに向かって飛んだ。

 『木の精さ~ん!どうか出てきてちょうだ~い!』オーメスは木の精を呼んだ。

 すると、たくさんの葉っぱたちがいっせいに、ざわざわざわ~と
 ゆらめき出した、そしてピタッと揺れが止まったと思った。
その時、木のてっぺんからスーッと小さな女の子の妖精が静かに現れた。

 「私を呼んだのはあなたかしら?」

 『おぉ!突然呼び出してすまない、急を要していてな。』

 「あなたは、鳳凰さんですね?こんなところで会えるなんて、一体どんな用件かしら?」

 『はじめまして、あなたは【樹木の精・代表】のキキさんね。
 このあたり一帯の植物を管理しているのよね。』

 「そうよ、良くご存じね。みかんの木、松の木、椿の木、この山の樹木たちはみんなわたしの家族なの。」

 『とても心強いわ!実はね、昨夜ミカン山をたぬきの夫婦が下りて行った筈なんだけどその後の足取りを知りたいの。』

「ふんふん、なるほどね。分かったわ!わたしの樹木根網 トゥリーネットで他の精霊のみんなから情報を集めてあげるわ、ちょっと待っててね。」キキは、目を閉じ集中して他の木の精たちから情報を集めている。

 「・・・・見つけた!【ミカンの木の精】ミキャンヌからの情報によると・・・え?大変!山のふもとの丘から下に落ちちゃったみたい!」

 『何だって?!という事は・・・ポンが危ない!』

 「おーい!鳳凰様~!ネズミから情報を聞き出しました!昨夜、女の悲鳴が聞こえたそうです。落ちて行くような声だったと。」

 「おぉりり、ご苦労さま、丁度わたしたちも今、得た情報で確信したわ、背中に乗って!ポンが危ないかもしれない。」

 「えっ?!どういう事ですか?」  

『良いから!来れば分かる。』



 その頃、ポンは両親のわずかな匂いを辿り、すでに山の麓まで下りてきていた。ミカン畑を抜けた頃、まるで崖の様な人工的な急斜面をした丘が現れた。ポンはそ~っと顔を出して見下ろしてみた。

「うわ~こわっ!かなり高いなぁ!落ちたら即死だなこりゃ~!」

丘の下には小さな公園、そこには人間の子供らし姿が見え、声が聞こえてきた。

「おい!お前クラスのみんなから聞いたぞ?学校の飼育小屋のウサギと話をしてたってあれホントかよ?なぁタカ!信じられねぇよな。」

「・・・・。」 
うつむき、黙ったままの女の子。

 「なんだよ無視かよ!ウサギとは話せて俺たちとは話が出来ないってか?変なヤツ、どうせ動物と話せるっていうの、ウソなんだろ?」

 「ウソじゃないよ・・・。」
女の子は小さく答えた。

「あらっ!しゃべれるやん!ウソじゃないやって?なぁヒデ、そんなの信じられるわけないやんな?」

「うっそつき!うっそつき!」男の子2人は、両手を叩きながらはやしたてる。



その様子をじっと見ていたポンは突然、強い追い風を背中に受けた。そして落ちるギリギリのところでジタバタするも物の見事に丘からすべり落ちてしまった。

「あわわわわ~~~!!
うわぁぁぁ・・・・・・・。」

ヒュ~~~っと真っ逆さまに落ちるポンは、両親との想い出を走馬灯のように想い返した・・・。




 と、その時「ガシッ!」っと足を掴まれ、逆さまで宙に浮いた状態になった。

「えっ?・・・生きてる!・・・ぽく生きてる!」

「ポン!大丈夫かにゃ!」

「りり!鳳凰様!助けてくれたんですね!」

 『すまぬ、すまぬ!急いで助けに飛んで来たつもりが、我の風圧でお前を後ろから吹き飛ばしてしまったようだ。』

「いやぁ~びっくりした~!走馬灯見ちゃったよ!そんなことより・・・ぽく空飛んでる~~っ!?」

 「なんだ?怖いかにゃ?」

「その逆だよ~!楽しい~~夢みたいだぁ~~!」

 『それなら良かった。(なんと楽観的な子だ)』

 「そうだ!あそこに居るのは人間の子供たちですか?」

 『あぁ、そうだ。ポンは人間を見たことが無かったのだな。あれが人間の子供だ。』

 「あの子、何か嫌なことされてるみたいで、気になるから行ってみても良いかな?」

 『ええ、もちろん良いわよ。さっきあなたの事突き落としちゃったからね、何でも言ってちょうだい。』

 『そうだな。可愛い息子のためだ出来る限りの事をしたい。』

 「あはっ、ありがとう!」ポンはとても嬉しそうな表情で笑った。


鳳凰は公園の木の陰に着地し、ポンは女の子の所に駆け寄って行った、りりと鳳凰は木の陰から見守っている。しゃがんで下を向いてる女の子の正面までポンは行った。
 

「あの~、すみません。あなたは動物と話せるんですか?」ポンは初めて会う人間に恐れることなく顔を覗き込む様に話しかけた。


この女の子の名前は【みさ】。

正真正銘、生まれつき動物と話せる能力を持つ女の子だ。

 「えぇ、話せるわ。」みさも全く驚く事なく普通に質問に答えた。

「何急にしゃべり出してんだよ! って何? たぬき?白いたぬきじゃん!」

「ホントや~!珍しいやん!もしかしたら今こいつと話しよったん?」

 「そう、今この子に動物と話せるの?って聞かれたから話せるって答えたの。」

 「マ、マジか~?!じゃ、じゃぁ他にも何か話してみてくれよ。」

 「あなたの名前は何て言うの?」 

 「ぽくはポンって言います」

 「かわいい名前ね。」
ポンは名前を褒められた事で頬を赤らめ照れている。

「おい!その白いたぬき、何て言ったんだよ!」

 「この子の名前はポンだって、自分の事を“ぽく”って言ってるから【僕】ってことかな、性別は男の子みたい。」

 「ま、まじか。すげぇな。噂は本当だったんだな、なんか俺たちお前の事、疑って悪かったな。ごめんな。」

 「動物としゃべれるなんてうらやましいなって言ってたんだよ、だから本当かどうか知りたくてさ。」

「分かってくれたなら良いよ。」

 「俺ヒデってんだ、こんどお詫びに何かおごるよ!」

 「ふふ、ありがとう。」愛想笑いをするみさ。

 「俺はタカ、わるかったな~!今度フィギュアコレクション見せてやるよ!」

「それは遠慮しとく。」苦笑いをするみさ。

 みさたちに手を振りながら去っていくタカとヒデ。

 「タカ、俺んち寄ってけよ、キンキンに冷えたポンジュースあるからさ。」

 「冷たいポンジュースかぁ!うっひょ~、楽しみ~!」公園から出て行く2人。


 「ありがとう。男子達にウソツキ呼ばわりされたけど。あなたのおかげで疑いが晴れたわポンくん」

 「ずっと様子を見てたんだ。何か助けなきゃって思って。」

 「ポンくん優しいね。あたしの名前はみさ。よろしくね!」

 「みさちゃん、よろしくね。ぽく人間に会うのも、こうやって話すのも初めてなんだ。」

 「そうなんだぁ。でもね、普通の人は動物と話すことは出来ないんだよ。あたしは自分でも分かんないんだけど気が付いたら動物の声が聞こえてたの。だからさっきの男子に疑われた。あたしが普通じゃないから。」

 「でも、こうしてお話が出来るってだけで嬉しいよ。」

 「ホント?そんなこと言ってくれたのあなたが初めてよ。ポンあなたって良い子ね。」

「そんなことないよ。ぽくも人間は怖いって聞いてたけど優しい人間もいるって知って、最初に会ったのがみさちゃんで良かったよ。」

 「そう言ってくれて嬉しいよ。
ありがとう。」

 「あっ!そうだ、ぽくの友達も一緒に来てるんだぁ、紹介するね。
 りり~!鳳凰様~!もう大丈夫だよ~!」ポンは手招きをして呼んだ。木の陰から出てきてこちらへやってくるりりと鳳凰。

 「お友達も来てたのね。黒猫ちゃんともう一人呼んでなかった?」

 「あれ?鳳凰様はみさちゃんに見えないの?」

 「ポンよ、お守りをこの子に触れさせてみよ。」

 「うん、みさちゃんこれに触ってみて?」

 「この首に下げたお守りに?
分ったわ・・・はい、タッチ!」するとみさの目の前にいきなり大きな鳳凰の姿が現れた。

 「うっわ~~!びっくりした~ぁ!」

 「驚かせちゃってごめんね。この方が鳳凰様だよ、今ね、ぽくの【しゅごしん】として守ってくれてるんだ。」

 「しゅごしん?そうなんだぁ。いいなぁみさも守ってもらいたい。」

 「いいでしょ~?そうだ!みさちゃんに聞きたい事があるんだけど良いかな?」ポンは両親を探している事を話し何か知らないか、みさに情報を求めた。

 「それなら知ってるわ。そこの丘から落ちてきたっていうタヌキでしょ?1匹は茶色でもう1匹があなたと同じ白色のタヌキだったかしら。あれがポンくんのパパとママだったの?あたしの友達のパパが見つけて、あたしのパパの病院に連れて来たの。ぐったりしてたみたいだけど、大きな怪我もなく息はあったから大丈夫よ、実はあたしのパパは獣医師さんでね。あなたたち動物専門のお医者さんなの。」

 「こんなことってあるんだね!ぽくの毛色は母ちゃん似なんだ、それで今はどうしてるの?」

 「病院では長くは居られないからって、動物園に引き取ってもらったみたい。」

 「じゃぁ今はビョーインって所にはもういないんだね。そのドーブツエンって何?」

 「とべ動物園だよ、いろんな種類の動物に会える場所だよ。狸もいるから他の子たちと一緒になるんじゃないかしら。」

 「みさちゃん!ぽく父ちゃんと母ちゃんに会いたいんだ!」

 「それじゃ~、とべ動物園に会いに行く?」

 「うん!行きたい!やっと父ちゃんと母ちゃんに会えるんだ!」

 そのとき公園の入り口の方から誰かが入って来た。

「ワンワン!ワンワン!」犬を連れた女の子がこっちを見ている。


この女の子の名前は【さき】。

みさの友達で、この子もある能力の持ち主である。

「みさ~!やっぱりここにいたぁ、探したのよぉ。」

 「さき~、どうしたの?そのワンちゃん、可愛いねぇ。」

 「みさこそ、狸と猫なんて連れてどうしたの?昨夜といい、たぬきには良く会うわね。それより、みさ、この子と話してもらいたくて連れて来たの。」

 「良いけど、どうしたの?」

 「ママの友達が飼ってた子なんだけど、その友達が急に倒れちゃってこの子のお世話が出来くなるからって家で飼うことになって。
それで家に来たのは良いけど、なんだかこの子からいつものあの感じよ。ママもね、感じるって言ってたし、それで気になって。」

 「いつものアレね?」

「そうアレ、だからどうして感じるのか、みさから聞いて欲しいのよ。」

 「なるほどね、分ったわ。コンタクトしてみる.この子の名前は?」

 「名前は、ジロウよ。じゃあ、いつものよろしくね!」 

 「さぁ、ジロウ?わたしの目を見て・・・・・。」

 
みさは、生まれ持った天性の【動物と対話】する事が出来る。テレパシーの一種で【アニマル・サイキック】という能力者である。

 一方、さきは霊の存在を感知してその目で見る事が出来る霊能力者。代々【イタコ】の家系で今は人間の霊とは話せるが、まだ動物の霊とは話せないようだ。

2人はお互いに他の子供達とは違い自分は普通ではないという共通点に共感し親友となりその能力を使い遊ぶようになっていた。
今日も慣れた感じでみさは動物から話を聞く。

 「ジロウ?、あなたはホントは誰なの?」

 「ウ~ウ~」小さく唸るジロウ。
 「ちゃんと喋らないと分んないでしょ?あなたは誰?」

「ウ~~!・・・・・。これまでかぁ~、とほほ~。負けたよ!負~け!せっかくこの体借りて犬らしい生活してたのになぁ。」

 『お前はもしや!この陰陽の力、狛犬の銀ではないか?』

 「これはこれは、かの有名な朱雀・・・、いや鳳凰さんじゃないですか。丁度先ほどね、金の奴から【念話】がありまして、あなたが来たとね。あなたに会ったら気をつけろって言われてたんで、大人しくしてたんですがねぇ、残念。」

 『金から話は聞いた、銀は巡回に行ったと、これがそうか?』

 「そう怖い顔しなさんなって、悪い事をしてるわけじゃなし。それにあなたには関係の無い事でしょう?しかしまぁ、こんな近くに能力者が2人も居たとはねぇ!参った!あぁ、驚いた!長生きはしてみるもんだな。」

 「みさ、どうだった?」

「やっぱりそうだった!ジロウに狛犬が入ってるみたい。」

 「狛犬?お寺の?そんなことあるの?!」

 「このパターンは初めてだね! 中の子の名前、銀って言うんだって。」

 「てことは、銀がジロウに入ってんだから・・・・・【銀次郎】だぁ!。」

 「名前、合体してカッコ良くなってるし!なかなかいいんじゃない?」

 「おぉ、俺に新しい名前付けてくれたのか?良いじゃないか気に入ったぞ!」

 「銀次郎も気に入ったってさ。」

 「でっしょ~!気に入ってくれて良かった。ところで~、さっきから気になってたんだけど後ろに大きな木かと思ったら、良く見れば大きな鳥さんが居るんだけど、あたしの気のせい?」

 「気のせいじゃないよ。正解!
改めて、この子は狸のポンくん、そしてお友達の黒猫りりくん、そして大きな鳥さんはポンくんの守り神の鳳凰さん。」

 「えっ!?・・・・マジ!?守り神ってその首に掛けてるお守りの?そういえば今は朱雀様がお守りになってるってお父さんが言ってた!朱雀様の本名は鳳凰だって聞いたことあるわ。」

 「あのう、スザク様って?」ポンは首を傾げた。

『我が説明しよう。【朱雀】とは、言わば役職のことだ。世間では朱雀と呼ばれているが、我自身は本名の鳳凰と名乗っている。
だが今は朱雀ではない。我はかつて土佐の国の守護神をしていた。今から四年前、突如として新たな四神獣にと名乗りを上げる者が現れた、そいつは、かつて阿波の狸大合戦で伝説となりその死後、神格化した男、名を【狸ノ神・金長 力土】(きんちょう りきど)という。我は四神獣を選ぶ戦いに負け、その後朱雀を下り、守護符の守り神となった。』

 「金長?金長ってまさかあの阿波の国最強と言われた暴君大狸だよな?阿波の守護神も青龍様から今は金長に変わってからというもの阿波の国は、四年前と比べて、町は荒れ治安は悪化しているという話です。」

 『詳しいな銀、すでにあれから四年経った、守護符での生活も窮屈だが、なかなか悪くなかった。
いろんな出会いがあったからな。四神選は四年に一度開かれる。
あいつを野放しにはしておれん!待ちに待った今年!我は四年前の雪辱を晴らしたいのだ!』

 「そんなに悪い神様なんですか?狸ノ神様って。狸族として何だかか微妙な・・・。」

 『ポンすまぬな、つい熱く語ってしまった。同じ狸でもお前とは同じではない。奴は傲慢で貪欲な男なのだ。それに比べてポンは。』

 『とっても素直で優しくて良い子だわ。』

 「良いタイミングで変わりましたね!オーメス様!」

 「そんなに褒められると照れるなぁ。」ポンは頬を赤らめながら照れ笑いをした。

 「朱雀さまに会えるなんてラッキー!ねぇ みさ、朱雀様と一緒に写真撮ってよ!」

 「写真って、普通は見えないんだから写らないでしょ!」

 「大丈夫大丈夫!新しい技覚えたの。うふふ。」

 「新しい技?」

 「いつも持ち歩いてるあたしのカメラでっと~、みさ撮って?じゃあ『はいっ!』て言ったらシャッターね!」

 「わかったわかった、早くしてよ。ポンくんとりりくんも入ったら?」

 「いいねいいね、じゃ行きます! 集中するからちょっと待って!
 うううっ!はい!」《カシャ!》

 「どうなってるか楽しみだね。」
 「たぶんイケてると思うよ、さてさてこの後はどうすんの?」

 「そうだ、ポンくんのパパとママに会いに行くんだった!今から会いに動物園まで行くことになったの。」

 「もしかしてあの助けたタヌキがこの子のパパとママ?面白そうじゃん!あたしも行きたい!」

 「さきがいてくれたら心強いから助かる。ポン一緒に行っても良いよね?」

 「もちろんだよ。みんなで行った方が楽しそうだし、父ちゃんと母ちゃんに友達が出来たって紹介したいな。」

 「ポンそれは良いアイデアだにゃ。オイラも是非とも会いたいにゃ。」

 「そうと決まれば!あたしとりあえず一旦家に帰るね。準備するものがあるんだぁ。」

 「あたしもママに出かけること言っておかないと、心配しちゃうから。」

 「それじゃ、みさ一緒に帰ろう?」笑顔でコクっと頷くみさ。

 「ポンくん、ちょっとだけここで待っててくれる?すぐ戻るから。」

 「うん、分ったよ!行ってらっしゃい。」

 「いったい何を取りに行くんだにゃ?あぁっ!オイラもシィちゃんに言わなきゃいけないにゃ!」
 


《みさ帰宅》

 「ママ~今からね、さきちゃんとちょっとお出かけしてくるから。」
 「そうなの?あまり遠くに行っちゃダメよ。」
 「うん、分ってる。(ママごめん。)そう言えば昨日の狸ってもう動物園に着いてるかな?」
 「そうねぇ、もう着いてるんじゃないかな?それがどうしたの?」
 「うううん、ちょっと気になっただけぇ。あっ何かおやつ持っていこ~っと。ママ~、それじゃ行ってくるねぇ。」
 「ええ、車には気を付けるのよ!」「は~~い。」小さくスキップしながら家を後にする。


 
 《さき帰宅》

 「お母さん!今からなぁみさと遊びに行くけん、何かおやつある?」

 「おやつならストックしてあるわよ、さきのために、ほらこんなに。そうだ、それより次郎の事どうだった?みさちゃん何て?」

 「やっぱりビンゴ!でも悪い奴じゃなかったから除霊は大丈夫よ。むしろそのままの方が面白そう、
っていうのも~、その次郎の中にね、狛犬の銀っていう子が入ってたの。それで、ややこしいから名前合体して銀次郎にしたよ。」

「それ面白いわね!銀が次郎の中に居るから銀次郎かぁ!良いんじゃない?カッコ良いわね。」
 「でっしょー?!みさも言ってくれたのよ~。あたしのネーミングセンス抜群でしょ!」
 「それで?その銀次郎も一緒に連れて行くの?」
 「うん、散歩がてらねぇ。」
 「それじゃこれもリュックにいれておくわね。」
 「銀次郎のエサね。うん助かる。ありがとう。」
 「あとジュースはポンジュースで良いわね?」
 「うん、何本か余分に入れといて?、暑いからのど乾いたらヤだし。」
 「はいはい。準備出来たわよ。行ってらっしゃい。」
 「サンキュー!それじゃ行ってくるね~!」
 玄関を出るとすでに、みさが外で待っていた。そしてバサッ、バサッ。なぜか公園で待っていたはずの鳳凰たちも待っていた。

 「ここまで来ちゃまずいよ!誰かに見られたら。」
 「見えないから大丈夫!」
 「そうだった!あたしとしたことが、あまりのワクワク感でテンション上がり過ぎみたい、こんなの初めて~。」

『では、早速参ろうか。皆んな我の背中に乗りなさい。』
順番に鳳凰の背中に乗り込む

 「すご~い!すごいよ!背中に乗れた~~!」

 『そりゃそうさ!鳳凰様レベルになると物理的に触れることもできるんだ。』

 「へぇ~~!そうなんだ~!かっこいい!!鳳凰さまの背中めっちゃ温か~い。」

 『しっかりと掴まっておれよ!』   バサッ、バサッ、バサッ。と羽根を羽ばたかせて鳳凰はゆっくりと上昇していく・・・。

一行はポンを両親と再会させるため、いざ!とべ動物園へ!!守護神鳳凰よ!みんなを背中に乗せて。さぁ!飛べ!動物園へ!! 




 と、その時、「ああ~~ぁ!!」
突然りりが何かを思い出したように叫んだ。

「どしたの?りり。いきなり大声なんて出して!」

「オイラ!シイちゃんに何も言わずにここまで来たのに何とか処理して欲しいにゃ~。」

「りりくん大丈夫だ!さっき相方の金から念話があってな、俺が留守の間、あんたの家族が、狛犬ならぬ “狛猫”をしてくれるそうだ。それと奥さんから伝言で『あんたは、友達のために頑張りなさい、こっちは大丈夫だから』とのことだ。」と銀次郎はりりに報告をした。

「シィちゃ~ん!ありがとう!でもそれって狛猫っていうか、もはや招き猫だにゃ!」りりは安心した表情で喜んだ。

「ははははは!本当だ!いいね~、招き猫~!りり、これで安心して動物園に行けるね~。」ポンも一緒に喜んだ。

「そうだにゃ!よーし!それじゃ~、とべ動物園に~!」
「しゅっぱ~つ!!」


こうして一行は、ポンの両親を探すべく、とべ動物園へと飛び立って行った。



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